リコリス
ユリ子
リコリス
私たちは、ブランドを着て生きている。それは鎧みたいに、全身をガッチリと固めて、私たちという存在を神秘めいた特別な存在にしてくれる。多くのクラスメイトがそれを自覚しているし、既に利用している子だっていた。
「ウーロン茶でよかった?」
後ろから差し出された紙パックを、頷きながら受け取った。
「お金」
「いいよ、今日は私の奢り。明日は奢って」
「うん、ありがと」
理子はにんまりと笑って、私の前の席に座った。茶色に染まった長い髪の毛が、目の前でふわふわと揺れている。
理子とは入学以来の付き合いだった。名門と呼ばれるこの女子校に、史上最短で髪を染めて来た女の子。
「だって、私にはこの髪色が、長さが、一番似合うんです」
まだ制服に着られている女の子は、堂々と先生にそう言い放った。血管が透けてしまいそうなほど白い肌に、血の滲んだような唇に、深い翠の目に、その髪色はとてもよく似合っていた。その場に居た誰よりも、己の纏うブランドを理解して、活用しようとしていた。それが理子。
私は、目の前で繰り広げられる教師と彼女の舌戦から目が離せなかった。
「ね、あなたもそう思うでしょ?」
突然求められた同意に、私は小さく頷いた。
「ほら!」
「ですから、そういった問題ではなく、例外を認めてしまうと……」
「あなたは、それが一番似合っていて、それが一番かわいいと思います」
自己プロデュース能力が飛び抜けて高い。誰よりも己を知っていて、誰よりも客観的に自分を見ている。
「頭がいいんですね」
「ちょっと、あなた!」
教師の矛先がこちらを向いた時、理子は驚いた顔をして私を見ていた。
一般的に、ここに集まっている女の子は皆、頭がいいと言われる部類だろう。人によっては、小学校に入った時から塾に通ってここを目指す子だっている。ただ、私の言う「頭がいい」を彼女は正しい意味で受け取った。だから、そのすぐ後に、彼女はにんまりとした笑顔を浮かべたのだ。
入学式が始まるからと教師から解放された私たちは、講堂へ向かう間、ずっとお喋りをしていた。
「理科の理に、子供の子で理子」
「じゃあ、私、リスちゃんって呼ぶ」
「え、ダサい」
「だって、リスとも読めるし」
「じゃあ、あなたは……」
結局、一年生では同じクラスになれなかった。けれど、私たちはずっとつるんでいたし、同じクラスの誰よりも友達と呼べる存在にあった。
理子の背中は、あの頃より広く華奢に、女の子らしい線を描いている。
「ねえ、リス」
「なあに」
「また彼氏変わったでしょ」
彼女のスマホのロック画面が違う色をしていた。それだけだったけれど、そう確信できた。
「うん、昨日」
そうやって気付かれることに慣れている彼女は、スマホの画面をこちらに向ける。どこかで見たような顔だと思ったけれど、彼女の好みの顔なのだから、当たり前かと納得した。
「今度はどこの人」
「学校はKだよ。読モやってる人」
「Kなんだ。へえ……七点」
「何点満点中?」
「十点」
「おお、高得点」
Kに通っているなら、家はお金持ちなのだろう。耳周りは綺麗に切りそろえられていて、前髪だけ少し目にかかるように長い黒髪。カラコンを入れているのだろう、グレーの目が、こちらを射抜くように見つめていた。
「本当、リスちゃんはこういう顔が好きねぇ」
「まあ、そうなっちゃいますよね」
理子はすべてに於いて武装する。髪色に始まって、メイク、ネイル、持ち物――そのすべてを、自分の鎧として纏っている。そして、楽しんでいた。
だからきっと、この新しい彼氏も、彼女のブランドの一つなのかもしれない。
「リスちゃんばっか、ムカつく」
「は? モテない訳じゃないじゃん。選り好みしすぎなだけでしょ」
一度、彼女に連れられて合コンに顔を出したことがあった。理子の集めてくれた男の子はイケメン揃いで、みんな優しかった。きっと、これ以上の合コンなんてないんだろうなと思いながら、私はその中の誰とも連絡先を交換せずに帰った。
「頭のいい人がタイプなんです」
「Kとか?」
「そういう問題じゃないんだなあ」
ウーロン茶に刺さったストローに口を付けた。あれ、ウーロン茶ってこんなに苦かったっけ。そう思って、ストローから口を離した。ストローの吸い口はガタガタに潰れていて、無意識に噛んでいたらしい。そういえば、子供の頃に行儀が悪いって怒られたっけ。ここには、そんなことで怒る人間はいない。
学校は自由だ。校則の下で享受する自由は甘い。ある程度なら何をやっても許されるし、ここでの人間関係に於いて不義理を働かなければ、排除されることもない。
