970.筆洗篇:地位は人を作る
今回は「地位によって人間は形作られる」ことについてです。
よく「地位は人を作る」と言います。
その地位に就けば、それにふさわしい人間に成長していくものです。
小説投稿サイトでも「地位は人を作る」のでしょうか。
地位は人を作る
「地位は人を作る」という格言があります。
それなりの地位に就くと、その地位にふさわしい人間に成長していくということを指すのです。
小説でもそれは同じです。
プロの書き手になれば、お金を払ってでも買いたくなるような原稿が書けるようになっていきます。
アマチュアの自分には関係ない。なんて思っていませんか。
アマチュアだからこそ、「地位は人を作る」を地で行かなければなりません。
小説投稿サイトのランキングに載る
アマチュアの書き手が最初に目指すべき地位とはなにか。
それは「小説投稿サイトのトップランカー」です。
小説投稿サイトには流行りがあり、それを踏まえればある程度のランキングポイントは稼げます。
そこに書き手としてのあなたの個性を反映させて、ランキングを駆け上がるのです。
一度ランキングに載れたら、あなたは「小説投稿サイトのランカー」となります。
これからは「小説投稿サイトのランカー」として「トップ20」や「トップ10」の「トップランカー」を目指しましょう。
そうやって小説投稿サイト内での地位を固めていけば、「小説投稿サイトのトップランカー」の地位が書き手であるあなたを形作るようになります。
このままアマチュアで頑張り続けるのもひとつの生き方ですが、「小説賞・新人賞」へ応募して小遣い稼ぎをするのも悪くはありませんね。
その場合は、トップランカーになっている小説投稿サイトで開催されている「小説賞・新人賞」へ応募するようにしてください。間違っても、
あなたの価値を認めてくれる方が多いサイトを利用するから、応援が集まるのです。あなたの実力をまったく知らないサイトの「小説賞・新人賞」に応募したところで、応援してくれる方はほとんどいません。
それではせっかく時間をかけて苦労して書いた作品の真価が発揮できないのです。
そのためには、逆算しましょう。
あなたが応募したい「小説賞・新人賞」を開催している小説投稿サイトでトップランカーを目指すのです。
そう考えれば、どの小説投稿サイトを主戦場にするべきかは、自ずと定まってきます。
一次選考通過者を目指す
小説投稿サイトで名前を憶えてもらえたら、次は「小説賞・新人賞」に応募しましょう。
まずは一次選考の通過が標的です。いきなり大賞を狙っても獲れるものではありません。狙って獲れたら誰も苦労しませんからね。
小説投稿サイトのトップランカーとして
トップランカーになれるほどの文章力があれば、少なくとも一次選考は通過できます。
一次選考は主に「文章力」が問われるからです。
読んでいてつっかえない「文章」が書けているのかどうかをチェックされます。
そして一次選考を通過すれば、「一次選考通過者」という地位を得られるのです。
これにより、あなたは「一次選考通過者」として「文章力」を安定させることが求められます。こうして「地位が人を作る」わけです。もし地位にあぐらをかいていれば、次の応募作では一次選考さえ通過できないでしょう。「一次選考通過者」の地位にある者は、それを維持するために日々精進して毎回「一次選考を通過できる」作品を書くべきです。
しかし、いつまで経っても「一次選考」を通過しただけで終わってしまうこともありえます。
いつかは「二次選考」を通過しなければならないのですが、そのためには備えなければならない能力があるのです。
二次選考通過者を目指す
「一次選考通過者」になったら、次は二次選考の通過が標的です。
二次選考を通過したら、三次選考に進む賞と、そのまま最終選考に進む賞があります。
ここでは応募者数の多い小説投稿サイトで開催されている「小説賞・新人賞」を想定して三次選考が待ち構えていると仮定します。
二次選考でまず見られるのは「物語として成立しているか」です。
面白い、つまらないも多少考慮されますが、なにより「物語として成立している」ことが求められます。
