集合
そんな話をしている内に、残りのメンバーが集まった。集まったというよりも、残りの三人が同時に来たと言うべきか。
「待たせてごめんごめん。つーか二人とも早いな」
「うん。別に待たせたわけじゃなくて二人が早いだけだから謝る必要なくね?」
「集合時間には遅れてないしね」
言いながら三人は、準備を始める。私たちもそれに
「麗香が早く来たいって言うからさー。私まで付き合わされちゃったワケ」
「別に早く来る分にはいいじゃない。誰かさんみたいに遅れるよりずっと」
「あぐ」
「違いねぇな。誰かさんよりずっとな」
私の言葉がクリーンヒットした朱音にさらに追い打ちをかける
「でも私この間会社の面接に行った時ね、絶対遅れないようと思って1時間前についたんだけど。そしたら面接官の人に『早く来すぎです』ってわりと普通に怒られた」
「マジ?クソだろその会社。内定貰ってもやめちまえそんなとこ。ネットで晒して潰せ」
「明日那口悪すぎ。まあそりゃ私もやめるつもりだけどさ。なんか時間無駄にした気分だったよ」
「折角早く来てやったんだからタピオカくらい出せってな」
「そこまでは言わないけどさ・・・」
「でも偉いなぁ
「そりゃするでしょ進学希望じゃなかったら・・・。朱音はどうするの?」
「私はほら、これがあるから!」
「成功する気満々だね」
「あったりまえじゃん!」
言いながら朱音は弦の微調整を、美咲は白黒の鍵盤を手元に置いて準備を終えた。
「
「あぁ。でも勉強したくねーなー。私も朱音くらいノーテンキに産まれたかったと思うわ」
「何それー。私が馬鹿だとでも言いたいわけー?」
「ある意味褒めてんだけどね。怒んなって」
「別に怒ってないけどね!ぷんぷん!」
「怒ってんじゃん」
誰よりもラフな格好になった葵は、その格好のまま小さな椅子に座った。
「おう、さっさと始めんぞ。早くしろ麗香」
「ええ、分かってるわ」
そして最後に私が、生きる意味をその肩に背負った。
「そんじゃまぁ始めますか!」
「おっけー!」
「準備できてるよ」
「同じく」
「私もよ」
そうして、私は。
部屋にいた時とは、まるで違う。
比べものにならないような音量で。
激しく、それでいて丁寧に。
誰もが耳を傾けてしまうような。
才能のような努力で。
音をかき鳴らした。
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