手のひらの王国

RK

手のひらの王国

 僕らは皆、自分だけの王国を築いている。




 王様は僕自身で、王様は法律だ。


 王様に逆らう者、気に食わないやつは


 王国から閉め出される。




 けれど、ここは不可侵の国じゃない。


 誰も立ち入ることのできない


 王様ひとりだけの国は要らない。




 王様の意見に賛同する者


 王様を褒めて優しくしてくれる人


 王様と気の合う奴


 王様の好きな人


 限られた人々だけが入国を許される。




 閉ざされた様でいて


 実はほんの少しだけ開かれたこの国には、


 喜びがあり


 怒りはなく


 哀しめば慰めがあり


 楽しむは王とともに


 と、決められている。




 この国は、この民は、


 認められたい


 愛されたい


 吐き出したい


 そんな欲望にまみれた王様のために在る。




 ――手のひらに収まる画面上を指先が走った。




 僕らは皆、自分だけの王国を築いている。


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