第二話

 翌日、俺達はバス停で待ち合わせをした。


 そのまま、バスに揺られ一時間。電車に乗り継ぎ、二時間かけて隣村に向かった。


 ゲームセンターや、ショッピングモール。アイスクリーム屋をぶらぶらまわって、かなり楽しかった。


 時刻は夕方の五時。そろそろ帰らないといけないので、駅に向かった。


 「いやー楽しかったな」絵留が言った。


 「そうだよな。俺も楽しかったよ」


 「コンドマタコヨウ」


 「そうですぅ」


 「またこれますよ。きっと」美佳は微笑んだ。


 駅に着くと、早速時刻表を確認する。田舎だから、本数が一時間に三本くらいしかない。


 運が良く後、三分後に電車が来る。


 俺達は蝉のなく声やひぐらしの声を聞きながら待った。前に住んでいた所は、高層ビルが立ち上る都会だったので、こんな自然豊かな声をゆったり聞くのはとても気持ちがいい。


 「イイモンダナ」アリエルが言った。


 「そうですいいこえです」紗良が笑いながら言った。


 こんな楽しい時間が永遠と続けばいいのにな、と思った。



 でも、人生はそんなにうまくはいかない。特に殺人を犯した俺は……。



 §§§



 週末明けの月曜日は、かなり憂鬱だ。死にたくなるくらいに。


 それでも俺は力を振り絞って家から出た。


 学校に着くと、俺を包み込む不思議な雰囲気に、恐怖心を抱いた。


 「ねぇ、帰り道に話があるから」美佳の言い方は、怒りが感じ取れた。何故だろう。



 学校が終わり、いつもの畦道を美佳と一緒にいつも通りに帰宅していた。でも、どことない緊張感が二人の間にあった。


 「ねぇ、佳くん。隠し事せずに答えてね」


 「どうかしたのか?」


 「貴方、人殺しでしょ」美佳が激しく睨み付ける。なんだよその目は、俺を人間として見てないだろ。何でそんな目をするんだよ。


 「ねぇ、どうして人なんか殺したの? 弟がうざかったの? うざかったら殺してもいいの? ねぇ!! 答えろ!!」


 俺はその場から走って逃げた。逃げるしか方法がなかった。


 「逃げても無駄だよ。捕まえてあげる」



 俺は急いで施設に帰宅し、自室に籠った。


 何で知っているんだ? 俺が弟を殺したこと。駄目だ、全身の震えが止まらない。忘れた気になっていたけど、俺は人殺しなんだ。その過去は変えられない。


 俺は恐怖からどうしようもなく壁を叩きつけた。時間を止めたい。もう死んでしまいたい。


 

 それでも明日はやってくる。



 施設の前に美佳が立っていた。俺は鳥肌がたった。昨日の夜中に雨が降った。大雨だ。でも朝には止んでいる。でも、美佳は濡れていた。色々な憶測が俺の頭の中を駆け巡る。


 「まさか、一晩中そこにいたのか」


 俺は体が崩れた。俺は死ぬんだ。運命からは逃れられない。


 意を決して施設の玄関を出た。


 


 


 


 

 


 


 


 

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