『森の休息地』

『森の休息地』

忌まわしき煤と菌糸の臭いがごった返す地獄めいた饗宴の舞台を抜け、

私は、前へ、前へと歩を進める。


暫くして休息地と呼ぶのにお誂え向きな広場に出た。

木々に囲まれ、精霊の加護も生きている。


新教会が発布する信仰の自由、その名目の元に

ル・イェに根付いた多岐にわたる多神及び思想、信条。


私は現在目の前に広がる聖域を与えてくれたいずれかの神

或いはその全ての神に感謝している。


不気味で忌々しく、発狂した蛇の如く病的な捻じれを見せる大樹の根。

そんな根の見た目には不満だが、今は腰を掛けられる事が有難い。


このように腰を掛けて手帳を開いていると心が落ち着く。

少しだけ、この広場で休息を取ることになるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る