第9話 フェス――舞台の始まり

「はい、ギリギリではありましたが舞台予約完了しました。ウィリーさんのステージは午後三時からになります。私も楽しみにしていますね」

「はぁはぁ……はい、ありがとうございます……」


 息も絶え絶え、額からダラダラと汗を流しているウィリーが受付のお姉さんに手を振られて愛想笑いを返していた。

 現在時刻は午前九時。

 まだ朝早いにもかかわらず、サリュ村は今私たちのいる噴水広場を中心に数日前の大市場で経験したものの二倍以上の人が集まってごった返している。


「はぁ……もー走りたくなーい……」


 フリーダは人のいない路地裏の壁に背をつけて座り、ノアの買ってきた水をごくごくと半分ほど一気に喉に流し込む。

 それで少し体力が回復したのか、彼女は残りの水を私に差し出した。


「ん」

「ありがとう、フリーダ」


 お礼を言ってそれをもらい、残り半分になった水を一息に飲み干した。

 自分で気づいてはいなかったが、どうやら私も喉が渇いていたらしい。水分が身体に染み渡る。


「おーい、二人とも」


 ウィリーが路地裏をのぞき込んで、そこにいた私たちに声をかけた。


「ノア、僕たちの出番は午後三時から三十分になった。集合時間はその三十分前、午後二時半に噴水広場の……見えるか?受付のお姉さんに話しかけてくれ」

「んー?ウィリー、その言い方だとそれまでは一緒にいないように聞こえるんだけど」


 フリーダが小首を傾げ、ああ、とウィリーが説明を始める前に彼は何かに横から追突されてノアの視界から消える。

 急いで路地裏から出ると、そこには一人の五歳くらいの幼い子に組み伏せられた大人の姿があった。

 ウィリーの上に乗ったその子は私たちの方を振り向いて感情の分からない瞳でじぃっとこちらを見続けており、誰だろうと助けを求めるよう隣を見るが、フリーダも頭に疑問符を浮かべている。

