キノコの怪物、ファンガス
キノコ人とでも呼ぶべき風貌。
驚くべきことに生物として振舞っている。
話には聞いていたが、それでも信じられず、思わず顔をしかめてしまう。
悪夢では、未知と神秘と恐怖が自我を持ち、そして存在を許される。
神経をそばだてる私に対し、『彼』は笠を少しばかり傾げ、虚を向けた。
中央に三つの虚。目と口だ。
つまり、キノコ人なりに顔を向けている行為であることに私は気付いた。
笑わせてくれる。何もない穴を目だと言うつもりなのだろうか。
瞬く粘菌、人のようにふるまう菌糸、無害な『彼ら』を私は眺める……。
そこで、私は更に気付き、思わず慄いた。
菌糸が大地を侵し勢力を伸ばす心象が、夜の帳が世界を暗闇に変えていくさまと
あまりにも酷似していたからだ。
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