私には理子という圧倒的な盾があった。彼女は目立つ。登校初日から髪を染めていたのもあるけれど、彼女の自己プロデュースは、同年代ではトップだった。美人で可愛くて、いつもかっこいい彼氏を連れている。そんな彼女の友人という私は、彼女という太陽の側で、真昼の星のように見えない存在である。
まあ、そうじゃなくても、小さな悪癖くらい、誰も気にもとめない。
「ねえ」
「ん」
「今日、初デートなんですけど」
「そこまで付き合いたてだとは思わなかった」
「今のリスちゃんは何点ですかね」
ショートホームルームのあと、しばらく鏡を覗き込んでいた彼女は、髪にブラシを通しながら話しかけてきた。
「こっち向いてくれる?」
「ん」
ご丁寧に立ち上がり、私の前でくるりと回ってウインクをくれた彼女は、やはり完璧に武装し、理子を作り上げていた。
「今のリスちゃんは……」
可愛いな、と思う。スカート丈まで完璧に計算し尽くされている。髪の長さもメイクの濃さも完璧。初デート用に気合は入っているけれど、きちんと隙もある。だから、クラスメイトは彼女を手本にしたがるのだ。
「八十七点」
「減点分は何ですか」
「くるっと回ってウインク。あざとい」
「あざとさは減点かあ」
ストン、と椅子に座って、彼女は再び鏡を手に取った。
「デートに間に合うんですか」
「デート、この辺だから」
「エンカウントしたくないんで、さっさと行ってくれるかな」
「私もエンカウントしたくないや」
理子は、私にデートしているところを見られるのが嫌だと言った。随分前のことだったけれど、彼女のデート現場に遭遇した時、それはそれは酷い顔をしていたらしい。その時に何を思ったかは忘れたけれど、やっちまった、だとか、気まずいだとか、色んな感情がぐちゃぐちゃになって、胃の上の方で内臓を潰すくらい重たく圧し掛かった覚えはある。理子は、そんな風に圧死しそうに喘ぐ私を見るのが嫌だと言った。私も圧死したくはなかった。
「ん、そろそろ行くかな」
遠慮なく鳴った無料通話アプリの通知音。理子はスマホの画面に目を遣って、鞄に鏡を押し込んだ。
「行ってらっしゃい」
「今日は部活だっけ」
「そ」
「じゃあ、あんまり遅くならないようにね」
うるせえ、と返して、教室からひらひらと軽やかに去る彼女の背中を見送った。
私も荷物をまとめて、教室を去る。彼女みたいにキラキラしたエフェクトを飛ばすこともできずに、ただ静かにモブキャラらしく出て行く。私も同じ制服の鎧を纏ってはいるけれど、彼女とは全く違った。
私の所属している文芸部は、殆ど名ばかりの部活だった。所属しているのは皆幽霊部員で、籍だけ置いて、何もせず帰っていくのだ。必ずどこかの部活に所属しなければならないこの学校で、所属しているだけで活動せずに許される文芸部は、部員数だけならどこの部活にも負けないくらいではないだろうか。
「おはようございます」
部室のドアを引いて、いつも通り誰もいないことを確認した。私一人の城と化しているこの部屋には、幾つかの机と椅子と、過去の部誌が収められた本棚があるのみだ。手前の机に鞄を放って、換気のために窓を開ける。吹き抜ける風は、心地よくも気持ち悪くもない。何の感慨もわかない。
鞄からスマホを引っ張り出して、無料通話アプリを立ち上げる。上の方にある名前をタップして、通話ボタンを押した。
「部室に着いた?」
「はい」
「うん、じゃあ、すぐ行くから」
「はい」
必要最低限の返事をして、通話を終わらせた。そのまま自撮りアプリを立ち上げて、鏡替わりに前髪をチェックする。本当はそんな必要ないのだけれど、これをしないと落ち着かなかった。
文芸部の顧問は、入学した年の担任だった。図書委員を希望し、熱意はなくても真面目に委員会の仕事をこなす私に、先生が声を掛けてきたのだ。
「表現をしてみる気はないの?」
さっぱりそんな気はなかったけれど、部活必須の学校で、その誘いは魅力的なものだった。部誌は当分出していなかったし、部長に挨拶すらすることはなかったけれど、本を読む時間を確保できるのは嬉しい事だったのだ。
「勤勉だねぇ」
一応、活動する時には顧問に声を掛けなければならない。頻繁に部活動の話をする私に、顧問は嬉しそうにそう言った。この部活に入ってから、一度も創作活動なんてしていないのに。
いちいち職員室へ行くのが面倒になった頃、顧問からの申し出で連絡先を交換することとなった。なんともタイミングの良い人だと思った。
そして、今日も通話をした。部活動という名義で。
