【RGW 4】awの先に
竹千代
正義か悪か
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「クックック……クハハハハ! 何と馬鹿な真似を」
私の魂の叫び声が朝焼けの空にこだますると同時に、男の高らかな笑い声が辺りを包んだ。
「
その刹那、地面から突き出た一本の棘は男の腹部を突き刺し、男の言葉が謦咳へと変わる。そこには先ほどまでの嬉々とした瞳はなく、まるで幽霊でも見てるかのように『あり得ない』と言わんばかりの瞳が代わりに私をジッと見つめた。
「なぜ……まだ貴殿に
「残念だけど、あんたの言う神様ならもう一人の私がとっくに始末したさ」
私の言葉に、男は呆けた表情を浮かべた。
「もう一人の私……?いや、それよりも、貴殿が神を……殺しただと?あり得ん……、そんな馬鹿なことが」
ぶらんと垂れた腕、耳元で呼吸しているかのように男の呼吸が荒くなる。この出血量じゃ無理もない、むしろここまで意識が保てている方がすごいくらいか。
紅く染まった男の胸ポケットから煙草の箱を取り出しながら、そんなことを思った。
そういえばライターどこ置いたっけ……。そう考えながら、煙草を一本取り出して口に咥える。たぶんあの辺りにありそうなんだけど、と思いつつも、この家だった残骸からライターを探そうという気にはどうやらなれそうにないらしい。
「まさか……」
どうしようかと悩んでいた矢先、擦れた男の声が耳を打った。
「君たちのハルマゲドン計画……だったかな?実に滑稽だったよ。まるで私のために用意してくれたみたいじゃないか」
「貴殿は神を殺すために……わざと
いぶかしげな表情を浮かべる男の口に、私は咥えていた煙草を押し込んだ。
「たまには主役が悪者っていうのも悪くないだろう?」
そう問いかけてみたが、返事はなかった。
少しだけ温かい風が私の髪を揺らす。不規則に点滅する電灯と、昇り始めた太陽の光は真っ白なはずのマリーの背中を赤く照らしていた。
そんな光景に私は思わず小さく溜め息を漏らす。やっぱり、もっと美味しい食べ物を用意してやれば良かったと一瞬後悔するが、そんな後悔も溜め息と共に私の身体から消え去ってしまった。
「さて、じゃあGWを取り返しに行こうか」
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【RGW 4】awの先に 竹千代 @peanet
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