1201.技術篇:あなたが好きなものはなんですか

 今回で1201回目ということで、新しいスタートを切ります。

 まず「あなたが好きなもの」を見つけましょう。

 書かなければならないジャンルが実は「苦手」だった。なんてことはよくあります。

 問題は書かなければわからないが、書く前からある程度わかるのではないかという点にあります。

 まずはこのあたりを押さえておきましょう。





あなたが好きなものはなんですか


 不思議に思うかもしれませんし、納得するかもしれません。

 しかし私は「文章を書く」のが大好きです。もちろん「人と会って話をする」のも大好き。

 基本「おしゃべり」なんです。これはお話ししたとおり「養護施設育ち」だからかもしれません。




文章を書くのが好きになるには

 あなたは他人になにかを伝えたいと思っていますか。伝えようと行動していますか。

 私は「おしゃべり好き」です。いろんな情報を集めて、それを消化して自分の言葉で語れるように努力しています。

 人と直接会えなくても、文章を使って読み手とつながろうとするのです。

 だから「文章を書く」のも大好き。

 そんな「コミュニケーション」オタクとしては、多くの皆様に「小説を書く」楽しさを味わっていただきたい。

 できれば「小説を書く」のが好きになる。そんなコラムを目指しています。

 そもそも「文章を書く」のが好きでなければ、「小説を書く」のも億劫ですよね。

 そこでまずあなたが「文章を書く」のを好きになっていただきたい。

 そのためにはSNSを活用しましょう。


『LINE』使っているからこれでいいでしょう、と言う方もいらっしゃいますよね。

『LINE』は仲間内でしか情報が伝えられないので、不特定多数の読み手を想定して「文章を書く」練習にはなりません。単に「文章を書く」練習にはなりますが、それだけです。

 その点『Twitter』なら140文字で気軽につぶやいて、読み手は世界中、という夢のようなひとり言ができますよ。

 もう『Twitter』の虜なのであれば、ぜひ数多くつぶやいて、たくさんのリツイートを得られる努力をしましょう。トレンドに載っているニュースを引用リツイートすると、多くの読み手が見てくれますよ。

 不特定多数の読み手を想定して、意図を持って「つぶやく」から「読み手に伝わる文章」の練習になるのです。

『Twitter』で「文章を書く」のに慣れたら、四回の「つぶやき」で「起承転結」のある物語を作ってみましょう。「企画書」を書く練習にもなります。

 たとえばこんな感じで。

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起「国立大学へ通う偏差値ギリギリの私は、毎日授業についていくだけで手いっぱい。」

承「ある日突然、テレビにも出演している有名教授が声をかけてきた。」

転「君、悩みごとがあるでしょう。顔に書いてありますよ。」

結「なんのことかわからず、トイレで用を足したあと、手を洗いながら鏡を覗いたら、顔に新聞の文字が浮かんでいた。」

────────

 なんてことはない物語ですが、ちょっとした笑いはとれると思います。

 こういった作品を「四ツイート物語」と名付けてみましょうか。

「四ツイート物語」は「起承転結」それぞれ一四〇字までしか書けないため、文章を削りながら盛り込む工夫ができる点ですぐれています。

 誰でも簡単に書けますし、それが簡単に世界中に発信されるのです。

 それが知り合いにでもよいので「リツイート」や「いいね」をされたらうれしくなりませんか。

 頭を捻って「四ツイート物語」を書いてみる。

 気分はちょっとした「大喜利」です。

 さらに「大喜利」に近づけるため、頭の文字を決めて書くのも面白いですね。たとえば「いせかい」「プレステ」で始まる「四ツイート物語」とか。この場合は「四ツイート大喜利」とでも呼べばよいですかね。