顧問は、三十を少し過ぎた若い男性だ。この学校では若い方の男性なので、女子からの人気も高い。ここでは、若い男性であるだけで、顔面を問わず人気が出てしまう。彼はこれといった特徴もない、つるっとした印象の顔立ちをしていた。やたらとごつい黒縁の眼鏡をかけて、ようやく特徴を得るような、印象の薄い顔立ち。背が高く猫背なので、見た目だけならあまりモテそうにはない。ただ、口を開けば明るく社交的、くだらない冗談を混ぜながら授業を進めるので、人気があるのもまあ頷けた。
ただ、彼は、人格者ではなかった。
「やあ」
「どうも」
「今日もつれないね」
「まあ、いつも通りです」
彼は、自販機で売っている紙パックのジュースを手土産に部室へやって来た。私の側にそれを置くと、適当な椅子を引いて、そこへ腰を下ろす。
「おいで」
私は何も言わず、紙パックのジュースを掴んで、彼の膝の上へと座った。ごつごつとした、痩せた脚。決して座り心地は良くなく、不快なだけの椅子。その気分を誤魔化すように、ストローをパックへ突き立てた。
「不機嫌だ」
「まあ、そうですね」
「またリスちゃん?」
「私、先生のそういうところ嫌いです」
彼は私の執着を知っている。なぜなら、彼は私に執着しているから。
文芸部へ入部してから半年ほど経った頃、彼は部室で本を読んでいる私を突然抱き締めた。
「なんですか、いきなり」
「いや、ずっとかわいいなと思ってて」
「だからって、いきなり?」
「いや、君が俺に興味無いのは分かってるんだけど、どうしても」
彼の声は震えていて、リスクに怯えているのか、緊張しているのか、よく分からなかった。
「やっていいことと悪いことの分別くらい、ついてると思ってました」
「俺もそう思ってたよ」
乾いた笑いを漏らして、彼は腕の力を強めた。
「大声、出しますよ」
「出しても誰も来ないと思う」
「……そうでした」
そもそも部室棟で活動をしている部活は少ない。大声を出したところで、この建物自体に誰もいない可能性だってある。
「どうしたいんですか」
「どうしたいって訳じゃない」
「どうしたいって訳じゃない人間が、こういう行動に出ますか」
「本当に、君は、辛辣だな」
「でも、そんな私が?」
「……ああ、好きなんだよ」
「馬鹿なんですね」
心の底から馬鹿だと思った。もっと自分にキャアキャア言っている子に手を出せばいいのに。自分に微塵も興味を持っていない女に、衝動的に動いてしまう程心を動かすなんて、馬鹿で馬鹿で仕方がない。
「君だって、馬鹿じゃないか」
「そうですね」
「俺はずっと君を見ていたから、ちゃんと分かってるよ」
「分かっててこれですか」
「うん」
「謝る気もない」
「うん」
「いい根性してますね」
「そうじゃなきゃ、こんなことしてないよ」
それもそうかと思って、私は読んでいた本を閉じた。
「先生、私は先生に何もしませんしさせませんけど、この程度なら付き合ってあげてもいいですよ」
「……うん、ありがとう」
こうして、私と彼の逢瀬は始まった。逢瀬という程のことでもないけれど、彼の小さな欲を満たしてあげる小さな習慣を続けている。
「美味しい?」
「甘いです」
「本当に機嫌悪いね、新しい彼氏?」
「先生のそういうところ、ほんっとに嫌いです」
彼は私をよく見ているから、何でもお見通しだった。それは心地の良いものではなくて、彼と話す度に不機嫌になってしまうし、彼はそれを楽しんでいるようだった。
「俺は、君のこと好きだけどね」
「はあ」
ジュースを飲み干して、私は彼の膝に座ったまま、鞄に手を突っ込んだ。
「今日は何?」
「昨日の続きです」
「ふうん」
彼は興味無さげに返事をして、私の後頭部の髪を手で梳き始めた。
「相変わらずサラサラ」
「変態みたいです」
「まあ、世間一般的に言えば変態なんだろうしなあ、俺」
「ロリコンですからね」
「でもプラトニックだから」
「はいはい」
この会話を嫌ってはいなかったけれど、好いてもいなかった。私は意識を本に向ける。後頭部を往復する体温が少し邪魔だったけれど、いつものことなので慣れてしまった。そして、慣れてしまった自分が嫌だった。
日が傾いて字が読み辛くなるまで、私は本を読んだ。かなり分厚い文庫本は、二日かかっても読み切れない。なんだかもやもやとした気持ちのまま、本を閉じて、机に放った。
「足、痺れません?」
「心配してくれるの?」
「社交辞令です」
「痺れないよ、軽いから」
「そうですか」
背もたれに体重をかけるように、彼に上体を預けた。大きく伸びをして、読書で凝り固まった筋肉をほぐす。
