第35話 特別展「三国志」を楽しむ

 特別展「三国志」へ行ってきました。

 

 展示内容は公式サイトでご覧いただけますので、ここでは、感想を。


 今回の展覧会の目玉の一つは、曹操の墓の出土品に関するものでした。


 ミュージアムショップに、出土品を象ったボールチェーンのストラップがあったのですが、これが欲しかったとうれしそうにしている人が手にしていたのは、地味な石碑のデザインされたものでした。

 が、これこそ、河南省安陽市曹操高陵が曹操の墓だとの決め手となった出土品だったのです。


 石碑に刻まれた文字は、「魏武王常所用挌虎大戟(ぎのぶおうつねにもちいるところのかくこだいげき)」、意味は、「魏の武王が愛用した虎をも打ち取る古くから中国に伝わる武器の大きな戟」です。

 これを発掘した人は、胸が高鳴り血潮が湧きたったことでしょうね。


 曹操の墓室の実物大の再現は、興味がない人から見たら、なんて無駄でちゃちなスペースだろうと映るかもしれません。

 が、実際に、そこに立つと、スケール感が伝わってくるんですよ。

 張りぼて風なつくりでも、墓室内の空間感覚を得られるのは、面白い試みです。


 そして、その墓室が実物大というのであれば、祭祀ができるのでは! と、心の中で色めきたちました、私。

 元のものを再現した空間であるなばら、そこで祭祀をしたら、曹操の霊が降りてくるのでは、と、妄想広がりました。


 祭祀、呪術に使う道具は博物館にありますよね、多分、以前見かけたような気がします。

 博物館で降霊術、ミュージアムで三国志チャネリング。

 実は、こっそりやってたりして、有志で。

 諸葛孔明が羽毛扇を扇ぎ、関羽が睨みを利かせ、張飛が長矛を振り回す。

 人形劇の人形が依代になって、夜な夜な動き回ってるかもしれません。


 無数の矢が飛び舞う赤壁の戦いの部屋では、もちろん自撮りしました。

 自分が矢の雨あられにさらされてる写真ですが。

 写真と言えば、武将メーカーも面白かったですよ。


 いろいろ間違ってるところもありそうな鑑賞方法ですが、個人的には楽しかったので良しとしましょう。


 今回の展覧会を見て改めて思ったのは、当時上に立つ者は、今とは比べものにならないくらい、判断と決断を次々と突きつけられて、両方の刀で日々削ぎ落されていったのだな、と。

 常に己の判断力と決断力を研ぎ澄ましていないと、首が飛ぶ人生……



 各種小説や漫画や映像で「三国志」を知っていたつもりでしたが、まだまだです。



 

特別展「三国志」公式サイト

https://sangokushi2019.exhibit.jp/






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