チョコが感じた、おかしな気配
全ての
ぼくはマヨちゃんや十勝君といっしょに、たたんだカサを手に持ちながら、黒田君から聞いた、例の人食い
「人食い
「つくも神って、古くなった物に
「そうニャ。でも
「チョコったら……笑い事じゃないのに」
ぼくの横をトコトコ歩いているのは、黒ネコのチョコ。
で、どこに行くのか聞かれてたから、人食い
「チョコは
仲間がふえて、楽しそうな様子のマヨちゃん。一方十勝君はというと。
「こんなネコを連れていって、本当に役にたつのか? あ、でももしおそわれたら、おとりになら使えるかもな」
こんなことを言っている。おとりにされるなんて言われたチョコは、もちろんイヤそうな顔をして、毛を
もっとも、十勝君にはチョコの声は「ニャー」としか聞こえていないのだろうし、二つに別れたシッポも見えていないのだろうから。チョコが
けどおとりにするのは、ちょっとかわいそう。
そんなことを考えていると、マヨちゃんがふと、チョコにたずねる。
「ねえチョコ、もし本当につくも神だとして、どうして黒田君に見えたんだと思う? 黒田君、
「それは元々ふつうに見えている物が、
「そうなんだ。そうだよね、もしつくも神になったとたんに、目の前から消えちゃったら、ビックリするものね」
「そしてそう言うヤツほど、
なるほど。たしかにタヌキに
「ねえ、それだとチョコも十勝君に、シッポを見せたり声を聞かせたりすることもできるってならない?」
「もちろんできるニャ」
あっさりとそう言われた。だけど、チョコは続けて言ってくる。
「やろうと思えばできるんだニャ。だけどそれには、
ああ、そうなんだ。力を使うとか、どれくらい
ただこの事は、十勝君にはナイショにしておいた方がいいだろう。もし知ったら、だったらしゃべってみろとか言い出して、またケンカになっちゃう気がするからね。仲間外れはよくないけれど、世の中にはベラベラしゃべらない方が良いことだってあるのだ。
「お前ら、さっきから何の話をしてるんだ?」
チョコの声が聞こえず、何を話していたか分からない十勝君が、不思議そうに聞いてきて、ぼく達はあわててごまかす。
「何でもないよ、ねえマヨちゃん」
「うん。それより、例の
先月転校してきたばかりのマヨちゃんは、まだこの町の地理に明るくないのだ。学校を出る前にぼくも大体の場所は十勝君から聞いていたけど、たしかもうすぐだったはず。
「あわてるなって、もうちょっとで着くからよ。ええと、たしか小さな路地に入った所って言ってたなあ」
ぼくたちが今歩いているのは、商店街から少しはなれた場所にある、人通りの少ない場所。屋根の低い建物がポツポツあって、後は畑が広がっているけれど、
ぼく達は、
「あっ、もしかしてアレじゃないの?」
「おっ、どれだどれだ?」
せまい路地を進んだ先に、それはあった。
どう考えても人通りが少なく、利用者がいるのかと思うようなさみしい道の中に、全身を茶色くペイントされたその
本当にこれが、黒田君の言っていた人食い
「何だか、おかしな気配がするニャ」
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