第16話 巨大スライム戦ですよ。弾幕は気合いで避けましょう。
「ズラー」
「ずら~♪」
お、意外に口あたりがいいぞ。ずら~ずら~。
ずら~って語尾はどこの方言だったっけね?
それはさておき。青色スライムが合体融合をくりかえして、私の目の前には巨大なまんまるスライムが鎮座している。
でぇぇんって効果音が聞こえそうなぐらいの存在感。あと青色スライムが融合したのに色が黄色なのは仕様なのだろうか?
某ゲームのような王冠はかぶっていない。
ぷるぷる小刻みにふるえてるけどなんかの準備モーションという感じではない。
ふよんふよんしてるけど、手触りはどんな感じなんだろう。ぷよぷよなのかぬるぬるだったりするのか意外とさらさらだったり?
「さて、どんな攻撃してくるずら~?」
下段に構えてキングスライムの動きを待つ。
刀の世界は基本先手一振必勝が定石なんだけど、今回は後方に検証勢の人が居るし、できる限り攻撃パターンを見ていきたい。
折角情報をもらったんだし、お代分ぐらい情報提供しないとね。お代自体は後で払う気だけど。
「ズラーズラー」
キングスライムくん、その場から動く気無しな御様子。
私とエネミーとの距離は中距離ぐらいの間隔。もしかして、中距離攻撃持ってないとかかな?
「ん~・・・・・・下がるずら~」
とりあえず遠距離攻撃があるのか見よう。
ジリジリ摺り足で正面向いたまま下がっていく。
「エコさん?」
順調に下がっていたら真横からツネオミさんの声が聞こえてきた。
「とりあえず攻撃パターン全部はいでみるずら~」
「ずら~? 思ったよりノリ良いですね」
「まぁ、基本ソロだからね。ノレるとこはノってがないと飽きるというか虚無るというか」
うん。だから別に恥ずかしくないよ。えぇ、恥ずかしくなどありませんとも!
「あぁ、わかります。特に検証は作業感が増しますから」
お、わかってくれる人がいた。やったね。
「じゃ、とりあえず遠距離攻撃見てから仕掛けるね」
「はい」
相変わらずツネオミさんは草原と一体化している。
戦う気ゼロで私に丸投げ状態だけど、きっと支援はしてくれる、かな?
「ズラー!」
下がるのを止めて喋っていたらキンスラくんがやっと動き出した。
といっても位置移動じゃなくてなんかしらの準備モーション。
「ズラズラー!」
その一文言で空中に円錐形の金色物体がいっぱい出現した。
「お~奪取できたら高く売れそう」
「ズラッ!」
掛け声一つで円錐が投射された。
「ふふ。あまいぞ―――って!?」
慌てて右斜め前に走り出す。そしてその軌道追従するように円錐物体が。
ドドドドドドドッ!!
「マヂ!? 普通のスライム連射できなかったじゃん!」
「ズラズラッズラ!!」
絶え間なく出現しては投射される円錐。
円を画くように逃げ回る私。
「ぬおおおおお」
やばい。思ったよりふつうにやばい。
何がやばいって精度が上がってきてる。擦りそう。
このままだとそろそろ予測投射で置き待ちとかしてくるんじゃなかろうか。
「接近! 接近ずら」
舐めプのはてに一撃も入れずに負けるとか洒落になんない。
ぐるぐる円を画きながらちょっとずつ近づいていく。
「ズララッ!!」
鳴き声が変わったと思ったら飛んできた円錐が砕けて5WAY弾に。
「ちょっと!」
避けきれないので当たりそうな1弾だけ峰ではじく。
カキーンといい音がしてはじかれた弾は地面に落ちた。
「うん。普通に叩き落とせてよかった」
それにしても中距離になると5WAYで弾幕張ってくるとか容赦がない。
飛んでくる円錐が次々に砕けて弾幕が形成されてしまい近づくのも容易じゃない。
「う~んどうしよう。素直に接近して斬っておけばよかった・・・・・・」
変に欲張って攻撃パターン見ようとか思うんじゃなかった。
私のHP初期値だし、相手は推定エリアボスだから一撃で落とされる可能性も高い。
「うそぅ。やるしかないか」
弾幕を回避しながら必要なのだけ叩き落として接近して、あのでっかい核を一突きすればいい。
「よし! やるぞ!」
大きく息を吸って。
――我が心は無にして空。
突き易い様、切っ先を前に。柄を顔の横に。
――1歩跳び跳ね、2歩駆け抜け。
目視で最短、かつ一撃も食らわないルートを割り出す。
――3歩絶命。我が一撃にて命散らせたまへ。
正確無比の足駆けで敵の懐まで潜り込み、一突き。
「・・・・・・チッ。核移動できるとか卑怯じゃない?」
間違いなく核を穿ち抜いたと思ったのだけど、手応えはなく。
「ズッラズラー」
なんかにゅっと触手が生えてきたので慌てて一歩下がった。
「ズラズラズラ」
にゅりゅにゅりゅ本体から触手が何本も生え出した。
接近攻撃はこれらしい。魔法は併用しなさげ?
「とりあえず、R-18な感じになる前に切り落とそう」
私、JKですもの。触手責めとか体験したくないかな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます