第5話 土曜日の夜の約束

接客をしている辻川さんはこのバイトを始めてから本当に丁寧に教えてくれるお兄さん的存在である。本当の年齢は知らないけど、漫画家志望でこうやってバイト生活をしながら少しずつ描いているのが楽しいらしい。「南くん。レジお願い。」「あ、はーい!」


…バイトが終わり、夕飯、お風呂、就寝とこれが僕の何の変哲もない一日である。

これが大学生活というものだろうか?真莉のいうようにサークルにでも入ると変わるのかなあ…




ある日、学食に仲の良いマサシを見つけた。

「よう。」「おっ!三限目は何?」「経済。お前は?」「一緒。じゃあメシ食ったら談話室でも行こうか。」いつものコースではあるが…


談話室でコーヒーを飲みながらマサシと世間話をしていると…「俺、昨日彼女と付き合うことになったんだ。」「へぇ!良かったじゃん。」「お前はどーよ?」僕は少し考えるフリをしてから「ん…そんな浮いた話は無いな。」「渡辺とかは?仲良いじゃんか?」

ブーッ!僕はコーヒーを吹き出しそうになる。「真莉が勝手に付きまとってるだけだろ?アイツとは純粋なお友達です。ハイ。」


マサシは「じゃあさ、彼女の友達を紹介してやろうか?」「えっ?…いいよいいよ!」

「遠慮すんなよ。可愛い娘いるぜ!」

「俺、恋愛ってタイプじゃないし…」「恋愛ってタイプなのか?まあ良いじゃん。グループ交際ってのも悪くない。逆に新しいってテレビでも言ってたぞ。実は彼女とお互いの友達連れて飲みに行こうって話になってんだよ。頼むよ。この通り!」マサシにはいつもノート見せて貰ったりしてるから断り辛いな…


「行っても恋愛に発展しないかもしれないぞ。」「そこの無理強いはしないよ。大丈夫。」そんな事でバイトが無い土曜日の夕方にマサシに付き合わされることになった。


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