第10話 お煎餅屋さんのコッペパン

 第9話に登場した創業明治八年の「菊見せんべい総本店」、ここではパンも販売されています。


 幾度か立ち寄ったことはあるものの、まるで気が付きませんでした。


 まさか、お煎餅屋さんでパンを売ってるとは、です。

 人は見たいものしか見ないということですね、とは、ちょっと違いますが。


 間口の広い店舗の端っこ、日の当たらない少し奥まった辺りのショーケースに、パンは並んでいました。

 たまご、やきそば、サラダ、コロッケ、三角サンドなどの惣菜パンと、あんぱん、クリームパン、メロンパン、チョココロネなどの菓子パン、いわゆる町のパン屋さんのラインナップです。


 本屋さんでない所で本を買うのが好きな私は、パン屋さんでない所でパンを買うのも好きです。

 で、早速、購入。

 

 お煎餅屋さんのパンは、戦後お米が手に入りにくかった頃、小麦粉は手に入ったので、お煎餅の代わりにパンを焼いたのが始まりだそうです。


 さて、このコッペパンですが、お味はシンプルでしっかりめです。

 食べた感じが、お煎餅のような充実感があるというか、固いわけではないのですが、やわではないんです。

 お煎餅屋さんが焼いたパン、というのに頷いてしまいます。


 腹もちの良さそうなパンです。

 瓶入りの牛乳が合いそうなパンです。

 よそ行きパンではないです。

 昭和のパン、ですよ。

 


 公園のベンチにハンカチを敷いて、パンを並べて牛乳瓶片手に、一人ピクニック。

 木漏れ日に、梢を抜ける風の心地よさ。

 ハクセキレイが、尾をふりふり近寄ってきたら、パンをちぎってご相伴。

 食後は文庫本を開いて外読書。

 昼下がり、瞼を撫でる睡魔の手。

 


 タマゴパンとコロッケパンの惣菜パンしか買わなかったので、次は、菓子パンのお味見をしたいです。


 惣菜パンの写真は、twitterにあげておきます。

 

 では、今回は、あっさりとこの辺で。


 

 

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