wasabi flower

嬉しそうに未来を語る君を見て、鼻の奥がツンとしたのだ。

こんな僕にも未来があったのか!

大きな衝撃と、少しの納得感。

君といれば雲だって掴めるのだ。


白く香る花弁は摘み取るまでもなく僕の傍にいて。

触れるでもなく、離れるでもなく、ずっと眺めていられたら良い。

僕は君の養分になりたいのだ。

汚れて見える僕にだって、それくらいはできるはずだから。


君が玉ねぎを剥くその指が、僕の心を一つずつ開いてゆく。

希望なんて言葉は嫌いだったけど、君の口から出る言葉なら存外悪くないな。

「振り返りたい過去なんてない」って言えなくなったのはいつからだろう。

じんわり涙が出るのは辛いからじゃないんだぜ。


不健康なものばっか食べ続けてむくみきったこの心。

君が悪い膿を全部出してくれるから、ついつい甘えてしまうんだよなあ。


いつか君に返せる日が来れば。

いつかと言わず、明日からでも。

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