「リスちゃんはさ、君の言う通り、本当に頭のいい子だよね」
「何、いきなり」
「いや、前、リスちゃん論を聞いてからさ、リスちゃんのことよく見てみたんだけど、本当、君の言う通りだなって」
「今更すぎません、それ?」
「まあ、余所に目移りする程の浮気性でもないしねえ」
「そうですか」
「まあ、俺も頭のいい子は好きだから」
「これ以上罪を重ねるんですか」
「やめてよ、その言い方」
彼は私の腹に腕を回して、肩に顔を埋めた。体温がうざったかったけれど、それでも少し安心してしまうから悔しかった。
「卒業したら、付き合ってよ」
「考えておきます」
いつも通りのやり取りをして、私は彼の腕を払った。
「帰ります」
「うん、またね」
「はい」
荷物を適当に鞄に詰めて、座ったまま手を振る彼に一礼した。彼が座ったままなのは、きっと、足が痺れているからだろう。
学校から駅までの繁華街を抜ける。まだふらついているかもしれない彼女に出会わないように、道の端を選んで歩いた。
「……あ」
しまった、と思った。彼女は気付いていないけれど、思い切り遭遇してしまった。
完璧に武装した女の子と、画像の通り、完璧に武装した男の子が手を繋いで歩いている。二人の笑顔は完璧だったし、道行く人が振り返るのも仕方のない話だった。だからこそ目立って、私の目にも留まったのだけれど。
男の子が何か喋って、女の子が控えめに笑う。漫画から切り取ったみたいに完璧なデートを見せつけられて、きっと、私は以前のように酷い顔をしているのだと思う。
「……ああ」
大きなため息を吐いて、視線を外した。止まってしまっていた足をのろのろと動かす。視線の端で、茶色のふわふわした髪の毛が揺れて、歪んだ。
何か、いつもと違う。いつもの彼女じゃない気がして振り返ったけれど、もう背中は小さくなってしまっていた。深追いする気もしなくて、駅へ急いだ。
「おはよう」
教室へ入って、珍しく私より早く来ていたリスちゃんに声を掛けられた。
「どうしたの」
「挨拶よりも前にそれ?」
「びっくりさせないでよ」
「うん、まあ、そんな日もあるよ」
「ああ、そう」
鞄を机に置いて、椅子を引いた。
「そういえば、昨日はどうだった?」
「イケメンはいいわ、性格もいいし」
「イケメンだからって性格がいいとは限らないでしょ」
私の言葉に返事をせず、彼女はただ微笑むだけだった。
ふと、昨日の違和感を思い出した。あの時の違和感は何だったのか聞いてみたい気もしたけれど、見掛けたとも言い出せずに、私もうっすら微笑んだ。
「今日も気合入ってますけど」
「分かる? 今日もデートです」
「お盛んですこと」
にんまり笑ってピースを寄越す彼女が眩しかった。完璧で、幸せで、何も欠けていない女の子。みんなの憧れる幸せを手に入れている女の子。その余裕すら清々しくて、潔い。羨ましい。純粋にそう思った。
「そうでもないよ」
リスちゃんは、小さく、吐き捨てるようにそう言った。
「幸せの真っただ中なのに?」
「真っただ中でありたい人生だった」
椅子の背凭れに顎を乗せて、彼女は遠くを見つめていた。私には分からない、彼女なりの悩みでもあるのだろう。これまでそれを一切見せてこなかった彼女を尊敬しているし、そして、こうして私にだけ弱音を吐く姿が愛しくて仕方がなかった。
「まあ、人生山あり谷ありって言うし」
「いつも思うけど、発言が全部婆臭いよね」
「うるせー」
一緒にけらけら笑って、一瞬でも、誤魔化しているだけだとしても、互いに抱えた何かを吹き飛ばせたらいいと思った。弱さを見せる彼女は愛しいけれど、弱った彼女は好きではなかった。彼女には常に完璧に武装していて欲しいと、羨む側の人間は思うのだ。
放課後、彼女は昨日と同じように、キラキラとした何かをまき散らしながら教室を出ていった。私は文芸部に顔を出す気もなく、しばらくぼんやりと過ごした後、教室を後にした。昨日と同じくらいの時間に、彼女達とすれ違うことが怖かったのが一番大きい。
昨日とは違って、繁華街の中心を抜けていく。あの時すれ違ったポイントで一旦足を止めそうになったけれど、振り切るように前へ進んだ。
機嫌はまだ直っていないし、相手の幸せを願えるほど大人じゃない。私はまだ頭の悪い子供だから、己が満たされることが一番だと思っている。だけど、彼女がキラキラとしていられるのなら、理想の彼女のままで在れるのなら、少しだけあのイケメンを許してやろうとも思える気がした。……気がしただけだと思うけれど。