 そこで衝撃から脱したのか、ウィリーが少年の脇腹を両手で掴んだ。


「あー、びっくりした……。おいフレディ、降りろ」

「やだ。だって、兄ちゃん捕まえとかないとすぐどっか行っちゃうじゃん」


 兄ちゃん……ということは、フレディと呼ばれたこの小さな男の子はウィリーの弟、家族ということだろうか。


「いや、本当の兄ちゃんじゃなくて孤児院の中のな。今日はそこのみんなと一緒に回る予定を立ててたんだ。すまないな、二人とも」

「はー、まぁ、そういうことなら仕方ないわね。さっさと行きなさいよ」


 フリーダにしっしと手で追い払われ、ウィリーは言葉少ななフレディに手を引っ張られながら、人の波に呑まれてすぐに見えなくなってしまった。

 私たちの視界からウィリーが完全に消えてほんの少し経ち、フリーダが話しかけてきた。


「ね、ノアくん、これからどうしよっか。時間あるし、なにか見たいものとかある?」

「ええと……」


 ノアは周囲を見渡して考える。

 私より少し年上だろう互いに笑いあう少年少女、手を絡めさせる若い男女、子供を間に入れて両側から手をつなぐ家族。

 こんな幸せの溢れている中で、フリーダは私と一緒にいて良いのだろうか。


「むー、今失礼なこと考えてるでしょ」

「いや、そんなことは……。ただ、フリーダも家族や友人と一緒にいた方が楽しいんじゃないか、と」


 やっぱ失礼なこと考えてるじゃん、と彼女は頬をぷっくりと膨らませる。

 そして私の頬を掴んで、首をぐるりと九十度曲げた。その先には赤いスーツを着こなした白髪の男性がワインを持ちたくさんの人に囲まれて笑顔を浮かべている。


「あれが私の父さん、エリアス・ベリハーク。ね、一緒に回るなんて出来ないでしょ?」


 彼女の言う通り、フリーダの父親の周りには人が去れども去れども新たにやってきて、とてもじゃないが話しかけられる雰囲気ではない。


「私には彼氏もないし、ノアくん以外の友達は……まあ、いるけど連絡取れないし、いるけどね!本当よ!……それに、私はあなたと一緒にフェスを楽しみたいの」


 そう言うと、フリーダは照れ臭そうに私の手を取って歩き出した。

 向かう先は人の波、噴水広場につながるサリュ村最大の大通り。ここには所狭しと屋台が並んでおり、彼女はそのうちの一つの前で足を止める。


「おっちゃん、お好み焼き二枚ちょーだい!」

「お嬢さん。はい、ただいま……っと、隣にいるのは彼氏ですかい?エリアスさんが怒り狂いますなぁ」


 はいはい、とフリーダは知り合いらしき屋台のおっちゃんの言葉を受け流し、彼から円形の茶色をした厚み三センチ程度の食べ物が一枚ずつ入った容器を二つ受け取った。


「二枚で五百メシアンになります」

「はーい」


 ちゃりん、とフリーダはポケットから取り出した財布から硬貨を一枚おっちゃんに握らせる。


「まいど。フェス、楽しんでくださいね」


 ありがとー、とフリーダがお礼を言って容器を一つノアに手渡した。

それから大通りよりほんの少し離れた通りへ足を踏み入れて壁を背にして座り、フリーダは容器に付属していた木の棒をパチンと二つに割る。


「それじゃ、いただきまーす……って、ノアくんも早く食べないと冷めちゃうよ?」


 はふはふ、と湯気の立ち上るその食べ物を箸で器用に切り分けながら口の中に入れていく。

 確かにこのまま何もしなければ、フリーダが美味しそうに食べているこれは冷めてしまうだろう。それは分かる。だが、問題が一つ。

……私は箸が使えない。


「あの、フリーダ」

「どうしたの……って、あー!そうだ忘れてた朝のことなのに……。まあいいや、はい、あーん」


 そのことに気付いたフリーダは、自身の食べていたものを一口分切り分け箸で掴んで私の方に寄せてくる。

 ……これは、食べろということだろうか。

 ならば、私は彼女のその好意を無駄にすることは出来ない。自身も顔を少し寄せて彼女が差し出したものをパクリと食べた。

 良く咀嚼し、嚥下する。

 元々濃い味なのだろうベースの上にかかっているのはソースとマヨネーズ。くどい味のオンパレードなのだが、それがなぜか奇跡的なハーモニーを奏でていた。


「どう、美味しいでしょ」


 その言葉にこくりと頷く。

 フリーダは嬉しそうな顔でまた箸を差し出した。食べる。美味しい。切り分け差し出す。食べる。美味しい。フリーダも食べる、二人の間に笑みがこぼれる。

 確かにお互いがそれぞれの「お好み焼き」を食べることが出来れば早く済み、また次の出し物や屋台を巡ることが出来ただろう。最後の一口が冷め切っていることも無かったかもしれない。

 だけど、


「ありがとう、フリーダ」

「なーに言ってんの。フェスはまだ始まったばかりよ?」


 私の本心から出た言葉に、空の容器を二つそばにあったゴミ箱に突っ込んだ彼女が、子供っぽい笑顔を浮かべて私の手を握る。

 フリーダの柔らかくて温かな手を握り返して立ち上がる。

 と、視界の端でゴソゴソとなにかを探しているような白い男の姿が映った。


(なにやってるんだろう……?)