きちんと「企画書」を練り上げ、「あらすじ」を構築しているかどうか。「箱書き」でエピソードをシーンで適正に分けているのか。そういったところを見られます。
たとえ「トンデモエンディング」であっても、物語として成立していれば問題はありません。
「トンデモエンディング」は物議を醸しますが、こんな奇天烈な物語が書けるというだけでも評価されます。
いちばん悪いのは「エタる(エターナル:永遠に終わらない)」ことです。
中には「未完の作品を応募してもよい」という太っ腹な「小説賞・新人賞」もあります。しかしごく少数です。
多くの「小説賞・新人賞」では「締め切りまでに物語を完結させること」が定められています。
「未完の大作」よりも「トンデモエンディング」のほうが評価されるのです。
だから「小説賞・新人賞」に応募するなら、必ず物語を規定枚数・規定文字数の範囲内で完結させましょう。
「エタる」のは応募規定違反になるのだと肝に銘じてください。
詰まるところ「物語として成立している」とは、しっかりとした「
「
「小説賞・新人賞」に応募したなら、募集期間内で必ず完結させましょう。
完結していないかぎり「二次選考」は通過できませんよ。
三次選考通過者を目指す
紙の雑誌が企画している「小説賞・新人賞」は四桁の作品が集まるなど稀です。たいていは多くて三桁。だから二次選考を通過したら、そのまま最終選考へと進みます。そちらに応募されている方は本項目は読み飛ばしてかまいません。
小説投稿サイトで企画されている「小説賞・新人賞」でノンジャンルの賞の場合は多いときに五桁の作品が集まることさえあります。ジャンルを縛ってある場合は四桁、シチュエーションを定めている場合は三桁ほどです。
たとえば五千作品が応募してきたら、一次選考で1/10、二次選考で1/10しても五十作品残ってしまいます。
この中から入賞作品を決めるはたいへんです。そこで「三次選考」を行ないます。
「三次選考」を通過したら、その作品は自動的に入賞作品となるのです。
では「三次選考」ではなにを見られるのでしょうか。
「思わず読み進めてしまうほど物語が面白いかどうか」です。
こちらも「トンデモエンディング」でかまいません。
冒頭から選考さんをぐいぐいと惹きつけて、結末までノンストップで読ませてしまう。
それくらいの作品が「三次選考」を通過します。
最終選考各賞受賞者を目指す
一般的に「三次選考」まで残れば、後は各賞を決めるだけです。
残った作品は物語の面白さがほぼ担保されています。
あとはどれだけ多くの読み手の共感を得られるのか。それが問題です。
「トンデモエンディング」が足を引っ張るとしたら、各賞を決めるときになります。
ぐいぐいと読ませる作品なんだけど、終わり方が奇天烈だと、読後感がどうにもすっきりしません。
佳作は獲れても最優秀賞を獲るのは難しい。
だから「最終選考」まで残った書き手はその地位を確保して、佳作で留まらずに次こそは各賞を狙わなければなりません。その際「トンデモエンディング」ではなく、きちんと収まりのよい読後感のすっきりした「
「トンデモエンディング」が書けるのは、一種の才能です。しかし「紙の書籍」とするには発想が奇抜すぎます。
そこで「トンデモエンディング」が各賞に選ばれて「紙の書籍」化されるときには、少なくとも「
「紙の書籍」として収まりがよく、買ってよかったと思わせる読後感を残せるかどうか。
小説投稿サイトの中だけで盛り上がるのなら、「トンデモエンディング」でも問題はないのです。
しかし紙媒体にして多くの方に作品を買ってもらおうとするのなら、買った方が「買わなきゃよかった」と思わないだけの質が求められます。
最後に
このように「小説賞・新人賞」の何次選考まで残ったかで、書き手の地位が決まります。
一度その地位を手に入れたら、それを足がかりとして、さらなる高みを目指さなければなりません。
地位を与えられるのは、それだけ期待されているということです。
期待されれば、誰だって応えたいと思いますよね。だから「地位は人を作る」と言われるのです。
現状に満足せず、ひとつでも上の選考に残れるよう努力を重ねましょう。
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