第11話 何でだっけ
縛られていた状態から解放され、僕は椅子から立ち上がった。ふぅ、あの縄、解ける様子がなかった。この人たちは相当器用なのかもしれないな…。
縄が巻かれていた手首に若干のヒリヒリとした感覚が残っていたので僕は手首をさすった。
女の子が話を始める。可愛い…!
「時間がないから、手短に済ませるわね。私はレイカって呼ばれているわ。彼はロクスケ、ロクちゃんって呼んであげてね。」
レイカ…レイカという名前だったのか。この王道美人にふさわしい名前…っ!名前すらいい香りがしてくる…。僕は身の危険がとりあえず去ったことに安心するとともに、大学で隣に座ってくれた女の子の名前が聞けて、僕はちょっとドキドキした。
「私達外で仕事をすることが多いわ。あなたもきっとそうなると思うから、困ったことがあったらなんでも聞いてね」
レイカさんはさらさらの髪をなびかせて微笑んだ。
外での仕事?逆に内での仕事があるのか…仕事の話か…仕事…仕事…仕事?僕は話の内容が掴めず返事をすることができなかった。が、御構い無しに男性が話し始めた。
「俺様の華麗な仕事ぶりを披露することはできないが、仕事のコツを教えてやることはできるからな、俺様直々に教えてやるから聞くが良い!ふは、ふは!仕事以外にも、俺様の魅力について聞きたいことがあればいつでも受け付けるぞ!まず俺様の筋肉と趣味について…」「あなたのその見せかけの筋肉についてはもういいわ、長くなりそうならまた今度にしてちょうだい」
ロクちゃんという男性の発言はレイカさんによって遮られた。ロクちゃんさんは眉をハの字にして少し寂しそうな顔をした。
「さっ、手続きに移りましょうか。何か質問はあるかしら?」
レイカさんは話をしながら、棚に手をかけて何やら準備を始めた。ちょ、ちょっと待った。とりあえず危ない人達では無さそうだが、、、
僕は控えめに手を挙げた。
「は、はい。あのー…」
レイカさんとロクちゃんさんは作業の手を止めて僕の方を向いた。
「なんだ、俺様について何か聞きたいことがあるのか」
「ちょっと黙って、で、なにかしら?」
大人2人に見つめられながら僕は、最も気になっていることを質問した。
「僕はなぜここに連れてこられたのでしょうか…?」
「ん?」
「ん?」
「…え?」
空気が一瞬止まった。
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