第367話 天界と魔界
新作投稿!
「マイホーム・ドラゴン ~手乗り霊竜とその孫娘を連れて行く自由気ままな冒険譚~」
https://kakuyomu.jp/works/1177354055033755686
ほのぼのストーリーになる――はず?
是非、読んでみてください!
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要塞村に新しく加わったユニコーン。
居場所としてもっとも相応しいだろうとトアが指定したのは、エルフたちが運営している牧場であった。
「ユニちゃ~ん、ご飯よ~」
世話役のエルフがそう声をかけると、ユニと名付けられたユニコーンは飼育されている他の動物たちと一緒に集まってくる。すっかりこの要塞村が気に入った様子だ。
一方、天界に生息するはずのユニコーンがなぜ人間界に姿を現したのか――その謎を解明するため、今日もシャウナをリーダーとする調査隊は地下古代遺跡へと潜っていた。
ちなみに、今日はトアとエステルのふたりが同行している。
「まさか魔界だけじゃなくて天界ともつながっていたなんて」
「あくまでも可能性のひとつではあるがな」
現在、都市遺跡を中心に調べているシャウナだが、解読の難しい古代文字が羅列する場所の調査には慎重を期しているため、調査自体のスピードはかなりスローだった。
とはいえ、迂闊にあちらこちら調べてトラップが発動したとあったら、最悪要塞村が崩壊してしまう可能性もある。
だからといって、ここをそのままにしておけば、また何が起こるか分からない。
その不安を少しでも取り除くため、シャウナは選抜したメンバーと共に調査を進めているのである。
「でも、天界の生物がこちらに来たのなら、魔界の生物がこちらに来ることもあり得るのではないですか?」
「現にハンナたち魔虫族は来ているわけだしね」
「あ、そうか」
エステルは思い出す。
以前、この要塞村を襲撃(?)した、魔界生まれの昆虫たち。その昆虫たちに守れるようにして現れ、今ではクラーラがしっかりと子育てをしているハンナのことを。
「いずれにせよ、十分調査する必要がありそうだな」
「調査班の仕事は、シャウナさんにお任せしますよ」
「ありがとう。トア村長の厚い信頼に応えなくてはな」
そう語るシャウナは穏やかな笑みを浮かべていた。
◇◇◇
地上へ出ると、トア、エステル、そしてシャウナの三人はユニの調子を見るため、エルフの牧場を訪れた。
そこには多くの村民が集まっており、ユニに興味津々といった様子。
「綺麗な馬体ねぇ」
「わっふぅ! 毛並みもバッチリです!」
「まるで彫刻みたいです」
クラーラ、マフレナ、ジャネットの三人はユニをだいぶ気に入ったようだが、それを見ていたシャウナが声をかけた。
「君たちがトア村長と健全な中を築けているようで安心したよ」
「? なんでユニと仲良くしているのがトアとの関係につながるんですか?」
クラーラが尋ねると、シャウナはニヤニヤしながら答える。
「ユニコーンというのは男性と濃密な夜を過ごしていない穢れなき乙女に懐くとされているんでね」
「「「「!?」」」」
意味を真っ先に理解したのはマフレナを除く四人(トア含む)。
「仮に、もしここにローザがいたら、ユニは凄く不機嫌になっただろうな」
「えっ? それって……」
「ああ、いやいや。今言ったことはあくまでも言い伝えだからね。本当にそうなのかは分からないよ。じゃあ、私は調査へ戻るとしよう」
ほとんど投げっぱなしの状態で、シャウナは地下古代迷宮へと戻っていった。
「ま、まあ、シャウナさんも言っていた通り、ただの言い伝えだから。ね?」
「「「…………」」」
「わふっ? なんでみんな顔が赤いんですか?」
トアたちの間になんとも言えない空気が流れる中、マフレナだけがいつもと変わらぬ調子で声をかけるのだった。
――後日、女子四人はローザへヴィクトールとの関係を尋ねられるが、「それはシャウナのデマじゃ!」と一蹴。
以前のジョブ関連でいじられたリベンジであったことが発覚した。
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