第72話・次の依頼は?

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 祝勝会の翌日。

 ライトたちは冒険者ギルドにやってきた。海賊と賞金首討伐の報告と報酬、そして新しい依頼を探すためである。

 冒険者ギルドは朝なのに落ち着きがなく、どうやらまだマルコシアスの騒動に決着が付いていないようだ。おかげで、依頼掲示板に貼られている依頼は山ほどあり、選び放題だ。

 リンは、海坊主の薙刀を持ち、ライトを見る。


「ほんとにいいの? 倒したのはライトなのに……」

「だから、功績より弾丸だって。リンの評価が上がって等級も上がれば、それだけ強い金首の依頼を受けることが出来る」

「……わかった」


 リンはマルシアと一緒に受付へ向かった。

 ライトはマリアに話しかける。


「さて、依頼でも探してみるか」

「ええ。盗賊や山賊、賞金首の依頼ですわね」

「ああ。C~B級を中心に探すぞ」


 いがみ合う二人だが、真面目な会話もする。

 ライトもマリアも、互いの実力は認め合っている。互いがリンの協力者という立場で、仲間意識はあまりないというのが現状だ。異性だが恋愛感情に発展することは断じてない。

 

 依頼掲示板を見ると、多種多様な依頼がある。

 昨日の分は殆ど残り、今日新たに貼られた依頼と合わせて掲示板は依頼書で埋まっている。

 他の冒険者は、ワイファ王国騎士とマルコシアスの捜索で忙しく、マルコシアス討伐隊に入れなかった若い経験のない冒険者は、高ランクの依頼は受けられない。

 なので、ライトたちにとってはありがたい。


「……お、坑道を占拠した盗賊団の討伐。首領はC級賞金首の『岩頭』か。硬そうな名前だな」

「こちらはまた海賊ですわ。今度はB級海賊団、『高速海賊船シップ号』の破壊と海賊団の殲滅。乗組員にB級賞金首『釣り竿のマック』がいるそうですわ」

「釣り竿……? なんだそれ、強いのか?」

「さぁ?」


 選ぶのは討伐系ばかり。それも賞金首や山賊、盗賊だ。

 本来ならパーティ数組で同盟を組んで当たる依頼だが、【暴食】と【色欲】の二人は考えもしていない。

 何枚か依頼書を引っぺがすと、リンが戻って来た。


「たっだいまーっ! ふふふ……この度、冒険者リンはストーン級からメタル級に昇級しました!」

『きゃんきゃんっ!』

「そうか。じゃあ次の依頼だけど、何枚か選んでおいたから目を通してくれ」

「海賊狙いということも考えましたが、リンはどう思いますか?」

「…………あのさ、淡泊すぎない?」


 リンはため息を吐き、ライトの差し出した依頼書を受け取った。


 ◇◇◇◇◇◇


 いくつかの依頼を同時に受けたライトたちは、ワイファ王国にある鉱山へ向かっていた。


「……昇級してさっそくB級の任務とはね」

「いいだろ別に。廃坑とはいえ、街道を通る馬車を狙った盗賊団は放っておけないからな」

「気を付けなさいリン、いいことを言ってるように聞こえますが、この方は自分の戦力を増やすことで頭がいっぱいなのですから」

「……はっ、なんだお前、俺より弱いくせに。俺が強くなるのが怖いのか?」

「あら寝言が聞こえますわね……わたしに卑劣な手を使った一撃がなければ、すり潰されていたのはどこのどなただったかしら?」

「…………なんだお前、殺るか?」

「…………あなたの内蔵の色、見せてあげましょうか?」

「だーもうっ! いちいち止めなさいっての!!」


 ライトとマリアの睨み合いは、リンによって止められた。

 この二人は決して相容れない。会話こそあるが本質は変わらない。


「ふん……とにかく、廃坑で盗賊と賞金首退治だ」

「そ、そうだね! あと、廃坑には私1人で入るから」

「「はぁ!?」」

「狭い廃坑で2人がケンカでもしたら、廃坑が崩れかねないもの。レアギフトを持ってそうなやつだけ外に追い出すから、そこはよろしくね」

「り、リン? あなた、何を」

「大丈夫。ねーマルシア」

『きゃんきゃんっ!』


 リンは、間違いなく本気だった。


 ◇◇◇◇◇◇


 廃坑から三百メートルほど離れた場所に馬車を隠し、3人は気配を隠しながら入口へ。

