1410.構文篇:キャラクターの誕生2(技能・趣味・必殺技・クセ)
今回はキャラクターにできることを決めます。
「できること」以外に「できないこと」も加えるとキャラクターに深みが出ます。
ではひとつずつ見ていきましょう。
キャラクターの誕生2(技能・趣味・必殺技・クセ)
物語に登場するキャラクターには、それぞれ「技能」や「必殺技」や「クセ」があります。また仕事とは違う「趣味」を持っているキャラクターも多いはずです。
キャラクターはすべからくなにがしかの役割を担っており、主人公や物語に影響が及びます。
技能
「職業」を決めると伴った「技能」がキャラクターに備わります。
たとえば大企業に経理職で勤めていたら「簿記」「税理士」といった資格を持っているものです。法務部なら最低でも「司法書士」、できれば「弁護士」の資格は持っているでしょう。
現実世界でも「剣術道場の師範」であったら「剣術」はお手のもの。「忍者村の役者」であったら「忍術」がどういうものかをある程度知っているはずです。
テクニックだけでなく、フィジカルもキャラクターに備わります。
「100m走」の代表選手なら、短距離のダッシュは凡百より速いでしょう。
「マラソン」の代表選手なら、長距離を走破できるだけのスタミナを有しています。
また水泳選手なら泳ぎが得意でしょう。しかし「着衣水泳」をこなせるかは微妙です。試合は水着ひとつで泳ぎますからね。
「着衣水泳」なら「古式泳法」を習っていないとうまくできないはずです。近年では授業で「着衣で川に落ちてしまったときに溺れない方法」を多くの生徒が教わっています。まぁすべての学校ではないので、このあたりは「特技」に位置するかもしれません。
主人公は物語でただひとりしか持っていない「技能」を使って大活躍します。もし他人も持っていたら、その人は「ライバル」となるのです。
たとえば剣術「北辰一刀流」免許皆伝の主人公と、同じく剣術「(薩摩)示現流」免許皆伝のライバル。これなら剣術という「技能」でしのぎを削り、雌雄を決しそうですよね。
免許皆伝の剣術を活かして「剣道」日本一を目指す主人公。その前に現れた「示現流」の「一の太刀」強襲を得意とするライバル。かなり面白い「剣道」小説が読めそうですよね。
趣味
どんな人も「趣味」を持っています。仕事が「趣味」な人もそれが「趣味」なのです。
そもそも「趣味」ってなんでしょうか。大元から問いたいと思います。
「趣味」とは生活を豊かにするために「暇を見つけたらなにをおいてもやりたくなるもの」です。
たとえば「ソーシャルゲーム」が「趣味」なら、仕事の合間を見つけてはプレイして楽しみます。
編み物が「趣味」ならセーターやマフラーを編み、刺繍が「趣味」ならシャツやハンカチなどに針と糸を通しているでしょう。
料理が「趣味」なら手料理を極め、いずれは「料理店」を開きたいのかもしれません。
草野球が「趣味」なら白球を追い続けたいでしょうし、草サッカーが「趣味」ならゴールを決めまくりたいでしょう。
このように「趣味」は生活を豊かにするために「暇を見つけたらなにをおいてもやりたくなるもの」なのです。
結果としてその分野の知識が身につき、他人よりも詳しくなります。
他人よりもすぐれていますが「技能」と呼ぶ類いではありません。どちらかといえば「必殺技」です。
必殺技
そもそも「必殺技」は「趣味」のように打ち込めるものからしか生まれません。
魔球は、野球を「趣味」として徹底的に練習で投げ込んで初めて身につくのです。
マンガの『巨人の星』の星飛雄馬は父・一徹に強制されて魔球「大リーグボール」を身につけました。「魔球」を押しつけられたわけですが、「野球が好き」つまり「趣味」になっていなければ、いくらスパルタの父であろうと飛雄馬はトレーニングに堪えきれず逃げ出したはずです。少なくとも飛雄馬にとって野球は「趣味」だった。だからどんなにつらい猛特訓にも食らいついたのでしょう。
マンガの高橋陽一氏『キャプテン翼』にも「必殺技」が登場します。主人公・大空翼の「ドライブシュート」。ライバル・日向小次郎の「タイガーショット」が有名ですね。他にも立花兄弟の「スカイラブハリケーン」や若島津健の「三角飛び」など、まさに「必殺技」のオンパレードです。スポーツマンガでここまで「必殺技」を出したのは本作が初めてでしょう。『巨人の星』が元祖でしょうけど、星飛雄馬の魔球以外は、魔球返しの「必殺技」があるくらいです。
鎌池和馬氏『とある魔術の禁書目録』は主人公・上条当麻の「
異能を個性と言い換えたマンガの堀越耕平氏『僕のヒーローアカデミア』では、実に多彩な異能と、それを活かした「必殺技」がバトルをさらに熱くしているのです。
バトル小説なら「必殺技」が乱れ飛ぶくらいのほうが断然面白くなります。
とくに魔法のカッコいい詠唱であったり、異能発動のために意識を集中したりと、これからなにが起こるんだろうとワクワクが止まらない展開も可能です。
クセ
「無くて七癖」と呼ばれるように、人には必ずクセがあります。得意になると上唇を舐めるとか、深く考えるときに人差し指を眉間に当てるとか、ウソをつくときに目が泳ぐとか。
クセは本人が気づかないものです。しかし他人が見れば一目瞭然。
物語の中では、同じクセを持っているキャラクターは存在しないほうがよいでしょう。文字だけで表現する小説では、クセだけでキャラクターを特定できるほうが識別しやすくなります。
ただ同じ環境で暮らす親子や兄弟は同じクセを持っているものです。親しく暮らしているとクセが伝染るのですね。また小説では見ず知らずの年上男性が自分と同じクセを持っている場合があります。実は「その男性が自分の父親だった」展開が多いです。
そう考えると、環境だけでなく血筋でクセが伝承されているとも解釈できます。
血のつながりを連想させるために、あえて「同じクセ」が設定される場合もあります。まぁ純文学ではかなりベタな展開ですが。
たかが「クセ」ですが、その応用は幅広い。キャラクターを際立てるものでもありますので、ぜひすべてのキャラクターに特有の「クセ」を設定しましょう。
最後に
今回は「キャラクターの誕生2(技能・趣味・必殺技・クセ)」について述べました。
「性別」「年齢」「職業」そして「名前」の次に「技能」「趣味」「必殺技」「クセ」を設定しましょう。「技能」などが先で、「名前」はその後でもかまいません。このあたりは「卵が先か鶏が先か」です。
これらをバランスよく決めたら、外見の特徴に進みます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます