第9話 殺人パレード(前編)

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〜殺人パレード(前編)〜


こんにちは!神代沙奈です!警察庁特殊派遣捜査管理局捜査課福岡係の係長してます!

最近の福岡県では、スリや窃盗事件が多発し、盗犯を担当している県警本部刑事部捜査三課や所轄の刑事三課、盗犯係が忙しそうです。


日曜日のこの日は、高校生が被害者の殺人事案の捜査本部がたって3日で事件が解決してしまい、特派捜福岡係は暇でした。


私達特派捜は、県警本部近くにある一軒のアパートにみんなそれぞれ一部屋ずつで住んでいます。しかし、寝る時は、誰かの部屋にお邪魔して、誰かと寝るのが多いです。特に女子が多い福岡係は。


次の日の朝、みんな暇なので、各自の学校へ行く準備をしていると私の携帯が鳴りました。

「はい、神代です」

「木村です。今から臨場できるかな」

「あ、本部長!おはようございます!できますけど、事件ですか?」

「あぁ、すぐに行ってもらいたい。高校生くらいの男女の惨殺遺体が博多埠頭で発見された。大賀班にそっちに迎えに向かってもらってる」

「わかりました!臨場します!」

ということで、また学校へは行けませんでした。みんなに知らせるために、福岡係のLINEグループに『博多埠頭で殺人事案発生!福岡係臨場要請あり。至急準備!』と送り、制服から私服に着替え、カバンを通学かばんから臨場用のカバンに変えて、カバンの中にポリスジャケットと必要な物を入れました。


数分後、捜査一課大賀班の坂本さんと大賀主任が車で迎えに来てくれました。二台の車で行きます。


私は第一班と共に坂本さんの車に乗りました。

「おはよう!行くよ!全員揃った?」と坂本さん。

「千春と七海が学校に行っちゃって、現地に行くって言ってました。それ以外は揃ってます」と私が言うと、

「じゃ、出発!」


「どんな感じですか?現場」

「俺もまだ行ってないんよ。主任は、行ったみたいだけど」

「惨殺って聞いてるけどどのくらいなのかな?」


数十分後、現場の博多区博多埠頭に到着。

「お疲れ様です」と坂本さん、大賀さんは中に入って行きます。私たちもって思ったら、やっぱり、地域課員さんが

「君たち、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ?」

「特派捜福岡係です!」と警察手帳を見せました。

何回したんだろう。このやり取り。

そして、報道陣にバレないように全員がポリスジャケットを着ました


被害者のところへ着くと、ブルーシートの上に、4人分の着服の胴体、足、腕、首がバラバラにおいてありました。惨殺ってこう言うことか。

最初は4つの大きめの袋に入れられてた様です。

「4人も・・・・」と冬華。

「いや、人間は2人だよ」と大賀さん。

よく見ると、4人分のうち2人分はマネキンでした。

「被害者名は?」と亮太。

「えーと、同じ袋に入れられてた生徒手帳から、女の子の方が安川舞、男の子の方が東堂祐也。ともに18歳の高校三年生」と博多署刑事課の樋渡巡査部長。前にカラオケ殺人の時にお世話になった刑事でした。

「この二人、付き合ってたのかな〜」と冬華。


樋渡巡査部長がいるってことは。

「あ、永島警部補!」と拓人。

すると、永島警部補が「おぉ!あの時の!」

と嬉しくない再会でした。


しばらくすると、機動捜査隊の中村さん河野さんコンビが来ました。

「お、特派捜も臨場中か。朝からお疲れ様〜」

「あ、お疲れ様です」

「これがこっちの被害者か」と河野さん。

「こっちのって?」と亮太。

「あぁ、ここのすぐ近くでも、漁師の遺体が見つかったんだ」

「漁師?」と冬華。

「あ、海岸線だから、船とか?」

「うん、よくわかったね。さて、帳場立つかなー」


予想通り、その日のうちに博多警察署に捜査本部が設置されました。捜査本部名は「博多埠頭連続惨殺事件特別捜査本部」になりました。捜査本部は、私達特派捜、捜査一課殺人2係大賀班、3係菊田班、博多署刑事課に加え、付近の所轄からの応援要員が入りました。幹部席には、捜査一課の室島管理官、博多署長の河本さんがいました。河本さんは、特殊キャリアで、元育成課だったそうです。


最初の捜査会議で室島管理官により、事件の概要が説明されました。


「まず第一の事件。本日06:37、博多埠頭に停泊中の漁船にて、男性の遺体が見つかった。被害者氏名がわかるものがなかった為、現着した博多署刑事課が他の漁師に確認したところ、氏名が判明。被害者氏名は、博多区祇園町の菊川郁人、37歳。死因は溺死」

そして、博多署の刑事が1つ報告。

「また、遺体の近くにには2つのイニシャルキーホルダーがおちていました。画像は資料からお願いします」

「うん。そして第二の事件。07:05、付近の岩陰でバラバラにされた4人分の遺体が入った袋が見つかった。第一発見者は朝の散歩中の老人男性。散歩中の犬が吠えたので確認すると、血痕付きの袋を発見。4人分中2人分はマネキンだった。被害者氏名は、同じ袋に入っていた学生手帳より、私立高校3年東堂祐也、安川舞。ともに18歳。死因は失血死。こっちは、付近にて『井上咲』さんの教諭名札が発見されている」

