第561話 クラーラの新しい力⑤ 復活の時

 折れたクラーラの大剣を直すには世界に四つしかないと言われる神鉱石のひとつ――ゴールド・フォレストが必要であることが発覚した。

 トアたちはその神鉱石があるかもしれないオーレムの森へ向けて出発。

 かなり大人数となったため、牧場からシロとクロのドラゴン二体を呼びだし、その大きな背中に乗って大空へと舞い上がった。


 ――数時間後。


 上空から二体のドラゴンが舞い降りたことで、オーレムの森は騒然となった。

 何せ今回は急な訪問であったため、事前連絡が遅れてしまったという背景があり、エルフ族たちの住む森は一時騒然となる。


 しかし、すぐにトアが事情を説明して事なきを得ると、クラーラの父親であり現在このオーレムの森をまとめる長のアルディのもとを訪ねた。

 久しぶりにトアが仲間を連れて森へやってきたことをアルディが知ると、「いよいよ結婚の挨拶か!」と気合を入れていたが、すぐにトアはこれを否定。

 残念そうな表情を浮かべるも、すぐにクラーラの元気がないことに気づき、その話題をトアへと振った。


「クラーラは……何かあったのか?」

「実は、彼女が愛用していた大剣が――」


 トアはアルディにクラーラの大剣について話をする――と、徐々にアルディの表情が険しいものへと変わっていく。


「それは一大事だな。あれには神鉱石が使われている……そう簡単に入手はできんぞ」


 どうやら、アルディも神鉱石のことは把握しているようだ。


「アルディさん、なんとか入手できませんか?」

「……たったひとつだけ、方法がある」

「本当ですか!?」


 トアだけでなく、同行したエステル、マフレナ、ジャネット、フォルもアルディへと詰め寄った。その気迫を前に、さすがのアルディも動揺したようだ。


「そ、そう慌てるな。確かに神鉱石に関するヒントはあるが――それでもここ数年は神鉱石のある場所まで誰もたどりついていないんだ」

「えっ?」


 それはつまり、そのヒントとやらが随分と分かりやすいものだからだろう。ほぼ唯一と言っていい可能性を断たれ、トアたちの表情もさえない。


 ――だが、その時だった。


「……君たちならば、あの謎を解けるかもしれないな」


 顎に手を添えていたアルディが、まるで何かを決意したかのように呟く。


「謎? 謎って一体何なんですか!?」


 クラーラの大剣を直すために必要な神鉱石が手に入るというなら、トアはなんでもしやろうと気合十分。さらに、要塞村で留守番をしている八極のローザとシャウナですら緊張するほどの暗号――解けるかどうか、トアにとってはそこがネックだった。


 ともかく、今は話しをじっくり聞こう。

 そう思った直後、


「案内しよう、トア村長――それにみんなも。ぜひとも、あの謎を解き明かしてほしい」


 アルディ渾身のドヤ顔が決まった瞬間だった。

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