第5話〜福岡で女子高生やってます!〜

1-⑤

〜福岡で女子高生やってます!〜


みなさん、こんにちは!

警察庁特殊派遣捜査管理局捜査課福岡係第二、石垣美穂巡査部長です!

最近の福岡係は、管理局の統計で全国の特派捜の犯人検挙率ベスト3にランクインし、喜んでいます!それなのに、福岡市内で中高生や20代前半の女性を狙った、盗撮(福岡県迷惑行為防止条例6条)や痴漢や公然わいせつなどの性犯罪が多数発生しています。


この日、私は下校のためJR博多駅から吉塚駅まで電車に乗りました。たった一駅なんですけどね!


帰宅ラッシュの満員電車でした。私は出入り口付近に乗りました。電車が出発して1分後のことでした。


「きゃっ!」

思わず声が出てしまいました。

私のお尻を誰かに触られました。冷静に、冷静に。落ち着いてっと・・・・

犯人の手首を捕まえ、次の停車駅まで離しませんでした。

そして次の駅。降りました。


「さっき、私のお尻、触られましたよね?」

「え、えぇ。ごめんなさい、つい手が・・・・」と渋々認めたので、

「警察行きますよ!ほら、来て!」と近くの交番に連れて行こうとしたら、逃走されそうになったので、仕方がなく・・・・


「17時15分、迷惑行為防止条例違反で現行犯逮捕します。」とカバンから手錠を取り出し、逮捕しました。


そして、駅前の交番に引き渡しました。


それから数日後のことです。

私が逮捕した男性、堀野誠容疑者(32)が、博多署での取調べで、「ネットで、誰が女性の下着や陰部を綺麗に撮るか競う掲示板がある」と供述したことにより、県警本部生活安全部子ども・女性安全対策課とサイバー犯罪対策課を中心とした捜査本部ができました。


また、私たち特派捜福岡係も捜査本部に加わり、被害者の捜索、下校時刻には盗撮犯、痴漢犯の検挙を行うことになりました。残念ながら、第一班は別の事件で忙しいので、捜査本部に参加したのは福岡係第二班のみでした。


数日後の捜査会議で、サイトの存在発覚からこの日までに20件の性犯罪が発生し、そのうち17件が検挙済みという報告が出ました。

また次の日、私と似た感じで公然わいせつ容疑者を第二班のふゆゆこと中宮冬華巡査も検挙したそうです。


「いやー、びっくりしたよ!下校中、急に下半身裸の男が出て来て、追いかけてくるんだもん!突進して来たから一本背負いで落としたけどね〜〜」


中学2年生女子の一本背負い、見たかったなぁ〜。また、男子の二人は防犯カメラの映像で盗撮犯探しをしていました。何人か被害者を発見したそうです。


そして、サイバー犯罪対策課の菊地巡査部長の捜査により、例のサイトの管理人の男を見つけました。


子ども・女性安全対策課の皆さんと今回は特派捜の代表として近藤亮太君と私が、男の部屋をガサ入れをする為、サイトの管理人の門倉の自宅に向かいました。


ピンポーン!と間抜けなインターホンを鳴らしながら自宅の前で待っていると、「はい〜、なんか御用ですか?」と門倉の母親が家の扉から出てきました。


「警察の者です。和希さんはご在宅でしょうか?」と尋ねると、

「いえ、今は大学のゼミ旅行でハワイに行ってるので、来月まで帰りませんが?」と母親の美佐子は言いました。


この時、得ている情報から考えると息子の和希が旅行に向かった翌日から画像や映像が更新されている事から和希の使用しているパソコンを家族である誰かが使用している事も考えられた為、母親である美佐子に家宅捜索の令状を見せ、息子の部屋にあるだろうパソコンを押収するべく、捜査員達は部屋に向かいました。


「整理整頓されてる!きれいなお部屋〜」亮太がそんなことをつぶやきながら和希の部屋の前に向かい、家の中の間取りを確認しながら階段を登っていると家の突き当たりに部屋が三部屋ありました。


和希の部屋を開けると、そこは一大学生が勉学に励んでいるとしか思えないような、清潔な部屋でこんな場所が少女たちの画像などを管理しているとは、到底思えない部屋でした。パソコンは外部からでも、自分のサイトの管理はできる為、一応、息子の使用しているパソコンは、どれかと美佐子に尋ねてみました。


「え!息子のパソコンは主人が処分したはずですが」と想定外の答えが帰ってきたので、すぐさま本部に連絡をいれ、サイトの画像や映像の情報が更新されている場所の特定をサイバー犯罪対策課に確認してもらいました。するとやはり、この家の中から更新している事、更新される時間が夕方から夜に掛けて行われている事から、和希の父親の正太郎が捜査線上に可能性として浮かびました。


「見つかんないなぁー」

「どこだろうねー」

一通り探しては見たが和希の部屋からはパソコンは見つかる気配がなかった為、容疑者自身に場所を教えてもらうべく、正太郎さんが家に帰るのを待つことにしました。


1時間後、正太郎が帰宅するのを確認し、事前に家の外に待機していた捜査官にインターホンを鳴らしてもらい、家宅捜査をしていた捜査官は、美佐子の協力で家の中に潜んでいました。


「そんな簡単に隠している場所わかるのかな?」と捜査員に確認していると、正太郎が帰宅したので、家の外に待機していた捜査官に連絡をいれました。


そして、インターホンを鳴らし正太郎自身に警察が来た事、盗撮などの犯罪が門倉和希名義で行なわれている事をインターホン口から伝え、正太郎自身にパソコンを隠蔽工作をさせる為隠し場所に向かうのを亮太と捜査官2人でどの部屋に入って行ったか確認後、パソコンを押収するべく、向かったのです。


「はい!そこまで!」

正太郎が書斎のクローゼットの奥に隠してあったノートパソコンに手を触れ、起動した直後、捜査官が正太郎の持っているパソコンを押収しました。

「誰だ!お前達は!」と聞かれたので

「福岡県警子ども・女性安全対策課です」と答えました。


するとその直後、部屋の入り口にあったゴルフバックからドライバーを取り出し捜査員2人の肩を殴りパソコンを奪い破壊しようとしたため、亮太が正太郎の背後をとり、その場で公務執行妨害ならびに証拠隠滅未遂により現行犯逮捕となりました。



後日、押収したパソコンから、3年間で合計、120近くの女性や少女の盗撮写真や、動画が収録されていた。

その証拠により、わいせつ物頒布等容疑(刑法175条)で再逮捕となりました。


県警本部特派捜スペースにて。

「いやー、良かったね、見つかって」とふゆゆ。

「お疲れ様!ってか、本当に一本背負いしたの?」

「うん。久々にしたから、腕が筋肉痛〜」

と談笑していました。


後日のことですが、特派捜茨城係さんが殺人事件の捜査で、テレビカメラに映ってしまい、一度ですが、「学生くらいの捜査員がいる!本当に学生なのか?」と騒がれたので、管理局の山崎局長が報道規制を敷き、大事に至らずすみました!


さぁ、今後もたくさん事件を解決していくぞー!

目指せ、検挙率No.1!

頑張るぞー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る