いよいよ『Gの書』回収へ……

● 第69話 マーベルシュタットが、丸っと全部味方になった!

 確かに『国家選定特別通行証』ナンテいう、ノヴェラードのどの街のどんな施設にもフリーパスで入れちゃう物は今後のオレ達の行動を考えると、大いにその力を発揮してくれるんだろう。


 ……しかし、である。


 イキナリVIP待遇になって、国家側のお役人さん達が常に警護に付く……なんて事になれば、ドコに行くにしても目立っちゃってしょうがないじゃないか。

 一応、オレ達って敵からしたら『お尋ね者』なんだし、行動は目立たない方がイイと思うんだけどな。肝心の『Gの書』の回収も、これからな訳だし。


 それに、もっと言えばコノ街のお役人さんの偉い人……あぁ、首席地方都市統括官なんていう地位にある人達が、今のノヴェラードの中枢の人間からしたら叛逆者にも相当する様なオレ達に協力する事自体、大丈夫なんだろうか?


 「お主達の気持ちは、よう解かった。 

 解かったが……しかし、の。


 のじゃ。

 コノ事実が、レーヴェンシュタットに居る輩の知る事となればが、その辺りは大丈夫なのかの?」


 やっぱり、カイザールさんだ。

 心配する点も、抜かりが無いや。


 「陛下の、我々に対するお気遣いの心、誠にありがたく感じております。


 しかしながら、我々二人……いや、今ここに居る我々だけではなくマーベルシュタットに籍を置く全地方都市統括官並びにその部下達。

 更には、こちらのピエール・エラン殿が束ねておられる商工連合を含め、この街の要職にある者から末端の者に至るまでソノ全員が、もう既にを決めたのです。


 ――……と!」


 考えてみたらスゴイ話だ。

 イキナリ街一つが、丸ごと味方になったって事だもんな。

 でも、ココは商業都市だ。人や物の出入りが、この上なく激しい。

 敵勢力の暗殺者なんかが入り込むのは、簡単なんじゃないのか?


 「お主らの目に宿るソノ強き意志、しかと感じそして受け取った。

 皆を代表し、感謝する。


 しかしじゃ、ココは商業都市であるが故、日々様々な地方から人や物が出入りしよう。敵が入り込む事も考えられると思うが、ソノ点に関してはどう対処するつもりかの? 我々も、ソノ人混みに紛れる事が出来た故、誰に咎められる事もなく街の中に入れた様なもんじゃ。

 敵が我々を狙うとすれば、当然同じ方法を取って然るべきと考えるが……」


 「その点に関しては、私ピエール・エランにお任せ下さい。

 これから先は、全商工連合の認可を受けた、信用ある限られた者だけがこの街に出入り出来る仕組みを構築致しました。


 中には文句を言う商人等も居るでしょうが、今やこのマーベルシュタットにはカイザール様の『平和的統治』の効力が全域に及んでおりますれば。

 大きな問題にはならぬでしょう。


 それに、イザとなれば我が娘トリシャの『ギフト』の力も使わせて頂きますので、ご心配の点に付きましては自信を持って、大丈夫であると言えましょう。

 申し遅れましたが……、トリシャは『人の本心を見通す』という力を持っておりますので。

 例え、姿を偽り心を偽ったとしても、トリシャには隠された本当の心が見えるのです」


 そうだった……、ビューレンシュッタトの隠れ家リゾート地でオレ達を助けてくれた、ピエールさん。そもそもは、自分の娘であるトリシャさんが『ギフト』を持ってたから、オレ達家族と仲間の行動にピンと来て、はなにかくまってくれたんだってカイザールさんは言ってた。

 彼女は、そんな能力を持ってたのか……。


 「そうであったか……。

 とは、本当に心強く思うぞ。


 で、あるならば……じゃ。

 コノ話、我々はありがたく受ける事とする。


 今、本来のノヴェラードのあるべき姿を取り戻したこの街、マーベルシュタットを我らの前線基地と位置づけ、ワシの『平和的統治』の効力をココから広げていこうと思う。


 ……一つ気掛かりが在るとすれば、……であるが、彼女は敵にとっても取って置きの切り札じゃ。

 ソノ点を考えれば、おいそれとは手は出せぬであろうがな」 


 そうだった。

 今、ノヴェラードの元首やってるのはカイザールさんのお孫さんだった。


 コレは、

 ユーリも同じ事を考えていた様で、オレに目配せをしてきた。

 こりゃ、後で秘密会議ダナ。



 ソノ後しばらくして、コノ街の地方都市統括官のエラいさん達は帰って行った。

 オレ達だけになった所で、カイザールさんが口を開いた。


 「さて、今の話の通りこのマーベルシュタットはその街自体が我らの居場所となり、味方となった訳じゃ。

 これで、G

そこで、Gが、サシャよドウ思うかの?」


「はい、カイザール様。

この『平和的統治』の効力が及んでいる今コノときこそが、その好機だとボクは思うのサ。

そしてネ、


――ボクは、G

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