1099.鍛錬篇:読んでくださいと言われて読む人はいない
今回は「読んでください」と書かないことについてです。
閲覧数(PV)が低いと、どうしても「読まれたい」と思ってしまいます。
その結果「あらすじ」に「読んでください」「読んで損はないですよ」と書いてしまいたくなるのです。
でも絶対に書かないでください。
読んでくださいと言われて読む人はいない
小説投稿サイトに作品を掲載したのに、閲覧数ゼロ、ブックマーク・ゼロ、評価ゼロの「トリプル・ゼロ」で困っている方は多いでしょう。
前回「ストーリー性のあるあらすじ」を提唱しました。ぜひそちらをお読みくださいませ。
と書かれていて、素直に前回のコラムを読む方はほとんどいません。
なぜでしょうか。
人は「強制されると反発する」からです。
もちろん中には押しに弱い方もいます。そういう方は「お読みくださいませ」と書いても読んでくれるものです。
読んでくださいとは書かない
どんなに「トリプル・ゼロ」がつらくても、絶対に「あらすじ」で「ぜひお読みくださいませ」とか「読んで損はありません」とか「読まないと祟られます」とか書かないでください。
そんなことを書いても読み手はいっさい気に留めません。
「そんなに読め読めアピールしているなんて、よっぽど人が来ないんだろうな」と思われて、かえって「読もうかな」と思った方すら逃してしまうのがオチです。
トップランカーの「あらすじ」をよく読んでください。「読め読めアピール」なんてまったく書かれていませんよ。
読まれるためには「読んでください」とは絶対に書かないことです。
読まないでくださいとは書かない
ということは「読まないでください」と書けば、読み手が反発して読んでくれるのでは。そう考える方が出てきそうですね。
実際には「読まないでください」と書かれていたら、たいていの読み手は素直に「読みません」。
人は「強制されると反発する」のですが、「読まないでください」は強制ではなく依頼ですから、それに従ってしまうのです。
幽霊やUFOを信じているような読み手なら、「読まないでください」とはなんと意味深な。これは読まずにいられない。と思うかもしれません。でもそんな読み手はまずいない。もしこれで読み手が釣れるのなら、ランキング上位の「あらすじ」はこぞって「この作品を読まないでください」と書いています。でも現実には「読まないでください」とは書かれていませんよね。「読んでください」とも書いていない。
「あらすじ」で「読め」「読むな」と「読め読めアピール」をすると、読み手は興味が冷めてしまうのです。
だからこそ「読んでください」も「読まないでください」も用いてはなりません。
どんな得があるのかを示す
では読まれる「あらすじ」とはどのようなものでしょうか。
「読めばどんな得があるのか」を示している「あらすじ」です。
小説は一話読むだけで五分十分と時間を費やします。それだけの時間を使うのになにも得られなければ、そもそも読むに値しません。第一話の閲覧数(PV)がいくら高くても、第二話以降の閲覧数(PV)が低くなるのは、「読むに値しない」と思われたからです。「時間を損した」とすら感じます。
貴重な時間を費やすのです。その作品からなにかを得られなければ読む意味がありません。
なぜファンタジーが人気なのか
皆様はなぜ「剣と魔法のファンタジー」や「現実世界ファンタジー」が小説投稿サイトで持て囃されているのか、疑問に思ったことはありませんか。
それは「主人公の成長物語」だからです。
小説は主人公に感情移入して物語を追体験する娯楽になります。だからこそ、主人公が成長しないと「読んだ意味がない」のです。主人公が作中で成長すれば、感情移入している読み手自身も成長したように感じられます。
現実世界の豆知識が手に入る。それも成長のひとつです。
読んでいる異世界の新しい情報が手に入る。それも同じく成長のひとつです。
読む前と比べて、読んだ後になにかが手に入ることで「得」をします。「得」をするから成長するのです。
ファンタジージャンルと異なり、「推理」は謎解き場面にしか「得」がありません。謎解きに必要な情報を手に入れても、読んでいる時点ではそれが欠かせないピースであることに気づけないからです。気づかれたら読み手は興醒めして読むのをやめてしまいます。気づかれないで、容疑者を一堂に会して探偵が推理を披露する。そこで初めてピースの意味を知り、「そういうことだったのか!」となって問題解決。ケース・クローズド。つまり「得」をするのです。
推理ジャンルは毎回「得」するファンタジージャンルとは異なるため、読み手がそれほどいないのです。謎解きシーンまで我慢して読み続けられる方だけが読むから閲覧数(PV)も少なくなります。
それだけならまだよいほうです。実際に小説投稿サイトで連載される推理ジャンルの作品は、連載途中でエタる(エターナル:永遠に終わらない)ことがよくあります。つまりさんざん謎だけが提示されて、いっこうに解決しないのです。これで推理ジャンルを読ませるのは相当難しい話だと思いませんか。
あなた以外の書き手が推理ジャンルでエタったから、今あなたが推理ジャンルを投稿しても誰も読んでくれないのです。とばっちりもよいところ。
ではあなたの推理小説を多くの読み手に読ませるにはどうすればよいのか。
連載をきちんと終わらせることです。実績を積み上げることで「私の推理小説はけっしてエタりません」とアピールしなければなりません。
一回の連載が完結したとしても、読み手は早々には増えないのです。それでもめげずに推理小説を連載しては完結させてください。実績が積み上がれば、読み手はひとつずつ読んでくれるようになります。
推理ジャンルの閲覧数(PV)は遅効性なのです。
そのため、即効性のあるファンタジージャンルに多くの読み手が集まります。ファンタジー小説は「時間効率」がひじょうに高いのです。
一話読むだけでもじゅうぶん面白くて満足できる。
だからライトノベルのほとんどがファンタジー小説なのです。
文学小説つまり純文学も、結末まで読まないと満足できない「遅効性」のジャンルなので今の読み手たちには人気がありません。
最後に
今回は「読んでくださいと言われて読む人はいない」ことについて述べました。
投稿したのにいっこうに読まれないから、つい「読んでください」「面白いですよ」と「読め読めアピール」をする。それは完全に逆効果です。
きちんと「ストーリー性のあるあらすじ」になるよう気を配りましょう。
またジャンルによっても閲覧数(PV)の増え方に差が生じます。
推理ジャンルは遅効性、ファンタジージャンルは即効性です。
推理ジャンルで閲覧数(PV)が伸びないことに不安を覚えないでください。
逆にファンタジージャンルで初日に閲覧数(PV)が伸びなければ、その作品に勝ち目はありません。相当なテコ入れをしないと挽回はできないでしょう。
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