第10話 アルティメット
「…ハァ…」「あれ?もうお食事会、終わったんじゃ無かったっけ?」辻川さんが僕の溜め息に不思議そうな表情を浮かべている…
「また違う課題が見つかったんスよ。」
「あははは…若いねぇ…」辻川さんは笑った。
「みーなーみ!土曜日どうだったの?」
机にうつ伏せになった僕はその問いに答え無かった…「ねえ、南、南ったら…」身体を揺する真莉。「はいはい…あー土曜日ね。うっ!帰りに頭を打ってから何も思い出すことが出来ない!…って事で真莉に報告する事は
何もありませーん。」「マサシの彼女の友達は可愛い娘だった?」「フツーに可愛い娘だったよ。」「覚えてるじゃんか!で、どうなの?付き合うの?」「…ったく、お前もマサシも…付き合うかどうかは俺が決めるんじゃなくて相手の気持ちもあるだろ?それに今度ゆっくり話してみてだな…」「へえ…二人で今度ゆっくり話してみるんだ。」真莉はニヤニヤして僕を見ている。「と、とにかくお前には関係ないだろ。」「チェッ、冷たいなぁ。心配してんのに…いいよ。もう。」
真莉は怒って行ってしまった。…真莉だと気にせず、自分の言いたい事を言えるのになぁ。土曜日は何を話そうか?不安になった。
三限目が終わってバスターミナルまで来た時、いつもと同じように沙織ちゃんの姿が見えた。今、声をかけても間がもたないよな。
僕はそそくさと地下鉄の方に向かって歩き始めると…
「南…くんですよね?」
彼女は僕を見つけて駆け寄って来てくれた。
「やぁ、えーっと、深田さん?」
「沙織でいいですよ。さおちゃんて呼ばれるのが多いですけど。」「じゃあ僕も陽でいいよ。さおちゃん!」
僕が冗談ぽく言ったので、さおちゃんはクスッと笑う…「今、帰りですか?」「そう。さおちゃんも?」「私は今、サークル活動の帰りです。」「ああ、鴨川の河原で…何をやってるの?」「アルティメットを…」「アルティメットって何?」
陽と沙織が話している姿を次のバスに乗った真莉が車内から見ていた…
「あれが例の彼女かな?…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます