第13話 強い力
これはマズイ。僕は大学生だ、危ないことに関わってはいけない!
縄、麻袋、夜に連れ去られる、よく考えたらおかしいことだらけじゃないか!だいたい僕の隣に女の子が座るところからおかしかったんだ、なぜ気づかなかった僕!
再び感じた身の危険に、僕は落ち着いていられず、あたりを見回して出口を視界に捉えたあと、身をひねり両手を離そうとした。
「あの僕、そういうことでしたら…」
出口に向かって走らなきゃ、そう思ったが僕の思考が体に伝わるよりも早くに後ろに気配を感じた。
ガシッ
肩を掴まれた!なんて強い力なんだ。僕はロクちゃんさんに両肩を抑えられ、身動きが取れない。
「おいおいどうした、兄弟。トイレは後にするがよい。」
「いっ、、、あの、、、」
ロクちゃんさんの言動はいたって穏やかだが、威圧感が強く僕は言葉が出なくなってしまった。
「ねえ、僕くん、もう一度外の空気を吸いたければその文章を最後まで読みなさい。私達も仕事を増やしたくないの。電話をしてきたのは僕くんでしょう?」
レイカさんも僕の肩に手を置く。レイカさんの顔に笑みはない。僕は勘が鋭い方ではないが、この状況、ヤバイことはわかる。
僕の身体はガクガクと震えた。
それを察してか、レイカさんは、はーっと息を吐いたあと優しい口調で話してくれた。
「…お金稼ぎたいんでしょう、そこだけは保障できるわ。悪くない話だとはおもうわよ。」
腹くくる時だ、僕。デイズニーに行きたいのか、僕!レイカさんと行きたいのか、僕!うおおおおおおお!
僕は声を振り絞った。
「僕でも…」
「ん?」
「…こんな僕でも、ガソリンスタンドのバイトより、稼げるでしょうか…」
レイカさんは驚いたのか、少し眉毛が上がった。
「そうねぇ、慣れてくればそれぐらいになるかしらね、ロクちゃんどう思う」
「俺様の見立てではお前は、この仕事に向いているとおもうがな」
向いてる?
僕はその言葉に疑問をもちロクちゃんさんのほうを向いた。
「ご、ゴホンゴホン、それは置いといて、やるのかやらないのか」
バイト、危ない、デイズニー、美少女、いろんな言葉が頭の中を巡っている。僕は、僕は、
「やります、やらせてください!」
よく言った、そう聞こえた気がしたが僕は気を失ってしまったらしく、そこから先の記憶は無いのであった。
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