「ノアくん、どうしたの?」


 フリーダも怪訝そうな顔をした私と同じ方向を向き、フェスに不釣り合いな男の姿を発見する。

 私の手は握ったまま、彼女は躊躇なくそちらへと歩いていき、優しく話しかけた。


「なにかお探しですか?良ければわたしたちもお手伝いしますけれど……」

「……へあっ!」


 フリーダがその肩に触れる前に、男は弾かれたように数メートルも飛びのいた。

 背は高いがひどい猫背であり、肩のあたりまで伸びた白髪に覇気のない赤い目が妙に印象に残る人だ。


「あの……」

「やっ、なにも、悪いことはしてないんでっ、じゃっ、」


 なにやら錯乱していた様子の男は、その名前も分からないままどこかへ猛スピードで走り去ってしまう。追いかけようにも完全に見失ってしまった。いったい何だったのだろうか。


「フリーダ」

「ま、ああいうこともあるわ。忘れて楽しみましょ」

「う、うん……」


 それからまた噴水広場の大通りに戻り、様々な屋台を物色する。

 食べ物で言えばたこ焼き……一口大の球体の生地の中にコリコリとした海産物が入っているもの、ケバブ……薄く切られ焼かれたパン生地の間に様々な野菜や肉が溢れそうなほど詰め込まれている、フランクフルト、ポテト、ワッフル、毒の色をした飲み物……。

 おもちゃの銃で的を撃ち抜く射的ゲームや、輪っかを投げて的に被せる輪っか投げ、一際大きな人だかりには王都から来たとかいう恰幅の良い男がチェスを打っていたりした。


「楽しいね!」


 右手に食べ物、左手にはゲームの戦利品をしこたま抱えたフリーダが口にものをほおばりながら話しかける。


「うん、すごく楽しい」


 私も三十センチを優に超える巨大フランクフルトを口に加えながら笑顔で応える。

 次はどこに行こうかと二人で話していると、どこからかボーン、ボーン……と聞こえてきた重低音が身体を揺らした。


「今のは?」

「んー?あー、ほらあそこ。時計塔が見えるでしょ?あれが一時間ごとに鐘の音を鳴らしてくれるの」


 そうなんだ、とノアもサリュ村の中で一際高い建造物である時計塔に目を向ける。

 そういえば午後二時半に噴水広場集合だとウィリーは言っていたが、私もフリーダも時計を持っていない。だが、あそこまで大きな時計がいつでも見えるなら問題は無いだろう。


「……ノアくん。舞台って何時からだっけ……?」

「三時からだよ。その三十分前に集合で」


 さっ、と本日二度目、フリーダの顔色が青白く変化して私の手を強く握り人の波を無理にかき分けながら全力で走り出す。


「どうしたの、フリーダ!」

「どうしたもこうしたも、ホントにごめん!これは完全にわたしのせいっ!」


 彼女が焦り出したのは時計塔に目をやってからだ。

 ノアももう一度時計塔を確認し、そして今は知っている理由を理解した。つまり、さっきの鐘の音は「三時」のものだったのだ。

 集合時間などとっくに過ぎ、ウィリーはもう待ちくたびれたどころか怒っているだろう。

 とはいえ、大通りにいたことが幸いして噴水広場へはほんの数分で到着することが出来た。


「ノアです!三時から舞台の……」

「ギリギリ、アウトに一歩踏み込んだセーフです!早く行ってください!」


 すいません!とフリーダとともに裏口から舞台へと駆け上がる。

 そこまでの道を教えてくれた従業員さんによると、ウィリーはノアのいる舞台の袖とは反対側にいるらしい。

 時刻は午後三時を五分過ぎ。彼女に持っていた荷物を預けて懐から杖を取り出すが、ポロリと取り落としてしまった。カラン、と音を立てたそれを拾ったのはフリーダだ。


「はい、どうぞ。……緊張してる?」

「……どうだろう。分からない、けど、手が震えて……」


 私がフェスに出ようと決意した理由。

 簡単なこと、フリーダが私に期待してくれたからだ。

 記憶の無い、言ってしまえば得体のしれない私を友達だと言ってくれた彼女から「出て欲しい」と頼まれた。メルヒヌールからの助言があったとはいえ、私がフェスに出たいと思った理由はそれだけだ。


「むむー……」


 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、彼女は杖を持たせた手でノアの両手をぎゅっとその温もりで包み込む。


