第41話 秋の赤

 秋の空には赤が映えます。


 リンゴ。

 トンボ。

 口を開いたザクロ。

 彼岸花。

 紅葉。


 春のように、薄紅ではない、赤。

 澄んだ秋空の青に負けない、きっかりとした赤。

 夏空を目指して伸ばすタチアオイの赤とも違う、朱や紅や緋や内包してる秋の赤。

 こっくりとしたワイン色のセーターは、冬の赤。

 

 猛々しい夏が去ってから、疲労困憊で、初秋に夏負けした脳を休めたら、だいぶ目がはっきりと色彩をとらえるようになってきました。


 秋は、古典を読み返したくなります。

 脳が整理されていきます。

 古典をモチーフにした文学小説も、読み返したくなります。

 心が落ち着きます。


 整理されて、落ち着いてくると、書きたくなってきます。


 活字の秋。


 秋の赤で目を楽しませつつ。


 


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