そして、また別の刑事が報告。

「現在、井上咲さんの身元確認を急いでいます」

「また、第一の事件で発見されたイニシャルキーホルダーのイニシャルと第二の事件の被害者の東堂祐也、安川舞のイニシャルが一致した為、この2つの事件は同一犯の可能性が高い。それでは組分けを発表する。大賀班坂本と博多署永島警部補・・・・」

一般捜査員の組み分けが終わり、刑事たちはそれぞれ捜査に出かけました。

すると、博多署長の河本さんが私達に寄ってきました。

「君たちが今の特派捜だね。いや〜、懐かしいな。莉奈ちゃんが今は局長だもんな〜。さてと。特派捜のみんなは第二の事件の被害者2人の身辺調査に向かってほしいな。何かわかったら連絡頂戴!」

「了解です!」


その日の下校時刻を狙って、2人の学校へ亮太と私で向かいました。

「あの子、行ってみよう!」と話しかけたのは、被害者と同じ3年生でした。

「あのー、すみません、東堂祐也さん知ってますか?」

「あ、祐也すか?知ってますよ。なんかあったんすか?」

「うーん、特にないんやけど、彼に頼まれて、情報集めてるんですよ」と亮太。

「なんか、あったんすか?」

「なんか、バイト中に視線を感じるって言ってて、それを調べてるんだけど、何か知ってますか?」

「視線かー。あ、それ舞のことじゃないすか?」

「あ、舞さんじゃなくて他の子とかないですか?」と私が言うと、

「あ、もしかしたら古畑のことじゃね?」

「え、その子もこの学校?」と亮太が聞くと、

「あ、はい。隣のクラスですけど。あいつも祐也のこと狙ってるんじゃないんすかね」

「へー、わかった。ありがとうございます!彼に聞いてみます」

そして私たちはその場を離れました。


翌日、県警本部へ行こうとすると、電話が鳴りました。

「はい、神代です」

「あ、大黒です。第二の事件のそばにあった名札の井上咲さんが殺されちゃった。すぐに来れる?」

「了解です、全員で向かいます」


すぐに現場へ向かいました。南区の公立小学校の校門前でした。今度は女性の生首が置いてありました。第一発見者は、出勤して来たその学校の校長先生でした。

現場には殺人犯3係錦戸班が臨場していました。

「お疲れ様でーす。特派捜只今臨場しました」


遺体の付近からは第一の事件の被害者、菊川郁人さんの船舶免許が発見されました。

この日は、捜査のため、学校は休校となりました。


そしてその後、近くの神社で残りの部分が発見されました。


その日の昼の捜査会議で、三件の現場にあったものから共通の指紋が検出されたと言う報告がありました。また推定死亡時刻が順に三件目、二件目、一件目ということが判明しました。


すると、美穂が「ね、これってさ、被害者の名前、順番変えるとしりとりになってない?」と言うので、やってみると、本当に綺麗にループしていました。しかし、千春は

「まぁ、たまたまなんじゃない?」

と言うことでした。


その日の夕方、私と直樹で第二の事件の被害者の自宅付近の住宅街で聞き込みをしました。

すると、大事な証言がとれました。

「すみません、この2人をご存知ですか?」とおばさんに聞くと、

「あー、祐也君と舞ちゃんね。知ってますよ。この2人と古畑美桜ちゃんが仲が良かったんよ」

「え、古畑?」と直樹が反応しました。

そう、昨日の学校での聞き込みでも出た古畑さんでした。

「すみません、その子について詳しく教えてください」

「3人が昔は仲が良かったんやけど、最近は仲が悪いのか別々に行動してるみたいね」

「すみません、古畑さんの写真とかありますか?」

「あぁ、あるよ。去年の夏祭りの時に珍しく3人でいたから、写真撮ったのよ。それがあるわ。ちょっと待ってね」

するとおばさんが一枚の写真を見せてくれました。

その写真には、浴衣姿の3人の姿がありました。

「あ、これ写真に撮ってもいいですか?」

「あ、いいよ」

ということで古畑さんの顔写真を入手することができました。


私達はすぐに捜査本部に戻り報告し、古畑美桜さんを重要参考人として手配しました。


そして、数時間後、捜査本部に連絡が入りました。対応したのは、大賀班日野さんでした。

「はい、捜査本部大賀班日野です」

「通信指令課です。今、古畑美桜さんの母親からの通報を受け取り、捜査本部に繋げてと言うことですが」

「あ、お願いします」

母親が110番って、何かあったのかな〜


「お電話変わりました。捜査一課の日野と申します。どうされましたか?」

「あの!えーと、そのー」

「まず、落ち着きましょう。深呼吸して〜」

「ありがとうございます。えーと、そのー、さっき娘から電話がありまして、今大阪にいるそうです」

「え、本当ですか!わかりました、ありがとうございます」


と言うことで、私達特派捜と大賀班は古畑美桜さんを追って大阪に行くことになりました。



さて、大阪で無事に話を聞くことができるのか。


後編へ続きます!

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