「ええと、何を」

「あなたに気を送ってるの。勇気とか、そういうの。……それで、これは端から見てただけのわたしが言うことじゃないかもしれないけど」


 ぎゅっと、フリーダは一層強く手に力を込め、私とその綺麗なエメラルドブルーの目をしっかりと合わせて口を開いた。


「……きっと大丈夫よ、ノアくん。だってあんなに頑張っていたんだもの」

「そう、か。そうなら、うん、フリーダがそう言うなら大丈夫だ。行ってくる」


 従業員の合図に合わせて陽の当たる舞台の中心へと一歩を踏み出す。

 噴水広場には私たちの出し物を見に来た人、ただ通りかかった人、休憩している人、たくさんの人がいてそれらが皆一様に私に視線を投げかけている。

 大丈夫、フリーダにもそう言ってもらったから。

 一つ、深呼吸。バクバクと鳴り続ける心臓に手を当てて、収まるまで数秒待つ。そして、向こう側からの足音に杖とともに顔を上げ、そこに立つウィリーと目線を交わ……?


「それでは『ノアとウィリー』による舞台、『魔術演武』を開始します。皆さん、盛大な拍手をお願いします!」


 受付のお姉さんによる紹介の声が、どこか遠くから聞こえてくるような。


「お前、は……」


 肩まで伸びた白髪に赤い瞳、猫背が印象的なその男は、朝見かけたときには着ていなかったウィリーが着ていたものとほとんど同じローブを身にまとっていた。

 ……違いといえば、ローブにこびりついた黒赤色の血痕のみ。


「さ、始めよう」


 手に持っていた紙をボウと燃やし捨てた男は、杖を空に向けてなにかを発射する。

 パン、という音とともに上空で彼の放ったなにかは破裂し、それに対応したかのように大通りから少し離れた裏路地でバゴォォン!という盛大な爆発が起こった。


「な」


 言葉を失う。こいつは何だ、何なんだ!


「爆発?」「演出だろ」「にしてはリアルだったけど……」「森の奥の、あの変人の弟子だろ」「そもそもアレ誰?」「ウィリーは」「どっちがノア?」「……多分、小さい方。前、お嬢さんと一緒にポーション売ってたの見たことある」


 ざわざわと、噴水広場に困惑が伝染していく。

 なにが起こったのか分からない、だがなにか、普通とは違う事態が起きているのではないか、という漠然とした危機感。


「まだ分かってないみたいだから、もう一発。……パン!」


 今度は杖すら用いない。

 パチンと指を鳴らし、それに応じて噴水広場の一角、ベンチが突如爆発を起こした。

 ちょうどそこに座っていた老人がベンチごと十メートルは上空に吹き飛ばされ、悲鳴を上げることもなく落下する。ゴキリと音が響き、そこから血だまりが広がっていく。


「きゃああああぁぁぁ!」


 その光景を一番近くで眺めていたのはその老人の孫娘。

 なにが起こったのかは分からない。だが、自分の祖父が今の一瞬で死んだことだけは理解した、理解できた。だからこその悲鳴。困惑は恐怖に、一瞬で伝播する。


「早く行けぇ!」「どけ、俺が先だっ!」「ふざけんな」「どういう、ことよ、演出じゃないの!」「ちげぇよさっさと逃げろぉ」「魔術師め!」「悪魔ども」「邪魔だボケ!」「死にたくないよぉ……」「ままぁ、ぱぱぁ、どこぉ?」


