第6話 なんか変なのに絡まれました。首刎ねていいですか?
「見られてない?」
さっきからプレイヤー諸氏が私をガン見してる気がするんだけど、なんなん?
周りにはエルフのおねえちゃんとかダンピールっぽい美人さんとかいるから容姿で見られてる訳じゃないよね?
っていうか、あのダンピールの美人さんめっちゃえろい。歩き方がその筋の人みたい。
・・・・・・やっぱり初期装備の裾はもっと長くしてもらいましょう。これはだめだわ。
プレイヤー諸氏を観察しながらトテトテ東側に向かっていると二人組の男が近づいてきた。
一人は背丈最大にして筋肉も最大にしてるっぽいワイルド系ヒューマン。
もう一人は背丈最大だろうけどひょろくてなんか胡散臭そうな貌つきのエルフ。
どっちもイケメンな作りだけど、これは素じゃなくてコネコネしたやつだな。
「なぁ、嬢ちゃん。ちょっといいか?」
お、ナンパか? ナンパなのか? この幼女アバターにナンパとか極まってんな?
「なんですか?」
「えーと、その、だな。あ~」
なんだろう。なんでそんな申し訳なさそうな貌してるの?
ナンパじゃないのかな?
まてども一向に喋り出さないワイルド系にいちゃんにしびれを切らしたのか、胡散臭いエルフのにいちゃんが口をひらいた。
「あなた、チートか外部ツール違反していませんか」
・・・・・・なるほど、喧嘩か。買うしかないな。
「なぜ?」
まぁ、一応言い訳ぐらいは聞こう。さっきPK不可の設定にしちゃったしね。設定変えるの面倒だし。
あ、でも決闘システムとかあったっけ?
「あなた、スクリーンショット撮ると写らないんですよ」
す、すごい! このエルフ説明書読まないタイプだ! ゲーム内設定の説明は全部公式の初心者ガイドに書いてあるのに!!
「どうやら図星のようですね」
あ、勘違いしてる。この驚きはあなたが読めないさんだからで、図星突かれたからじゃないんだよなぁ。
ちらっとお隣のワイルドおにいさんに視線をやると頭を抱えていた。うん。こっちはわかってるな。
と、いうことは。
ささっと周囲を見回すと、とある一団がこそこそこっちを見ながら喋っている。
どれも私に嫌な目線を送ってきてるから、あれが元凶だな。
このワイルドおにいさんは通り掛かったお節介系苦労人かなにかかな?
「無視しないで下さいますか。通報されたくなければ付いてきて下さい」
ほう。ふぅん。ドヤ顔がむかつくなぁ。でもこの読めない系エルフ乗せられてるだけっぽいんだよなぁ。
というか、たぶん中身障房か低脳なんだろうな。公式の開示情報は全部読めよ、な?
「シカトするんじゃありません! 来なさい!」
ガシッと腕を掴まれる。というか、よくこの身長差で腕掴めたね。ちょっとびっくり。
まぁ、ちょっと教育指導でもしますか。こういうのは早い内に色々知った方がいいんだよ。
JKの私が言うのもなんだけどね。
ポーン
―― エコが決闘を申し込みました ――
「は?」
「あ?」
「♪」
にやにやしながら「いざ、いざ?」と煽ってやる。どうせ「刀剣舞踏」民じゃないだろうし、わかんないだろうけど煽るだけ煽る。
なんか察したのか読めない系エルフの貌が怒りで真っ赤になってきた。よしよし。さぁ受けろ。すぱっと首落としたる。
ワイルドおにいさんがなんか苦い顔してるけど邪魔しないでね、と思いを込めて視線を送る。
すると溜息を吐いて手をひらひら返してくれた。すごいわぁ。感受性高いなこやつ。
ポーン
―― KURAUDOが決闘を申し込みました ――
グッ・・・・・・。いや、いやいやいや。吹き出さなかった私を褒めて欲しい。
完全に小学生低学年のそれじゃん。
てか、なんで決闘申し込み直したし?
ん? パーティー戦? あ、ほう、ふぅん。あの一団全員刈れるなら手間が無くていいか。
―― エコが決闘を受け入れました ――
―― 方式を選んで下さい ――
fmfm受ける側が選べるのね。全損、半損、1残しの三つか。まぁ、1残しだよね。死に戻りされたら困るし。
「お、おい嬢ちゃん。6対1はさすがにみすごせねぇぞ」
あ、ワイルド系おにいさんはやっぱりお節介苦労人か。
「大丈夫大丈夫。全員一振りで落とすから問題なし」
「いや、無理だろう。嬢ちゃんLv1って出てるじゃねぇか。あいつら見てみろ。Lv5だぞ」
ん? そういえばちゃんと見てなかった。
プレイヤーの頭上を見れば名前とレベルが見えた。
どうやら決闘成立時点で相手の名前わかるようになっているらしい。
ほーん。6人とも名前ちゃんと覚えたからな~。
「まぁ、初期のレベル差4なんて誤差誤差」
「なんだその自信・・・・・・」
「さって始めましょ。ポチッとな」
―― 方式が選択されました。 1 Point Alive ――
―― 開始まで30秒です ――
次の瞬間、薄い青色の膜がドーム状に展開して私と一団を囲んだ。
ワイルドおにいさんは弾かれたみたいでドームの外で尻餅ついてた。
まわりがざわついているけど、気にしない。
なんかGMって頭上に出てる人が出現してるけど、誰かGMコールでもしたんだろうか?
止められる気配はないからたぶんやっていいんだろう。
「おい! おまえ!!」
読めない系エルフ、ではなくて一団のリーダーっぽいヒューマンが声を掛けてきた。
う~ん、見た感じは勘違い勇者系? ざまぁされるタイプの見た目かなぁ。
「俺が勝ったらパーティーに入ってもらうぞ! 一日中かわいがってやる!」
他のもにやにやしてるから似たようなこと思っているんだろう。
男6人パーティーかぁ。たしかに女の子が欲しいんだろうけど、下心隠せてない時点でダメだわ。
読めない系エルフくんだけなんか恥ずかしそうに貌真っ赤にしてるけど初心なん?
まぁ、初心だろうがなんだろうが刈るけども。
たぶん全員小学生とかなんだろうなぁ。人の話聞かない系の。
「おい! なんか言えよ!」
「ふっww」
鼻で笑ってやることにした。
「ふ、ふざけやがって!!」
おうおう煽り耐性皆無だねぇ。恰好の獲物だわぁ。
「!!?」
ん? なんで後退った? ま、いいや。
するりと抜刀して構える。
柄を両手で掴んで、峰を自分の肩にあて、片足を前に出して、腰を低く。
たぶんステータスが1しかないからあんまり早くは動けないだろうけど、三歩で間合いには入れれば勝ち。
横薙ぎに特化した私の構えは初撃一振りを躱されると隙が大きいけど一振りで殺せない時点で私の負けだから考えるだけ無駄。
敵は片手剣の勘違い系勇者ヒューマン、その近くに片手剣――刺突剣の読めない系エルフ。
うしろ四人が弓エルフと魔本エルフと槍ヒューマンと盾マキナ。
・・・・・・なんで盾役が後方にいるの? マキナ完全にロボな見た目だから表情もわからないし、何考えてんだろ?
てか、全体的にその位置取りでいいの? 連携とか一切考えてなさそうなんだけど・・・・・・。
―― Set ――
おっと。そろそろか。集中集中。
―― Ready ――
まずは魔本。次に弓。後悔するといい。私はやさしくないぞ。
―― Fight! ――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます