黒い革細工の手帳

私が肌身はだみはなさず携帯けいたいする手帳てちょう


しかし、此処ここすで悪夢あくむはらなか

未来これからなどを記載よていする必要も最早もはやなく、これからはにしたものだけがつらねられる。


胞子ほうしが舞い、異形いぎょう跳梁跋扈ちょうりょうばっこする過剰かじょう幻想的げんそうてきな悪夢の只中で

目にした事実を書くことは酔狂すいきょうなようだが、じつ思考おのれたもすべである。


この手帳てちょう狂気きょうきわたしあいだ最後さいご防壁ぼうへきである。


あまりにも弱々よわよわしい現実げんじつとのきずなであることは自分じぶんかっている。

しかしながら、ほたるのこひかり残滓ざんしの様にたよりなくともすがほかなかろう。

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