物語の始まりは青春ドラマ風。
主人公のセイヤ視点とヒロインのスズミ視点で交互に読ませるプロローグが秀逸。
セイヤはいわゆる陰キャで、いじめられっ子。
そんな彼がスズミと出会い、少しずつ距離を縮めていく。
そして二人で行く夏祭り――
いやぁー、青春っていいなぁー。
と、羨ましがりながら読んでいくことをお勧めします。
主人公のセイヤは熱血漢でもなければ、極端に弱者という訳でもない。
いわゆる普通の男の子。
だからこそ、小さな勇気を振り絞り、少しずつ自信を付けていく。
そんな等身大の成長物語として楽しめる。
その一方で、この物語の主軸は人魚伝説にまつわるミステリーである。
セイヤとスズミの前に謎の多い美大生が現れるところから、物語は大きく動き始める。
夏祭りの場面から冠島を舞台に移してのサスペンス!
少しずつ明らかになっていく人魚の謎。
ストーリーがよく練られていてとても面白いです。