相変わらずリスちゃんは完璧だった。イケメンの彼氏を得たことで、更にキラキラエフェクトに磨きがかかったみたいだった。クラスメイト達も彼女の変化に気付き、そして彼女の惚気話を楽しそうに聞いていた。
「付き合って一か月記念日だからって」
読者モデルをしている彼は、紙面でもそれなりに大きく掲載されているようで、ギャラの安い読者モデル業界の中でも少し多く稼いでいるらしい。少しだけ背伸びしたブランドの指輪を、芸能人の婚約発表記者会見のように掲げながら、リスちゃんは笑った。
「一か月でそれかよ」
「愛されてるなって」
「いや、重いわ、無理」
指輪は右の薬指で光っていて、彼女はその指を愛しそうに撫でていた。どんどん幸せになっていく彼女は、キラキラを増していく。キラキラして眩しくて、目が潰れてしまいそうになるくらいに。
「次、体育だっけ」
「面倒だし、生理だし、見学コースかな」
私たちは平然と生理を振りかざして体育を休む。女子だらけの世界だからこそまかり通る理由だし、教員も皆分かっていた。
リスちゃんは制服の上にジャージを羽織って、スカートの下にもジャージを滑り込ませた。短く切られたスカートの裾が踊って、床に落ちる。
「上はいいの?」
「どうせ見学だし、ジッパー閉めちゃえば大丈夫」
リスちゃんは笑って、ジッパーを引き上げた。お世辞にもかわいいと言えないジャージをしっかりと着ているのは、この教室で彼女だけだった。
「また見学?」
「はい」
彼女は見学常習犯だった。いつも何かしらの理由をつけて体育を休むのだけれど、彼女は元々体が強い方ではない。それは何年も付き合ってきてようやく分かった事なのだけれど、最初は単純にサボり癖なのだと思っていた。教員もそれは同じのようで、今日の担当はまだ彼女の体質を知らない。
「ここに座ってます」
グラウンドの端、教員の後ろの縁石が彼女の特等席だった。そこに座り込んで、彼女は私に手を振る。私はそれに苦笑で応えた。
俗に言う文学少女の私の方が、彼女みたいな体質ならばよかったのに。残念ながら私は健康優良児で、どこを切り取っても健康そのものだった。少し痩せすぎだとは言われたりもするけれど。
準備運動をしながら、私はリスちゃんを見ていた。よくよく見れば顔色が青く、表情に生気がないようだ。
「あ」
ぼうっとこちらを見ていた彼女が、ゆっくりと真横に倒れ込んだ。
「先生、先生、後ろ」
咄嗟に上げた大声に、彼女は後ろを向いた。私は声を上げたのと同時に走り始めていて、倒れた彼女の前にしゃがみ込んだ。何度名前を呼んでも、薄い瞼を閉じたまま、真っ青な顔は人形のように動かない。
「保健室、運びます」
「私が、」
「私、彼女の体質、よく知ってますから。先生、運ぶの手伝ってください」
脇の下にそっと手を差し込んで、ゆっくりと彼女の体を起こした。うっかりすると真後ろに倒れかける彼女の体を支えて、彼女の腕を肩に掛ける。腰を支えて抱き起すと、彼女の瞼が微かに動いた。
「リスちゃん、立つよ」
「……あ、うん」
正体のないまま返事をして、彼女は少踏ん張った。大丈夫、今日もただの貧血だ。少し休めば、いつも通りになるだろう。
「あ」
倒れ込んだ側、彼女の左頬に、かすり傷が出来ていた。真っ白で生気のない頬に、滲んだ血の赤が眩しい。彼女の美しい顔に出来た傷は、それ自体も美しいと思えた。
私の支える反対側を先生に支えてもらって、保健室までゆっくりと歩いた。その間、私たちは無言で、リスちゃんは半分寝ているみたいに瞬きをしていた。
保健室へ入って、リスちゃんをベッドへ寝かせた。保険医は私たちの顔を見ただけでいつものことだと分かってくれたようで、空いているベッドのカーテンを開けてくれた。
「朝から、具合悪そうだった?」
「あまり予兆はなかったんですけど、生理とは言っていたので、まあ、ありかなと」
「いつものことなの?」
「はい、割と」
「まあ、落ち着いたら教室に戻れるだろうから」
「はい、戻ります」
保険医と私の慣れに、体育の先生は戸惑っているようだった。彼女について教えて、と言われて、グラウンドへ戻りながら、彼女の体質が元々強くはないことを教えた。
「教務室で伝達とかないんですか」
「この学校、人数多いでしょう。あんまりそういうのってしてもらえないんだけど、こういうのは伝えてもらえないと困るよねえ」
まるで他人事みたいに物事を喋るなと思った。それと、責任転嫁。彼女みたいな大人にはなりたくないと、ぼんやり思った。
