【RGW B】一万円札

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 …………と、最近こんな夢ばかり見る。当たり前だが、寝覚めは悪い。

 ベッドから体を起こし、パジャマを適当にたたんで着替える。その前に気分をすっきりさせるために水をあおる。これがすっかり恒例になってしまった。朝飯は適当にパンでも焼いて、それからハムとチーズでも乗せてそれで終わりだ。先ほどまである意味華やかだったはずのテーブルは、実に淋しく映る。いくら独身男の部屋だからって、ここまで殺風景でなくても良いのに。







 奴が一体何なのか。そしてどうしてこんな夢を見なければならないのか。というより、GWとは一体何なのか。

 私は呪った。こんな夢ばかり見る運命を、そして金と暇のない自分の身を。もし金と暇があれば、とっくに夢占いの本を買うなり占い師なりに相談している。それが手助けになっているのかどうかはわからないが、少なくとも少しはましになったはずだ。

 というより、何がGWだ。こちとら完全な社畜様である。予定は真っ黒、カレンダーも真っ黒。かろうじて日曜日だけは休めるが、後はすべて出勤日。しかも定時帰宅なんて4月以来一度もない。こんな所やめてやりたい。


 しかし、最近やっと金だけはできた。ブラック企業ってそんなに金出すのか?ああそうだよ、会社からの給料じゃねえよ。

「またかよ…………」

 と言いながら、口元はほころぶ。最初の頃はいぶかしく思わなかった訳でもないが、今となってはラッキーとしか思えない。小さな茶封筒、封書とかを入れる茶封筒が、ちゃんと戸締りを済ませたはずの居間、マンションの7階の居間に、ここ最近毎日置いてある。




 そしてその中身は、やはり今日も同じだった。――――福沢諭吉が、一人。一体なぜ彼は今日もまた、ここにいるんだろう。私は無理矢理に顔をしかめながら、彼を懐にしまって玄関を開けた。

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