ケモノ二人じゃ無理かい

君にはきっと、僕の気持ちは一生理解できない。

でもそれでいいんだ。

僕が求めているのは「理解」なんて胡散臭い代物じゃなくて、もっとたおやかで、しっかり形あるもの。


きっと僕にも君を理解できる日なんて来ない。

それでもいいと笑ってくれるか?

理解以外のことなら何だってやるから、その辺で手打ちにしてくれまいか。


「理解しあうことが大事」だって人間は言うから、せめて僕らだけはケモノのままでいよう。

我が儘で、傲慢で、嘘つきで、気まぐれで、それでも温もりを求める、愚かなケモノのままで。


わかりあえないまま生きていくことはきっと難しいけれど、共に生きるとはそういうことなんだろう。

まだわかんないけど。ずっとわかんない気もするけど。


君には僕はどう見えている?

ちゃんと両手両足生えてるかい?

僕は君のお腹に袋を見つけたよ。

哺乳類らしからぬ温かな寝床だ。

僕もたまにお邪魔するが、すぐに眠くなってしまうのが困りものだな。


僕の牙は見えてるかな?

扱いきれずも研いできた小さな武器で、どうにか君の居場所を守るよ。


僕らは別のケモノで、それゆえわかりあえない。

時々寂しくはなるが、目を逸らすよりはずっとマシだろう。


わかりあえないまま、ずっと一緒にいよう。

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