グラウンドへ戻ってからも、変わらずぼんやりとしていた。彼女のことを思うというよりは、彼女の異変に気付けなかった自分を責めていた。私は誰よりも彼女を見続けてきたはずなのに。ずっとずっと、彼女のことしか見ていなかったのに。どうして気付けなかったんだろう。いや、それ以前に、それ以上に。私はもっと何かを見落としている。何かを、確実に見落としている。それが何か分からなくて、でも心のどこかに引っ掛かっていて、気持ちが悪かった。
教室へ戻っても、リスちゃんは授業に戻らなかった。授業にはさっぱり身が入らなくて、トイレへ行くフリをして抜け出した。誰もいない廊下を進んで、保健室へ近付く。自分の足音も普段より響く環境で、何かが爆発したような、そんな声がした。それは聞き慣れたリスちゃんの声で、爆発しているのは感情だった。
彼女の泣き声を聞くのは初めてだった。そっと保健室の扉に身を寄せる。彼女の弱り切った声は、私の胸を締め付けて、何故だか私が泣きそうになっていた。
「やめてって、言っても、やめてくれないから、怖い、から」
途切れ途切れの単語で、小さな子供みたいに泣き喚きながら、彼女は訴えていた。私ではなく、保険医に。弱さを見せてくれるのは私にだけだと思っていた悔しさと、傲慢さと、そして、彼女の紡ぐ言葉から推測される現状に、怒りでも悲しみでもない、腹の底から湧き上がり続ける初めての感情を持て余していた。吐き気に似た感覚は、私の血液に混ざって、酸素と一緒に体中を巡っていく。得体の知れない感情に染め上げられていく。
私は教室へと駆け戻ると、自分の鞄とリスちゃんの鞄を持って飛び出した。先生の止める声を振り切って、部室棟へ、文芸部の部室に飛び込んだ。
勝手に持ち出した彼女の鞄を漁って、スマホを取り出した。パスコードは覚えてしまっているから、彼女のスマホを覗き見ることなんて容易かった。きっと、今日がなければ勝手に盗み見るなんてことは無かっただろう。後で謝ればいい、今は、なりふり構ってなんていられないのだ。
無料通話アプリを立ち上げれば、一番上に目当ての人物がいた。ご丁寧にもアイコンは綺麗に盛れた自撮り写真だから、有難い。私はそのアイコンをタップして、通話ボタンを押した。しばらくコールが鳴って、そして、途切れた。
「理子? 授業中じゃねーの」
「あの、ごめんなさい、理子じゃないんです」
「は? 誰」
「私、理子の友達で……あの、その、ずっとファンで、理子のことが羨ましくて」
私は精一杯の可愛い声で、愛想の悪い低い声に食い下がった。
「あ、もしかして、理子の親友ちゃん」
「多分、そうです」
胸を張って、彼女の親友だと名乗れなかった。今、こういうことをしているから。ほんの少しでも罪の意識があることに、私自身がびっくりしていた。
「一度会ってみたいとは思ってたんだよね」
「本当ですか! 嬉しいです」
全く嬉しくなんてない。彼に対しては嫌な感情しか持っていない。けれど、今は、嬉しい私を演じなくちゃいけない。
「あの、これから会えませんか」
「は? 今から」
「理子が戻ってきちゃったら、こんなチャンス、もうないと思うし……」
「ああ、そっか」
彼は軽く返事をして、そして待ち合わせ場所を指定してきた。先月、二人を見かけた繁華街近くの公園。きっと、いつも二人はそこで待ち合わせしているのだろう。平然と二人の場所を塗り潰そうとする彼の無神経さに、眩暈がした。
彼女の鞄を保健室の前へ置いて、私は学校を抜け出した。完全に衝動だけで動いていた。私を衝き動かすのは、あの正体の分からない感情。それが私の足を前へ出す。本来ならば、私が動く必要はないのかもしれない。むしろ私が動くべき問題ではないのだろう。けれど、私が私を許せないから、罪滅ぼしでも何でもなく、私が全て終わらせようと思っていた。
「すみません、お待たせしちゃいましたか」
公園の入り口で、私は前髪を直した。いつもの癖、落ち着くための儀式を済ませて、彼の前に立った。
「あ、理子の言ってた通り、かわいいね」
さらっとそう言ってのけた彼は、整った顔を、自分でも分かっているのだろう完璧な角度で歪ませた。一般的には笑顔と言われる表情なのだけれど、私には歪んでいるようにしか見えなかった。
「そんなことないです、けど、ありがとうございます」
私も同じように顔を歪めて、また前髪を直した。
「じゃあ、行こっか」
差し伸べられた手を取って、私たちは歩きだした。あの日二人が歩いた道を、私はなぞっていた。同じ方向へ、同じような表情を浮かべながら。私はリスちゃんと比べるとかなり劣ってはいるけれど、やはり同じ鎧を纏っているのだ。すれ違う人の目線は、あの日私が見ていたものと同じもの。憧れとか嫉妬とか、様々が入り混じった視線を浴びて、込み上げる吐き気を抑え込むのに必死だった。
