941.鳳雛篇:イライラしない焦らない

 今回は「イライラ」と「焦り」についてです。

 このふたつは文章をおかしくしやすいので、できるかぎり取り除けるようになりましょう。





イライラしない焦らない


 連載を始めると、どうしても自分の思い通りの結果が出ない状態が続きます。

 正当に評価されるまで、イライラしたり焦ったりしてネガティブな思考が頭を占めるのです。

 結果が出るまでイライラしない、焦らない。

 言うのは簡単ですが、実行しようとするとうまくいきません。




イライラしない

 イライラしているときは、正常な判断ができないものです。

 そんなときに執筆や推敲をしてもうまくいくはずがありません。

 投稿したのに反響が芳しくない。

 そんなことはよくあることです。

 そもそも、前作がランキングに入るほどあなたのネームバリューが高くなければ、新しい連載数回でランキングになんて載れません。

 結果が出なくてイライラするだけならまだしも、執筆以外の日常生活で溜まったイライラを原稿にぶつけても傑作など生まれないのです。

 今は「文豪」の時代ではありません。

「文豪」のネームバリューがあれば、日常のイライラをぶつけた作品でも持て囃される時代はとうの昔に終わりました。

 持って行き場のないイライラを原稿にぶつけても、読み手は文章を読んで「自分勝手で面白くない」としか感じないのです。

 だから、イライラしているときは、執筆も推敲もするべきではありません。




焦らない

 評価が伸びずランキングにも載れない状態が続くと、どうしても焦ってしまいます。

「これだけ必死に書いたのに、なぜ評価してくれないんだ!」

「トップランカーの作品よりも面白いはずなのに、なぜ誰も読みに来てくれないんだ!」

 いずれも焦りから生まれる言葉です。

 焦りは視野を狭めてしまいます。

 その結果、作品の世界も視野が狭くなってしまうのです。

 すると読んでみてもどうにも面白く感じない。

 だから誰もブックマークしようとしませんし、今までブックマークしていた方も離れていきます。当然評価するだけの魅力もないのです。

 どのような作品が狭い視野なのか。

 主人公が見たこと聞いたこと感じたことと、会話文しか書いていないのです。

 形容詞を省く努力もしなくなりますし、比喩を入れるだけの頭の回転も得られません。

 すべて主人公の自分勝手な行動しか読まされないのです。

 独り善がりな文章を読まされて、嫌悪感を覚えない読み手はいないでしょう。

 小説は読み手を楽しませる娯楽エンターテインメントです。

 嫌悪感を覚えるような小説を嬉々として読むようなマゾヒスティックな読み手はまずいません。

 焦っていると、悪い連鎖が延々と続くのです。

 焦る→視野が狭くなる→主人公の独り善がりな文章になる→読み手が嫌悪感を覚える→ブックマークも評価もつかない→ランキングに載れない→さらに焦る

 この負のループをいかにして解消すればよいのでしょうか。




イライラも焦りもしない心境を手に入れる

 イライラの弊害、焦りの弊害。

 このふたつがあるかぎり、小説投稿サイトでランキングには載れません。

 ではどうすればイライラと焦りのない執筆活動ができるのでしょうか。

 気にしなくなるまで執筆しない、という手もあります。

 イライラも焦りも薄れて、また「小説を書きたい」という意欲が湧いてくるまで放っておくのです。

 そうすれば、心静かに「小説が書ける」ようになります。

 しかし、毎日連載しないと読み手に訴求できないのも、小説投稿サイトで連載小説を書くリスクでありメリットでもあるのです。

 では毎日連載をやめてまでイライラと焦りが薄れるまで待つべきでしょうか。

 待つべきではありません。毎日連載を継続するべきです。

 ではどうするか。


 ビジネスの世界では「マインドフルネス」と呼ばれているものがあります。

 アンガーマネジメント(怒りの感情をコントロールする術)に役立つとして、近年声高に叫ばれているのです。

「マインドフルネス」という言葉だけを見ると難しそうですが、要は「瞑想する」。

 つまり「心の中を空にして、あらゆる感情を排除する」のです。

 そういった時間を一分でも十秒でもいいので意識して持ちましょう。

 執筆する前に、楽な姿勢で座り、目を閉じて、呼吸をゆっくりと行なうことだけに集中するのです。そして呼吸への集中をやめてなにも考えない感じない状態を体験します。

 たったこれだけでイライラや焦りとはオサラバできるのです。

 簡単にできるのに、ビジネス書は千八百円ほどかけて教えています。

 つまり「マインドフルネス」には千八百円の価値があるということです。

 イライラしたり焦ったりしたときは試してください。

 きっと心機一転、「さぁ、今日のぶんを書いていこう!」と前向きな意欲が取り戻せますよ。




信頼できる人からアドバイスをもらう

 イライラや焦りが負のスパイラルを生むとわかりました。

 それを解消するためには「マインドフルネス」を活用するのが手っ取り早いとも述べました。

 しかしさらに手っ取り早いのは「信頼できる人からアドバイスをもらう」ことです。

 実績を持っていて頼りになる人を見つけて、助言を受けます。

 信頼できる人からのアドバイスですから、疑うことなく受け入れられます。

 小説をたくさん読む人に読んでもらって、よい点・悪い点を忌憚なく挙げてもらうのです。

 そうすれば、どこを直せば作品がよくなるのかを直接指導してもらえます。

「よい師匠を見つける」ことは、なににもまさる解決法だと言えるでしょう。





最後に

 今回は「イライラしない焦らない」ことについて述べました。

 心が穏やかでないときに執筆や推敲をしても、読み手に伝わる文章にはなりにくいのです。

 いかにして心を穏やかにするのか。イライラや焦りを心から取り払うのか。

「薄れるまで待つ」「マインドフルネスを試す」「信頼できる人からアドバイスをもらう」の三点を挙げました。

 ただし「信頼できる人」にも日々の事情もありますから、いつも即答してくれるわけではありません。

 であれば、一般的にとるべきは「マインドフルネス」つまり「瞑想」です。

「心を空にする」だけで、不思議とイライラや焦りが心の中から消えます。そんな些末な感情に頓着しなくなるのです。



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