第3話 来ない間

テッペイ君と別れた後、私は祠の外にしばらく居たが、祠の外に居ても仕方ないと思い、「中」に入ることにした。

ゆっくりと立ち上がり祠の前に立つ。

祠の中にある小さな古ぼけた木でかたどった歪なヒトガタ。それに私が触れれば「中」に入ることができる。

これがなにかわからないが、不思議なことに私は目覚めたときここから「出てきた」と、自然に理解していた。なぜかはわからないけれど。

一呼吸入れて手を伸ばす。

指が触れた瞬間。

私は足からフッと宙に浮き、吸い込まれる。

真っ暗になったらそれは「中」だ。

目を瞑っているのか開けているのか。

どちらにしてもただただ真っ暗。

恐怖は感じない。

光源はないけれど体が見えるし、足が地面についてる感覚があるので不快ではない。外に出たいと思えばいつでも出られる。テッペイ君が来るのはそんなに頻繁ではない。決まった日に来るわけではない。なので、来そうな時に外で待ってればよい。今は少し目を閉じて眠ることにしよう。

私はもう長い眠りにはつかないから。起きたときに起きれる自由がある。

これがテッペイ君が言ってた幸せなのかもしれい。

よくわからない感覚だが、私はこの感覚が少しでも続けばいいなと思いながら眠りについた。

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