第6話 人見知り?

「ハァ…」ため息がまた一つ漏れた…

辻川さんが僕を見かねて「南くん、元気無いね…困り事?」と声をかけてくださった。


「今週末ね、なんか友達が女の子達と飲みに行こうって…あんま、行きたくないんスよね…」「君、草食だったの?」「そうじゃないんですけど…」「いいじゃない。そんな事、学生時代しか中々出来ないよ。社会人になったら色々しがらみもあるし…」「そんなもんですかね…」「そんなもんだよ…いらっしゃいませ!」「ハァ…」ため息の数は増えていく…



「みーなーみ!」机にうつ伏せになっていてもこんな風に僕を呼ぶ奴は誰かすぐ分かる。

「何だよ?」「土曜日ヒマ?」「土曜日は飲み会!」「誰と?」「マサシと彼女と彼女の友達らしい」「えっ?それってダブルデートみたいなやつ?」「まだ会ってもいない女の子とデートという概念は存在するのかな?」

「ふうん…」真莉は少し考えた様子で…「分かった。他を当たるよ。」と言って去って行った。


そして土曜日の夕方、三条大橋の近くで僕とマサシはたわいもない話をしていると…

「あっ!来たみたいだ。おーい!」マサシが手を振る。その視線の先を辿ると手を振っている女の子の側にもう一人女の子が…

あ、あれ?僕は目を疑った…あの子は…


手を振っていたのはマサシから聞いていた彼女の涼子さんである。そしてもう一人側にいるのは僕が時々見かける河原でサークル活動をしている女の子だった…そして驚いたのはもう一つ…その女の子が僕の顔を見て「あっ!」という表情を浮かべたことだ。


向こうも人見知りで顔だけ覚えていたとか?


「ここで自己紹介も何だし、お店に行こうか!」マサシが涼子さんと歩き出す…


僕と彼女はお互い会釈をして二人に付いて行く…気まずいのか?ドキドキしているのか?

よく分からない不思議な感情が僕を襲った。

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