第2話 ファスト・フード
僕と真莉は四条通り沿いのファストフード店に入った。「南、席取っといて。私買ってくるから…何がいい?」「アイスコーヒーで良いよ。」そう言って僕は二階の客席に向かって歩き出す…
二階に上がるといつものように学生と外国人観光客で賑わっていた。僕は窓際のカウンター席に座って真莉を待っていた。
窓から見下ろすと沢山の人、車が往来を行き交う…あの頃はこの街に憧れがあったなぁ…
窓から見える景色に思い出を馳せていると隣に来たデリカシーの無い女子が僕の前に無言でアイスコーヒーを置く…「はいよ!」
僕は財布から小銭を出すと彼女に渡した。
「真莉ちゃ〜ん!お待たせ。ウフッ!とか言わないと本当にカレシ出来ないよ。」
「陽くーん!真莉のこと待っててくれたぁ?ウフフ。」「前言撤回。」「でしょ?南こそ合コン行かないの?」「俺、飲めねーしな。
真莉と一緒で彼女なんて要らねーかも。」
「そうだね。やりたい事早く見つけないと…サークルには入らないの?」「俺の事はいいからお前はどうなんだよ。」「だから南の様子見てんじゃない。」「俺が入ったらお前も入んの?」「ん〜様子を見てから…」「様子見てる間に卒業してしまいますよ。」「もう!意地悪だなぁ。」僕はドキッとした。真莉と付き合ったらこういう軽口でのやり取りになるのかなぁ…
「ほら、ポテト少しあげるから食べたら?」
「ありがと!」僕は遠慮なく手を伸ばした。
「何買いに来たんだよ?」「ん…ちょっとブラブラと…」「あっ!お前、ヒマだから俺を誘ったのか?もう…しょうがない奴だな!じゃあ俺、本屋に寄って帰るわ…」「ちょ、ちょっと待ってよ…私も本屋に行くよ!」
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