第560話 クラーラの新しい力④ 新たな神鉱石
鋼姫ジャネットの腕をもってしても直せないというクラーラの大剣。
それは技術的な問題ではないようだ。
「この剣には……ゴールド・フォレストが使われているの」
「ゴ、ゴールド・フォレスト!?」
その名前を知っているのは、この場でジャネットだけのようだった。トアやエステル、マフレナあたりはなぜ彼女がそこまで驚いているのか理解できていなかったが、ふたりのやりとりからなんとなくその理由が察せられた。
「もしかして……魔鉱石の一種か?」
トアがジャネットへ尋ねると、彼女は首を横へと振って否定する。
「魔鉱石ではありません。――それを超える、神鉱石です」
「し、神鉱石!?」
神鉱石とは、世界に四種類しかないと言われる、超激レアの魔鉱石だ。
かつて、トアはそのうちのふたつを入手している。
ひとつはシルバー・オーシャン。
そしてもうひとつはパープル・マウンテン。
いずれも、現在は要塞村の村長で大切に保管されている。
「それはまた厄介だな……」
「で、では、クラーラさんはどうしてゴールド・フォレストを手に入れたんですか?」
そういえば、とジャネットの言葉を耳にしたトアはクラーラへと向き直る。
愛用の大剣にゴールド・フォレストが使用されていたということは、どこかで誰かがそれを入手したという事実につながる。恐らく、その「誰か」というのは剣の師匠であるテスタロッサだろう。
問題は――どこで手に入れたのかという点だが、
「ごめんなさい……それは分からないの」
残念ながら、クラーラ自身も手がかりを持っていなかった。
探そうにもヒントがなければ行動が起こしづらくなる。
どうにかならないかとトアが頭を捻っていた時――ある閃きが舞い降りた。
「ちょっと待って……クラーラがその剣をもらった時って、まだテスタロッサさんは村で暮らしていたんだよね?」
「え、えぇ」
かつて、老いて亡くなった人間の恋人をよみがえらせようとして禁忌魔法に手を出し、結果としてダークエルフとなってしまったテスタロッサだが、そうなる前はクラーラたちと一緒にオーレムの森で平和に暮らしていた。
だとすれば、とトアにある考えが浮かぶ。
「アルディさんたちなら何かを知っているんじゃないかな?」
「パパが? ……確かに、あり得るかも」
娘にめちゃくちゃ甘いアルディならば、テスタロッサがクラーラへと贈った剣について何かを知っているかもしれない。
そうと決まれば、次に起こすべき行動は決まった。
「明日はみんなでオーレムの森へ行こう」
「「「「「おおっ!」」」」」
クラーラの大剣を元通りにするため、トアたちは久しぶりにオーレムの森を訪れることにしたのだった。
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