禍
静かに息を吸い込めば、虫たちの囀ずりが聞こえる。
うるさくてたまらない、少しくらい黙ってくれ。
騒がしいのは、きっと彼らが生を十分に満喫しているからだろう。
平時は羨ましくもあるが、こういう時は可哀想にも思える。
幸せなんて長く続かないって僕は知ってるけど、だからといって星が得られるわけもなく。
開いた瞳孔じゃ大事なことは何にも見えないしさ。
ああ、それでも、眠らずにいればわかるんだよ。
そよ風で枝がへし折れることくらいは。
生きるとか死ぬとかそんな大層なもんじゃなく、自分が立ってる地面を見てみなよ。
君の立ってるそこはガラスで出来ているか、あるいは鏡で出来ているか。
君が今まで飛び跳ねていられたのは単なる偶然に過ぎない。
わかったら早く寝な。
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