 入口には、2人の盗賊が欠伸をしながら見張りをしている。


「…………見張りだな」

「うん。ライト、確認する?」

「ああ。念のためな」


 ライトは『鑑定』の祝福弾を自分に撃ち込み、2人の盗賊を視る。


「……ッチ、『投擲氏』と『双剣士』か。ハズレだな」

「そっか。じゃあ、あとは私とマルシアに任せて」

「……リン、本気で行きますの?」

「うん。坑道内は狭いしね。でも、私とマルシアなら大丈夫。ね」

『きゅうん』


 マルシアは尻尾を振りながらリンの影にダイブし、リンも自分の影の中に沈んだ。

 頭だけを影からぴょこっと出し、リンは言った。


「じゃあ行ってきます。外に出たのは任せるから」

「……あ、ああ」

「お、お気を付けて……」


 リンは影に潜ると、影はすぃーっと廃坑に向けて動き出した。

 見張りの2人はまるで気付かず、影は2人の背後に回る。そして、音もなく影から浮上したリンは、2人の首を一瞬で刈り取った。とんでもなく正確な抜刀術だった。


「す、すげぇ……マルコシアスの『影士アサシン』か」

「あの子狼、リンに力を貸してますわ……」


 ライトとマリアが茂みで暫く待機していると、何やら坑道内から怒鳴り声が聞こえてきた。

 すると、慌てたように盗賊が中から現れ、入口に倒れている見張りに躓く。そして、リーダー格らしいスキンヘッドの男が出てきた。


「ったく、海坊主といい、なんでハゲばっかりなんだよ……」


 盗賊団の首領でC級賞金首の『岩頭』だ。

 背中には巨大な大斧を背負っている。ギフトは……。


「……ッチ、『大戦斧』かよ。『斧士』の上位レアギフト、どっちみち使えないな」


 岩頭は、盗賊たちに何やら指示を出している。

 廃坑内で仲間が何者かに暗殺され、慌てて飛び出してきた。そして見張りが死亡しているのを見て冷静になり、まだ中にいるはずの襲撃者を生き残りの盗賊たちで仕留めるぞ、とでも言ってるのだろう。


「ま、今回はハズレか。部下も装備系ギフトばかりだし」

「では、トドメを」

「ああ」


 人数は6人。ちょうど一人一発だ。

 ライトは落ちていた石を拾い装填、カドゥケウスを構えて狙いを定め、発砲した。

 弾丸は6人の頭部を見事に貫通、即死だった。


「おみごと、ですわ」

「どーも」


 盗賊退治2日目も、あっけなく終了した。


 ◇◇◇◇◇◇

 

「おつかれー。はぁ~……影の中ってけっこうしんどいかも」

『きゅぅん』

「マルシア、ありがとね」


 リンが、マルシアを抱いて坑道内から戻ってきた。当然だが無傷。

 入口には盗賊団の死体が転がっており、リンはそれらを避けながらライトたちと合流した。


「お疲れ。というかリン、その狼」

「うん。ギフトの力は残ってるみたい、私に力を貸してくれたの」

「リンにとって新しいギフトということですわね」

「そうかな……」


 リンはマルシアをなでると、マルシアは気持ちよさそうに鼻をピスピス鳴らしていた。

 

「さて、依頼達成だ。祝福弾は全部ハズレだったし……討伐の証としてこの斧をもらっていこう。死体はどうするんだ?」

「放っておけば魔獣が食べるから平気だよ。それより帰ろう、お腹減ったよ」

「リンってば、今日は大活躍でしたわ」

「お前は何もやってないけどな」

「くっ……」


 ライトは馬鹿にしたように笑いかけると、マリアは歯軋りをした。

 『岩頭』の大斧を馬車に積み込み、ライトたちはワイファ王国に戻った。

 ギルドの報告は明日にして、三人は祝勝会をするため食堂に入り、料理と酒を注文する。


「明日も依頼を受けるか」

「うん。しばらくはここを拠点にして依頼を受けよう。マルコシアスの騒動も終わってないし、依頼はたくさんあるはずだから」

「そうですわね。少しは歯ごたえのある相手と戦いたいのですが」


 ライトとマリアは強い。

 並のギフトでは太刀打ち出来ない。


 もし互角に戦えるとしたら……大罪神器しかありえないだろう。




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