彼は頭が悪い。学力はあるのだろうけれど、彼の言葉は自尊心と自己愛と傲慢さと、幼さの塊をただ吐き出しているようだった。彼の話を殆ど聞き流しながら、適当に頷いて、適当に笑うだけでも苦痛に感じてしまう。いつも相手にする男性が、先生だけなのは考えものだと少し思った。これからの人生、きっと、こんな馬鹿を相手にする機会の方が多いのだろうから。
「今日はありがとう」
「こちらこそ、会ってくださって、ありがとうございました」
適当に繁華街をふらついて、カラオケに入って、お茶をして、例の公園で解散した。彼と過ごしたのは三時間程度だったのだけれど、その三時間が四倍にも五倍にも感じられるくらい、苦痛で仕方がなかった。
沢山の苦痛に耐えて、私が得たのは、彼の個人情報と、彼の性格だった。欲しかったものは全て手に入れた。もう二度と会わなくていい。そう思うと、溜息が漏れた。連絡先を交換したアプリには、既にまた会いたいだなんて内容が書かれていたけれど、適当なスタンプを押してそのまま画面を閉じた。
「おはよう」
教室へ入って、リスちゃんの顔を見て、昨日から渦巻いていた感情が少し和らいだ気がした。顔色もすっかり良くなっていたし、何より、ここ最近で一番完璧な笑顔を浮かべていたことに救われた。
「おはよう。ねぇ、昨日、何かあったの」
「何かっていうか、まあ、何かはあったけど」
泣き喚いていた彼女の瞼が腫れていないことに安心した。
「何で濁すの」
「いやあ、濁すっていうか」
「歯切れ悪くない? らしくないよ」
彼女が笑って、そして少しだけ、眉尻を下げた。
「大丈夫? 何かあったの? ここで話せないなら、場所変えて聞くけど」
「何かあったって訳じゃ……」
「様子おかしいよ。行こ」
半ば強引に彼女に手を引かれて、部室棟へ入った。彼女も何度か文芸部へ来たことがあった。
「ここなら、安心でしょ」
「……まあ、そうかな」
私の城だ。私の城だけれど、朝の顔を見るのは初めてだった。そのよそよそしさに、少しだけ怯んだ。
「何かあったっていうか、さ」
リスちゃんは、相変わらず完璧に笑っていた。
「昨日、私、見たんだよね。ねえ、人の彼氏取って楽しい?」
完璧な笑顔だけれど、頬に貼られた大きな絆創膏が痛々しかった。そして、私を見る目も。
「人のスマホ勝手に弄って、人の彼氏取って、そういうことするなんて思ってなかったからさぁ」
言葉は強かったけれど、声が少し震えていた。
「あんたみたいなのに裏切られたのもむかつくし、ていうか、あんた、マジで何してくれてんの」
言葉がどんどん荒くなって、震えが大きくなって、目尻にはきらきらと涙が浮かんでいた。私は何も言えなかったし、言うつもりもなかった。何の言い訳もできない、言い訳する気もない。どう考えても、彼女からすれば私は裏切り者でしかないのだから。
「ねえ、ちょっとは返事したらどうなの」
彼女の手が伸びて、私の肩を強く押した。少し体が揺れたけれど、それだけだった。
「何なの、馬鹿にするのもいい加減にしてよ! ずっとずっと私のこと、馬鹿にしてたの! あんただけは、ちゃんと友達だって信じてたのに」
信じてたのに。その言葉が痛くて、視線を下げた。その先で、銀色が小さく光る。
「あ」
彼女がそれを振り上げて、それがこちらへ降ろされる前に、彼女の胸元へ飛び込んだ。彼女の体が大きく揺れて、真後ろへ倒れる。私も勢いのついたまま、彼女の上へ倒れ込んだ。
「……ねえ、そんなに大事なの」
信じていた、私を失くしてもいいくらい。そう思ったら、悔しくて涙が溢れて来た。私には泣く資格なんてないのに。
「リスちゃんを傷つけて、罵って、そんなことで笑うような男が、そんなに大事なの」
「なんで」
「昨日、保健室で泣いてるの聞いちゃったから! なんで、そんな男がいいの! なんで、そんな男に必死になるの」
「なんで、あんたにそこまで言われなきゃなんないの!」
「だって最低じゃん、リスちゃん傷ついて泣いてんじゃん! 私はリスちゃんの友達だから、泣かせるような奴、ボロクソに言うよ」
彼女も私も泣いていて、二人の感情もぐちゃぐちゃで、全部が全部、ぐちゃぐちゃだった。
「私の方が、リスちゃんのこと、ちゃんと好きなのに」
「……何、それ」
勢いのついたまま放ってしまった言葉に、彼女の声が強張った。
「気持ち悪い」
彼女の拒絶はもっともで、予想していた通りのものだった。
「気持ち悪いよ」
私は漸く泣き止んで、漸く笑うことができた。
