第3話 これはキタぞ!
ガチャ、家の玄関を開けた。
「ただいま〜」
まあ、とくに誰かが返してくれるとかはない。僕の帰宅はいつも10時を過ぎている。
カチャ、今度はリビングのドアを開ける。
「ただいま〜」
こちらも、とくにお帰りが聞こえるわけではないが、部屋の隅っこで犬がこちらをチラッと見たあと、また寝た。うん、いつも通り。
僕のルーティンでは、このまま夜食を食べて、スマホいじるなり、なんなりしてから寝るのだが、今日は違う。そう、高時給のバイトを発掘するという作業を僕は遂行しなければならない!よし、やるぞ。メロンパンとコーラをレジ袋のまま冷蔵庫に入れ、階段を登り、僕の部屋がある二階へ上がったのだった。
バタン、部屋のドアを閉めた。荷物を床にドサっと置く(落とす)とすぐさま雑誌を開いた。ペラ、ペラ、ペラ(パリパリパリパリ)僕はバイトの求人情報を見過ぎたせいか、条件の良し悪しを見定めるのが早くなっていた。オープニングスタッフ、居酒屋、超短期流れ作業バイト…ほうほう、スマホで検索した時にはこれはなかったな。…ナイトバイト?ちょっとこれは、手を出しにくいな。どれも時給は他のものよりはずんでいる。さらに交通費支給や賄いあり、衣装代店が持ちます、ノルマありません、など細かく書いてある。ふむふむ、ここだけ見るといいが、問題は、
「★週4〜、5時間/日〜でお願いします!、か、これは…」
キツい、どう考えても掛け持ちでするものではない。業務内容欄をみても、細かく色々書いてあるが、調理や清掃など大まかに書いてあるところは要警戒だ。フタを開けるとあり得ないくらいキツい内容の可能性がある。僕が作成した僕研究レポートでは、こんな危ない橋は渡るべからず!とされている。あー、やめだ、やめ!
困った、雑誌でもダメか。1冊目は机の上にパサっと置いた。2冊目をパラパラと開いた。1つ目の手ごたえのない様子から、すでに意欲が下がっていた僕。というか、もう眠い。
今日も収穫なく1日が終わろうとしていたその時、
「おっ、これはっ、いいんじゃないか!」
ページの後ろの方、小さくだが、なにやら光っている(ような気がした)枠を見つけた。
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