第12話 ブログの情報がちょっと気になります



 管理者さんのお勉強を数日間。

 ミツバさんからしっかり教えてもらった私は、神聖国にある管理者の塔へとやって来ました。


 前の時みたいに、機械がたくさん置かれている部屋に入って、更にポッドの中に入ります。


 最初の時はちょっぴり不安だったけど、二回目になると落ち着いてきたかも。


 そして、眠くなって気が付いたら星の海の中。

 そこでふわふわしながら、ミツバさんに教えてもらった通りに制御盤を操作していきます。


 キーボードをリズミカルにタッチするの。


「えっと、こっちとこっちで……」


 最初の時は、まるで何も分からないって状態で、ちんぷんかんぷんだったけど、今回は少しだけ自分が何をやってるか分かってきました。

 お勉強の成果がさっそく出たみたい。


 それでもまだまだ分からない事の方が大きくて、時々首を傾げちゃったりもするけど。これから頑張ればいいよね。


「よし!」


 お仕事が終わった後は、靄を探してちょっと寄り道。


 星の海をかき分けるように進んでいけば、お目当ての物発見。


 うん、「近所の21さん」が言った通り。


「原因、分かると良いなぁ」


 見える物が前と同じなのか、変化するのか分からないけれどとにかくトライだよね。

 気持ちをぐっと引き締めて、黒っぽくてよくない感じがするの触ります。


 瞬間。

 頭の中に、変な声が聞こえてきて私は驚いちゃう。


「予言にサカラウナ」「運命にノットッテ行動シロ」「破滅をクリカエセ」


 機械で加工したみたいな。

 だけど、合成音声とは違う、耳を塞ぎたくなるような声。


 歪で、淀んでいて、聞いているこちらも気分が引きずられていっちゃいそう。


 思わず手を動かして、自分の耳を塞ごうとしたんだけど、声はさっと消えていっちゃう


 代わりに、頭の中に靄の溜まった場所が次々と浮かんできたの。


 大地の少し下。

 空気穴みたいなところに靄が溜まっている場所がいくつもあって、靄はどんどん地下から湧き上がって来てて、地表にしみ出してるみたい。


 その周囲を歩いていた動物がばったり。それきり動かなくなっちゃうんです。

 そして靄は風に吹かれて、遠くへと運ばれていくの。


『この世界は、ホロブ。我らの文明と同じようにホロボス。欲深きカンリシャの自業自得でホロブ。それが予言ダ。避けられぬ。ダレも……』


 見えた景色の中、これはたぶん昔のじゃなくて今の景色。

 靄の向かう方向には、白亜の宮殿が良く見える神聖国が見えます。


 ひょっとしてこれが病気の原因なのかも。


「とりあえず前みたいに」


 さっそく私は良くなりますようにって、歌を歌ってみます。


 管理者さんが使う言葉を付け加えて、精一杯綺麗になりますようにって祈りながら。


 だけど、全部は良くならなかったみたい。

 目の前の黒いのがちょっと小っちゃくなっちゃっただけ。


 歌は対処療法みたいなもので、根本的なものは代えられないのかも……。

 他に靄が発生する理由があるのかな。


 とにかく、原因がなんとかできないなら、やる事は決まってるよね。


「はやくサクヤ様に知らせてあげなくっちゃ」


 靄の詳しい発しえ場所が分かったから、教えてあげるだけでも力になれると思うのです。


 もっと頑張れればよかったなぁ。

 サクヤ様にはごめんなさいしなくちゃ。






 神聖国で色々サクヤ様達とお話した後、私はログアウト。

 さっそく、ソングバード・オンラインであった事をブログで書きました。


 すると、順調に閲覧者が増えてきたみたい。

 皆が注目してくれてるみたいで嬉しくなってきちゃう。

 

 セントラルシティでもクリスマスツリーを見に来てくれる人がたくさん増えたみたい。

 このままいけば、ソングバード・オンラインにたくさんの人が来てくれる日も近いかな。


 そういえば、もうすぐクリスマスだなぁ。

 管理者さんのお仕事があるから、目標達成はきっと無理だよね。

 ちょっとしょんぼりしちゃうかも。


 ブログに書き込んでくれた閲覧者さん達の意見は、「そんなイベントがあったなんてびっくり!」「興味持ったよ」っていうのがたくさんあるのは嬉しいけど。


「あれ?」


 だけど私は首をかしげちゃう。


『ソングバード・オンラインは、内部時間で一年が過ぎると、強制的にリセットされる仕様となっている。そのゲームは、仮想現実ゲームが広まる初期に作られたものであり、バグが多い。ログインするプレイヤーが多くなっても、初期化される場合あり。だから、貴方が宣伝するまで過疎状態だったと思われる。今ではソングバード・オンラインは、仮想現実慣れする初心者の場として、一時期利用されるくらいの場』


 教えてくれた情報を三回ぐらい読んで、むむむ。

 リセットされる。って元に戻っちゃうって事だよね。


「それ、本当なのかな」


 書き込みをしてくれた人の名前はチョコっていう名前。


 インターネット上で顔の見えない人とやり取りする時は、注意しなくちゃいけないんだけど、私はついメールを打っちゃいます。

 だって気になっちゃったんだもん。

 それに、たぶんだけど悪い人じゃないと思うんだ。


 すると、プレイヤーさんのアバターの写真が送られてきました。


 えーと、これって、会ってくれるって事だよね。

 見つけてくれるって事で良いのかな。

 今、私が神聖国にいるのは分かってるだろうし。


 うん、待ってみよう。

 詳しくその話、聞いてみたいもの。


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