第15話 お主も

 なんとか授業が開始する前に教室へ到着し、タオルで汗をぬぐいながら授業を受けた。


 今日は昼前の授業がなかったため、食堂近くのラウンジで課題を片付けることにした。

 さーて、どこの席に座ろうかな。


 男女グループでトランプしてるテーブル、女の子で集まって話をしているテーブル、男子で集まってスマホゲームに打ち込むテーブル、パソコン作業をしている人々…うーん今日のラウンジは混み合っていて、どうやらボッチに優しくない仕様となっている。困った…、相席か…


 友人が片手で数えられる人数しか居ない僕には、非常に困った困った状況である。

 知り合いでもいいから、だれか僕に1席分けてくれ…


 そう思いながらラウンジを見回していると、視界の端にキラキラと光る席を見つけた、おっ!4人席に1人で座って作業している男子の背中を発見した、よし、あのファッションセンスの感じられないTシャツを着ている人に相席を頼もう!


 似た人種の男子を見つけて、僕はその席に小走りで接近した。



「すみませーん、ここの席、座ってもいいですか…?」



「ん、なんだね、構わないが…………お主、僕か?」



 声をかけると男性は僕の方に振り向き、僕の顔を見たあと少し驚いた表情をした。


 僕も男性の顔みて、少し驚いた、彼は僕の数少ない友人であった。



「あっ、…メガネじゃん!」


 眼鏡をかけたこの男は、学科は異なるが高校からの付き合いのあるメガネだ。

 大学に入学してからもなぜかお互い新しい友人が出来ず、なんだかんだお昼を共にする仲である。



 お互いちょっとだけ、変わった性格である。ちょっとだけ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る