 ウケ狙いでも社会風刺でも真面目でもよいので、「物語をでっちあげ」てみましょう。

 それで「リツイート」や「いいね」をたくさんもらえた作品が優勝とか。これなら友達とも楽しみながら取り組めますよね。

 楽しみながら「文章を書け」ますし、「物語を考えら」れます。

 どんな名作も「物語を考える」ところから始まります。

 ありえないような「物語をでっちあげ」て、それを「筋の通った物語に仕立て直す」能力が、結果的に「物語を考える」能力につながるのです。

 落語の「三題噺さんだいばなし」と同じような考え方になります。

「三題噺」はその場で「物語をでっちあげ」なくてはなりませんが、「四ツイート大喜利」は、丸一日かけて考えてもかまわない。少なくとも毎日一本「物語をでっちあげる」と、作品のストックがすぐにたまって、将来の役に立ちますよ。

 先ほどの例文も、私のストックのひとつですからね。




あなたが好きなものを小説にしよう

「四ツイート大喜利」の題材にしていただきたいのが「あなたが好きなもの」です。

「好きなもの」を使って物語を創る。それだけでワクワクしてきませんか。

 私はコンピュータが好きなので、コンピュータを使った物語は書きたいなと思っています。

 ストックされている長編・連載小説の中にも、「主人公がゲームクリエイター」の物語があります。小説投稿サイトでウケのよい「剣と魔法のファンタジー」ではない。でもそれなりに面白い物語にはなるんじゃないか、などと考えてしまうのも私が「好きなもの」だからです。

「好きなもの」は「他の人にも絶対ウケる」と思い込みやすい。だから創作意欲が湧いてきます。

「好きでもないもの」で小説を書くのは「プロ」になってからでかまいません。

 アマチュアのうちは「好きなもの」だけ書けばよいのです。「好きでもないもの」は嫌々書かなければなりません。それが面白い物語になるものでしょうか。「プロ」の筆力なら面白くなるかもしれない。それなら「プロ」になってから書けばよいのです。


 では「あなたが好きなもの」はなんでしょうか。あなたの人生を振り返ってみてください。夢中になって時間を忘れて取り組んだものはありませんか。

 私は前回までで書きましたが「ゲーム作り」がしたかったので「プログラミング」「ゲームデザイン」「音楽」「コンピュータ・グラフィックス」「シナリオ」に相当時間を費やしました。全部まとめてしまえば「ゲームクリエイター」を主人公にできれば、書きたいように書けます。

 あなたにも夢中になったものが必ずあるはずです。

 創作でなくてかまいません。「ゲームをプレイするのが好き」なら「プロゲーマー」の物語が書けます。「小説を読むのが好き」なら「読書家」の物語が書けるのです。

「プロゲーマー」ならその端緒であるマンガのすがやみつる氏『ゲームセンターあらし』もありましたね。アニメのサンライズ『カンダムビルドファイターズ』シリーズの端緒はマンガのクラフト団&やまと虹一氏『プラモ狂四郎』や牛次郎氏&神矢みのる氏『プラレス3四郎』でしょう。

 かなり懐かしい作品が出てきました。本コラムをお読みの方にはわからない作品かもしれませんね。昔そんなマンガがあったんだよ、程度の認識でかまいません。

「好きなもの」ならいろんな物語が浮かんできます。

 あなたはどうなりたいのか。どうなりたかったのか。現状をどうしたいのか。

「好き」はあなたの武器になります。

 ぜひ「好きなもの」を利用して物語を創ってみてください。





最後に

 今回は「あなたが好きなものはなんですか」について述べました。

 記念すべき1201本目は「小説を書く楽しみ」を見出だすための方法についてです。

「好きなもの」を利用すれば、物語は次々と浮かんできます。

 もしあなたが「剣と魔法のファンタジー」が大好きなら「剣と魔法のファンタジー」を書けばよい。もし「純文学」が好きなのに「剣と魔法のファンタジー」のほうがランキングは上だし「紙の書籍」化も数多いしという理由で「剣と魔法のファンタジー」を書くのだけはやめてください。

「読み手にウケる」という理由だけで、「好きでもない」物語を書いても、出来あがった小説はたいしたレベルには到達しません。

 アマチュアだからこそ「好きなものだけ書けばよい」のです。



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