第一部
異世界召喚かと思いきや……
● 第3話 ホントに異世界、来ちゃいました!
さて、さっきの自己紹介的なモノで今のオレはコンナ感じの奴なのなー……って事が、大体分かってもらえたんじゃないかな? 何か質問ある人は、挙手してくれ! 順番に答えるよー……って、これリアルじゃないし、無理だよね。
まぁ、ソレは置いといて時が経つのは早いもんで、今週から夏休みに突入である。ついこの間、入学式に出て必修科目やら選択科目やらを決めるガイダンスみたいなのがあって、何となく過ごしていたらもう夏休みだ。
部活に入ってる奴らやバイトに明け暮れてる奴らはともかく、オレみたいなヒマ人は何して過ごそーかねぇ……。
もちろん、山中湖の実家には帰るつもりだ。
でも、そんなに急いで帰らなくてもイイかもな。なんつっても、大学の夏休みってこんなに長いんだから。やっぱ、高校とは違うのね……。
確かに、科目によってはテーマに沿ったレポートを提出しなきゃいけないという宿題もあるけど、期限さえ守れば単位に影響はないだろうし、深く悩む程の難しさは全く感じなかったから、後回しでも余裕で出来るだろう。
明日の事は明日考えればよかろう……なんて思ってたら、まだ夜の十時前だと
いうのに珍しく急に眠くなってきた。たまには早寝早起きなんていう健康的な事
をして、明日を楽しもうかな……なんて考えながらベッドに身体を投げ出した。
~ ただ今、グッスリ爆睡中です。
しばらくの間、お待ちください…… ~
突然、誰かの声らしき物が聞こえた……。
音像がボヤけていて、内容がわからない。
再び、声がした。今度はクリアだった。
どうやら、
「大丈夫か? 早く起きるのだ!」
みたいな事を言っている様だ。あれ? もう朝なのか? でも、オレって独り
暮らしだったよなー……。事故か何かあったんだろうか?
ボンヤリしたままユックリ目を開くと、頭の中が『?』(ハテナマーク)満載になり、一気に目が覚めた。
その理由がコレな……。
「おぉ、やっと目覚めおったか。これで一安心じゃわい……」
「やっとか! 全く心配させおって」
「まぁ、無事であったのじゃから、よかったではないか……」
勝手に盛り上がっている会話の方を見ると、……二人の老人――どう見ても、映画で見る様な典型的で古風な魔法使いの様な姿の――が、オレをみてとても嬉しそうな表情を浮かべていた。
思わず笑みを返しそうになって、オレはスッゴク大事な事に気が付いた!
あれ? ココどこだっけ? オレって昨夜ちゃんと自分のベッドで寝たよなぁ? 何が起きた? ジーサン達、誰よ?
次々と湧き出る『?』が耳の穴から溢れそうになった時、
「お主の事をずっと、待っておったぞ。さぁ、立てるかの?」
一人の方が、優しく言った。
「あの、すみません……ココどこですか? アナタ達は一体どなたですか?」
「お主、ひょっとして憶えておらんのか? あの夢の事を……」
えー……、夢? 最近、なんか夢見たっけかな?
えぇーっと、うぅ~ん……頭が回らん!
「では、『ギフトを使え!』という声の事はどうじゃ? 憶えておるかの?」
そのジーサンの言った『ギフト』というたった三文字の単語が聞こえた瞬間、それまで頭の中を覆っていた無数の『?』が、一気にキレイサッパリと晴れた。
えぇぇぇぇぇ……、アレってホンモノだったの? マジで?
この時、あの夢がヤッパリ普通の夢じゃなかったって事を改めて理解した。
オレってば、どうやらホントに異世界に呼ばれちまったみたいだ……。
これから一体、どーなっちゃうんだろ?
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