第12話 早速パッチアプデです。あと夜の探索に向けてお買い物しましょ。
―― 最新のアップデートがあります 0/3 ――
―― アップデートが適応されました 3/3 ――
「ん? あぁ・・・・・・」
ぱちりと瞼を開けば、ログアウトしたときと変わらず神殿の礼拝堂に座っていた。
「まぁ、そうだよね。これで宿屋に戻ったりしてたら逆にびっくりだもの」
それにしても、このゲームの開発と運営は働き者らしい。
オープンβテスト初日、しかもまだ現実で4時間経たないぐらいだというのにもうアップデートパッチができたらしい。
「もしかしたらVR空間で加速しながらゲーム作ってたりするのかな?」
加速空間での作業は、昨今の技術ならまぁ、できなくもない。
ただ、法で規制されないよう自重しようねっていくつかの大手会社が使用時の注意みたいな声明を出してて大体はそれを遵守している。
「ま、1プレイヤーが考える事じゃないね。・・・・・・何が変わったのかな?」
届いていた運営からのメールを見れば、初期服のデザイン変更、各種意図せぬ挙動の修正、初期武器の名称変更、武器スキンの実装忘れなど、細々とした修正と追加が入ったらしい。
「武器スキン?」
たぶん装備タブを見ればわかるだろうとウィンドウを開いた。
―― キャラクター ―― ――――――――――――――
|名前:エコ Lv:4 |武器:初心の西洋軍刀 |
|性別:女 種族:ドワーフ|――――――――――――――
|種族特性:技工の遺伝子 |頭: 耳飾: |
|――――――――――――|胴: 耳飾: |
|HP:100 MP:10|腰: 腕飾: |
|ATK:10(+100)|手: 腕飾: |
|MATK:10 |足: 首飾: |
|DEF:10 |――――――――――――――
|MDEF:10 |武器: |
|――――――――――――|頭: |
|STR:1 VIT:1 |貌: |
|INT:1 SPI:1 |胴:ディアンドルボディス |
|DEX:1 AGI:1 |腰:ディアンドルスカート |
|――――――――――――|手: |
|アビリティポイント:18|足:編み込みブーツ |
|スキルポイント:70 |下着: |
|170G |肌着:ディアンドルブラウス |
―――――――――――― ――――――――――――――
あ、うん。なるほど。そういうこと?
レベルアップで勝手にステータスあがるんじゃないのね?
あとスキルは別ページになったかぁ。
というか、スキルポイントってもしかして倍々で増えてくの?
レベル4で70ってことは2で10、3で20、4で40付与されたってことでしょ?
もしかしなくともスキルじゃんじゃん取って良い感じ?
いや、でも後半でポイントいっぱい使うスキルがあるかもしれないし、温存しましょ。現状困ってないし。
アビリティポイントは最初なんなのかわかんなかったけど、STRとかに振るポイントなのね?
まぁ、まだ振らないけど。再振りできるかわからないし。
これは1レベルあがる毎に6ポイント付与なのかな?
現状レベル30でカンストだから6×29で174ポイントもらえる筈なんだけど、どうだろう?
あとは・・・・・・武器の名称、英語のカタカナ表記やめたんだね。私としてはどっちでもよかったからどうでもいいかな。
武器スキンについては~……衣装欄に武器枠が増えてるからこれのことだよね?
ただ、これ見た目が変わるんだろうけど、使用感はどうなるんだろう?
「わからんなぁ 実際に入手して装備してみないとかなぁ」
あ、そうそうATKに(+100)ってついてるのは初心の西洋軍刀のステータス。
初期武器は一律+100なので武器差はない。
ダメージは最低値80~最高値290とだいぶぶれるけど。計算式が全然わからん。
とりあえずログアウト前の狩りでわかったのはクリティカルでダメージ倍。致命打で更に倍。
初期武器でも4倍ダメージ叩き出せるってわかったからしばらく武器更新もしない予定。
さっさとレベル30にして実装されてる最後の場所の第3町まで駆け抜ける。
といっても、まだ第2町への行き方すらわかってないんだけどね。
「よし! リベンジ行ってくるか!」
と、まぁ、意気込んだのはいいものの、外は真っ暗でした。
「まじかぁ。暗視が要る? でもなぁ、あ、カンテラとか売ってないかな」
ということで雑貨屋さんへ。
「こんばんわー」
「あらいらっしゃい。お昼ぶりね」
中央広場から程近く、5番通りの雑貨屋さん。
チュートリアルで雑貨屋さん何軒か廻ったけどここが一番安くて物が良い感じだったのでやってきました。
「お昼ぶりですダランさん。ランタンとかカンテラとか、なんか手に持たなくて良い照明ありません?」
ダランさん28歳。
ボンキュッボンな金髪碧眼美人なヒューマンさん。
カラカラ笑いながらお喋りしてくれるかわいらしい人なのだ。
「ん~手持ちの予算は?」
「すいません170Gしかないです」
「・・・・・・きびしいわねぇ。なにか売れる物持ってたりしない?」
あ、そういえば狩りのドロップ品まだ持ったままだ。
さっそくインベントリを開く。
―― インベントリ ――
|・襤褸の貫頭衣 |
|・回復薬×10 |
|・兎肉×183 |
|・兎皮×98 |
|・兎骨×22 |
|・兎牙×5 |
|・犬肉×101 |
|・犬皮×54 |
|・犬骨×19 |
|・犬牙×2 |
|・魂結晶×308 |
|・強化剤1号×50 |
――――――――――――
ん? この強化剤1号って何?
あぁ、装備の強化ができるんだ。今度やろう。今は照明。
魂結晶は換金アイテムか。フレーバーテキストが何か意味深だけど、考察厨に任せる。
「こんな感じですけど、いかがです?」
ウィンドウをダランさんの方に見せてみる。
NPCがこっちのウィンドウ見えるのか実験がてら。
「ん~ずいぶん狩ってきたのねぇ。お肉はお隣とかの食堂に卸した方がいいけど、他は買い取れるわぁ」
どうやら普通に見えるらしい。
「素材関係全部売っちゃう?」
「そうですね。売っちゃいましょう」
「ちょっと待ってね。・・・・・・・・・・・・締めて39140Gよ。これでいい?」
おぉ? だいぶガッポリ稼げたんじゃない?
「じゃぁそれで」
―― ダランとの売買を確定して下さい Y/N ――
いえすいえ~す。ぽちっとな。
―― インベントリ ――
|・襤褸の貫頭衣 |
|・回復薬×10 |
|・兎肉×183 |
|・犬肉×101 |
|・強化剤1号×50 |
――――――――――――
うん。だいぶすっきり。お肉はお隣で売れるんだっけね?
「はい。じゃぁ照明だったわね。肩掛けランタンをお奨めするわ」
そういってダランさんはゴトリと大きな金属製ランタンを見せてくれた。
真ん中がガラス製でそこが光るんだろう。
「こうやってここのボタンを押せば点くわ。光精石製だから太陽に当ててれば勝手に充填されるお手軽な品よ」
おぉすごい。ソーラーシステム的なサムシングだ。
「お幾らです?」
「15000G」
「おぉふ。けっこうしますね」
「まぁ、長持ちする製品だから需要と供給のバランス的にこんなものよ」
「ですかぁ。買います」
「まいどあり~」
そのまま肩に掛ける。西洋軍刀も肩掛け紐で吊ってるからクロスしてる状態に。
「これ、装備枠ないけど、あ、インベントリに入ってる扱いなんだ」
とりあえず、準備できたし夜の草原に行くぞ!
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