「うるっさいなぁ。……『炎よ爆ぜろ、取り囲めアルメル・アシーガー』!」


 噴水広場から我先にと逃げ出そうとする観衆の波は、それを取り囲むように地面から遥か上空へと吹き上がった炎……男の放った魔術によってせき止められた。

 五メートルはありそうな炎の壁。

 なまじっか物理的な障壁ではない分、突破することは限りなく不可能に近い。実質噴水広場は封鎖され、外に出る方法は術者を倒す以外にない。

 だが、二度の爆発によって抵抗の意志は封じられている。これは、まずい状況だ。


「お前は、なんだ」


 私にも、恐怖はある。

 少なくともこの男は急用の出来たウィリーの代わりなどでは決してあり得ないし、躊躇なく人を殺せるネジの外れた人物であることは確かだから。

 その質問に、男は歪んだ笑みで答えた。


「私の名はメジャー。世界解放戦線の一員、といえば分かりやすいかな。……まあ、君にも言いたいことはあると思うけど、ボクだって無意味な殺しは嫌いなんだ。おあいこだよ」


 そう言いながらも、男は右手の親指と中指をこすり合わせている。

 男……メジャーの動きを警戒しながら、私はヤツを出来る限り刺激しないような言葉を探す。


「……それで、あんたはなにが目的なんだ」

「……オマエたちを殺すことさ。この舞台から逃げたりするなよ?アイツらはそのための人質なんだから、なっ!『雷よ走り、降り注げアンクゥドゥジュ・ディッセンド』!」


 メジャーの攻撃を『土よ捲れよセノイア』で防御、するが彼の放った雷はノアの作った土の壁を貫いてダメージを与えてくる。


「っ」

「二節魔術に一節魔術で対応できるわけ無いだろう!『炎よ爆ぜろアルメル』!」


 メジャーが挑発とともに放った魔術は『水よ溢れよデボーダー』で防いだが、彼の言葉は真実だ。

 ヤツの放った二節魔術の属性は火と雷。ノアが魔術演武用に習った水と土では完全には防ぎきれない。彼の持つ魔力の総量にもよるが、このままではいずれ削りきられて終わりだ。


(さあ、どうする)


 恐怖を乗り越え、限りなく薄い勝利を掴め。

 演武を超えた命の奪い合いが、今この舞台に始まった。




「さぁて、頃合いかな」


 黒マントの少女は、双眼鏡なしで森の奥深くにある家を見下ろせる木に腰かけていた。

 サリュ村の方角から信号弾が上がり、続いて爆発音が聞こえる。どうやらメジャーは脚本通り上手くやっているみたいだ。

 ……だが、想定外が一つ。

 元賢者メルヒヌールが待てども家から出てこない。


(オル……いや、ノアやウィリーが危機に陥れば出ていくと思ったけど)


「ま、しょうがないよね」


 多少の想定外なんて、そんなものは困難のうちに入らない。

 さぁて、一手目は重要だ。家を爆破する?三節魔術でもぶちかませばメルヒヌールは出てくるか。いや、彼は老人だ。昼寝の時間だという可能性は十分にある。そうであるなら、家ごと水で覆って窒息させるのも手か。

 そんなことを考えながら木から飛び降りた瞬間、地面からカチリとなにかの発動するような音が少女の耳に入った。


「はっ?」


 バッゴォン!と地面が大爆発を起こす。

 傷を負いながらも後ろに飛びのくことで直撃は避けることが出来たのは、奇しくも少女が昨日同じことを考えていたからか。そして、爆炎の向こうに少女が見たのは神杖エンプティを手にこちらへ向かってくる老魔術師の姿。


「なるほど。誘い込まれたのは私の方だったってわけ」

「『雷は槍に、降り注げアンクゥドゥジュ―アーキテクト・ディッセンド』」


 雲一つない青空の、ただ老魔術師の上空にだけ黒く分厚い雲が発生する。


「まずいわね……」


 神杖エンプティ――天候を操る力を持つ、遥か昔に神から与えられたという最上級の杖。

 少女の頬につぅと焦りの冷や汗が流れると同時に、黒雲から落ちた雷はその威力を増幅し、数十本の槍に形を変化させる。

 老魔術師が細い腕を無造作に少女に向け、くいと指を下に振った。

 それが戦いの合図。ここに、フェスの裏で繰り広げられるもう一つの戦いが幕を開ける。

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