第4話 そりゃ夜中だから
「★週1〜OK・短期可・大学生歓迎・勤務時間は相談可!とても仲の良い職場です!」
おお、いいじゃないか!収入の例が書いてある、ふむふむ、一律じゃないのか。ほーう、1ヶ月で…はいはい、ふーむ。はっ、お金ばかり考えていたらいかん。業務内容が大事なのである、ええと。
…雑務。雑務、なんだその投げやりな書き方は。なにをするんだ具体的に書いてくれ!雑務ってなんだ、雑務雑務…。
まあ、雑務って…そんなに大変じゃないよな…多分…。お茶入れか、コピーか、片付けか、そんなところだろう、うん、多分。
僕の気持ちは、この条件の良い求人に確実に引っ張られていた。
いける、これなら半年後のデイズニィーが狙えるぞ!気分屋の僕、熱しやすく冷めやすい僕。鉄は熱いうちに打て、僕の中の僕はそう言っている!
「電話するぞおおおおお」
僕はもう片手にスマホを握りしめている。
「0、8、ほい、はい、、…ふんふん、長いなこの電話番号、えーと、もう一回確認して…えい!」
ピッ、かけた、僕は電話をかけた。呼び出し音が鳴っている。音を聞きながら壁を見ている。そこではっと思い出した。
「担当者さんの名前と、職場の名称忘れてた…えーと、[ハッピィ建築設計事務所]で、カナヤマダさんか」
建築設計事務所の雑務…?こんなアルバイトあるか、その疑問が浮かぶと同時に呼び出し音が途切れた。
カチャ
出た、喋らなきゃ喋らなきゃ。
「もしもし、求人情報雑誌を見てお電話させていただいているのですが、カナヤマダさんいらっしゃいますでしょうか。」
「……」
「アルバイトを希望している、僕といいます」
「……」
「…もしもし」
あれ?なんか失礼なこと言ったか?何も返ってこないぞ。
「プツッ、ツー、ツー…」
き、切れた⁉︎どういうことだ。考えろ、僕。…電波か、電波が悪かったんだ。それか先方が超忙しかった、そうだこれだ。時間たってからかけ直せばいい。
よーし、戦の前の腹ごしらえだ。僕は一階の冷蔵庫から夜食のメロンパンとコーラをとりだし、僕の部屋に持って入って食べ始めた。
「夜食のあとにかけ直そう、よーし…ムシャムシャ」
うまい、冷えたコーラとメロンパンはうまい。元気が出るのは確かだ。しかし、食事の場所が悪かった。僕はベットの上で食べていた。
「モグモグ、粉落ちるな。ゴミ箱ゴミ箱、よっよよよっと、とれた、ふぅー」
そしてふぅー、が悪かった。僕はベットの上に横たわり、天井を見上げた。
「ちょっと目を休めるだけ…」
僕は瞼を閉じた。
そして寝た。
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