第11話 それぞれの気持ち

「アルティメットは、アメフトとバスケを合わせたようなスポーツなんです。フライングディスクでやるんですよ。」「へぇ〜楽しそうだね。」「陽くんは何かやってるの?」「ううん。コンビニでバイトしてるから…」「私もバイトしてますよ…」そう言うと彼女は何かを思い出したように「あっ!今日もバイトなんだ…行かなきゃ。」と地下鉄の方を見た。

「じゃあ僕も帰ろうかな。」地下鉄に一緒に降りて一緒に電車に乗る。「じゃあまた土曜日に。」彼女は会釈して四条の駅で降りて行った…


…話しやすい良い子だな。でもマサシが言うようにあの子と他に誰かと付き合うなんて果たして僕に出来るのだろうか?

でも少し話して土曜日の緊張は少し解けた。

さて、僕もバイトに行くとするか…。

その日は辻川さんにも「おや、南くん。溜め息出なくなったね…」と言われた。


「ねぇ、真莉…聞いてる?」「あ、悪い…何だったっけ?」「今度のコンパどうする?」「ん…ゴメン。あたしパスで…」「えー。人数合わないじゃん。それって、南くんがダメって言ったの?」「なんで南が出てくるんだよ。」「あんたら当人同士だけだよ。周りはみんな付き合ってるって思ってるよ。好きなんでしょ?」「わ、私は別に…」「みんな学校生活にも慣れてきたから余裕が出来て、彼氏を作るのも本腰入れ始めるから早くしないと誰かに南くん取られちゃうよ。」


真莉は「あーもう。めんどくせー」と心の中で叫んでいたが、陽のことが気になってはいた。カッコいい男ではないが、話しやすくて優しいところもある。むしろ素直になれない自分にモヤモヤして、それを面倒だと思っていることに自分で気付いていなかった。




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