「デートの度に殴って、罵って、支配下に置く男も最低だけど、その男から好きな子を引き離すために、勝手にスマホ弄ったり、デートしたりする女も最低。でも、仕方ないじゃん、好きなんだもん。好きな子守りたかったの、助けたかったの、それだけ」
彼女は私の言葉を、ただぽかんとした表情で聞いていた。涙は相変わらず零れていたけれど、少し口元が歪んでいて、それが拒絶なのだと思った。
「気持ち悪かろうがなんだろうが、なんでもいい。興味のない人間から向けられる好意なんて、気持ち悪いだけでしょ」
感情が昂ると、自分でも何を言っているのか分からなくなってくる。
「ああ、論点ずれた。クズ男からリスちゃん守りたかっただけなの、それだけなの! 傷つけるばかりの男のこと、そんなに大切なの? 自分よりも? 傷つく自分よりも大切なら、勝手にしなよ」
体を起こして、彼女が握ったままのものを、彼女の手ごと握った。剥き身の刃が掌に刺さって、熱かった。痛いじゃないんだ、なんて少しどうでもいいことを思った。
「あの人モデルでしょ? だから、個人情報聞くだけ聞いて、晒して潰そうと思ったの。でも、それする前にリスちゃんにバレちゃった。傷つけてごめんね。好きな子傷つけるなんて、私もあの男も同じくらい馬鹿で幼いよね。ごめんね、リスちゃん」
掴んだままの彼女の手を引き上げて、その刃を頬に当てた。
「馬鹿」
彼女の手に力が籠る前に、当てた刃を滑らせた。やっぱり頬も熱くて、彼女の顔は青褪めていて、また傷つけたのだと思い知った。今の私は何をしても彼女を傷つけるのかもしれない。喋るのをやめよう。行動するのをやめよう。
「馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿」
彼女は壊れたみたいに同じ言葉を繰り返して、これまでよりも一層激しく泣いた。
「あんた、本当に馬鹿」
握っていた手を離したら、彼女の手からも力が抜けて、カッターナイフが床に落ちた。私の血も床に散って、ドラマを見ているみたいだと思った。
「リスちゃんの、馬鹿」
遂に彼女は両手で顔を覆って、子供みたいにわんわん泣いた。私は何もできずに、ただ呆然とそれを見ていることしかできない。
「……おい、何だよ、これ」
聞き慣れた男の声がして、そちらを振り向いた。
「先生」
目が合って、立ち尽くしていた先生が駆け寄った。
「何してるんだよ、二人とも!」
リスちゃんは返事もできないくらい泣いていて、先生は私の頬に触れて、そして掌を強く握った。
「痛いです」
「何してるんだよ、馬鹿」
「リスちゃんの、馬鹿」
泣き喚く彼女が、その言葉だけをはっきりと言うものだから、つい笑ってしまった。
「笑いごとじゃないだろ」
「笑うしかできないんですよ」
泣き喚くリスちゃんと、笑うリスちゃんと、頭を抱える先生の図式は、滑稽だなと思った。
リスちゃんは泣きすぎて過呼吸を起こして、ベッドで休んでいた。私は保険医に処置をしてもらって、生徒指導室で先生とにらめっこしていた。
「頭のいい子だと思ってたんだけどなあ」
「自分でも意外でした、まさかここまで直情型だなんて」
「今、そういう態度取られると、流石に頭に来るんだけど」
「すみません」
先生は珍しく感情を滲ませて、私の頭を軽く小突いた。
「君の行動は褒められたものじゃないけど、気持ちは分からなくもない。加減とか、限度ってものを知ってください、莉子」
「……はい」
珍しく呼ばれた名前に、彼の真剣さを知る。
「リスはリス同士、仲良くやってよ」
「もう無理だと思いますけど」
「寂しくなったら、俺のところにおいで」
「それはないと思います」
「……ああ、そう」
先生は呆れたように呟いて、机に突っ伏した。
「ねえ、先生」
「ん?」
「恋人と友達と、信頼できるのってどっちなんですか」
「どっちも最低だとして?」
「そう」
私は彼女と同じ鎧を纏って、彼の前に座っていた。私自身、この鎧の威力を知っている。レアリティも何もかも、認識している。同じ名前を持って、似たような価値観で友達という存在になれた私たち。それでも、最初から違う方向を向いていたのだから、いつか綻びが生まれてしまう。憧れて、羨んで、その背を見つめていたから、綻ぶのが遅かっただけなのだ。遅かったからこそ、その掻き傷が大きかった。それだけのことなのだ。
「そんなの、リスちゃんに聞けよ」
「そうですね」
さすが先生、的確なことを言う。
リコリス ユリ子 @bon2noir
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