935.鳳雛篇:一気読みできるのは千五百〜二千字ほど

 今回は「瞬発的な集中力は五分しか保たない」ことについてです。

 小説投稿サイトでトップランカーの作品は、たいてい一話千五百〜二千字ほど。

 これが日本人が五分で読める分量です。

 共通点である「五分」は、偶然ではありません。





一気読みできるのは千五百〜二千字ほど


 日本人が一気に読める分量は千五百〜二千字ほどと言われています。

 これは小説投稿サイトでランキング上位を占めている連載作品の一回あたりの文字数と一致するのです。

「総文字数÷連載回数」で計算すると、トップランカーの作品は一回あたり千五百〜二千字ほどが多い。

 これは偶然でしょうか。




瞬発的な集中力は五分ほどしか保てない

 なぜ千五百〜二千字ほどが適切なのでしょうか。

 一般的な人が瞬発的に集中できる時間は、人種にかかわらず五分前後だからです。

 ウルトラマンは地上で三分間しか活動できません。だから人間はウルトラマンよりも強いのだ、とも言えます。暴論ですが。

 そして多くの日本人は小説を五分間集中して読むと、だいたい千五百〜二千字ほど読めます。それは『小説家になろう』や『カクヨム』などで推定読了時間を確認すると一目瞭然です。




隙間時間へアクセスする

 人間が瞬発的に集中できる時間が五分前後であり、日本人の多くが一回に千五百〜二千字ほどの小説を読んでいます。

 中高生であろうと社会人であろうと、日中は忙しく過ごしています。

 日中に時間があるのはリタイアした人か、専業主婦や専業主夫だけです。

 中高生や社会人は、移動中の電車やバスで目的地へ着くまでの間に、小説投稿サイトを開きます。

 まずはこれまで読んできた連載小説の最新話を読むのです。

 当然千五百〜二千字ほどですから五分ほどで読了できます。

 その後、自分好みの検索をかけて、今読める新規作を探し始めるのです。

 検索一覧や新着一覧から気になる小説を探して、めぼしい作品があったら試しに読もうとスマートフォンのタッチ液晶パネルをタップします。

 この作業だけでも五分から十分かかるのです。

 試しに読んでみて、よさそうならブックマークに入れておきます。まとまった時間がとれたときに、まとめ読みするためです。

 新規開拓を数作品終えた頃には目的地へ到着し、隙間時間は終わります。

 この隙間時間へいかにアクセスできるのか。

 それが新規の読み手を確保できるかどうかにかかわってきます。

 読み手が検索するときに、どんな「キーワード」「タグ」を用いているのか。

 それをリサーチして、自身の作品に盛り込むようにしてください。

 読み手の検索でヒットしやすくなりますよ。




伊達や酔狂でトップランカーになったわけではない

 小説投稿サイトでトップランカーが一回で千五百字〜二千字を目安に投稿しているのも、偶然ではありません。

 きちんと計算して書いているのです。

 計算しているからランキングで上位が獲れます。

 しかし、書き手が興に乗ってくるのは、一回で三千字以上も連続して書いているときです。ランナーズ・ハイと同じような状態になります。長い時間を費やして書いているからこそ文章に勢いが生まれるのです。

 その場合、どうしても一回の執筆量が三千字以上になってしまいます。

 当然読み手が求める千五百〜二千字ほどよりも分量が多いのですから、読まれる割合は格段に減ってしまうのです。

 トップランカーはこれを、「一回の投稿が千五百〜二千字ほどになる」ように区切りながら執筆しています。つまりストックを作っておけるのです。

 これなら土日にまとめて一万五百〜一万五千字ほど書き溜めてストックし、毎日連載を続けることも容易になります。

 そのうえからも、一回の投稿では千五百〜二千字を目安とするのは理に適っているのです。




見た目を程よく淡くする

 単に一回の文字数を千五百〜二千字ほどとするだけでは、クリック(タップ)されても読む前にブラウザバックされることがあります。

 それは見た目が濃いからです。

 漢字が多いと、読み手は「これは難しそうな話だな」と感じて「回れ右」してしまいます。

 実際に読めば、かなり砕けた文章なのに、字面の印象で「難しそうだ」と思われるのです。

 乖離を引き起こしているのは「見た目が濃い」から。つまり漢字の割合が多いから評価につながらないのです。

 そこで適度に漢字を画数の少ないひらがなやカタカナにひらきましょう。「見た目を淡く」するのです。

 漢字とかなのバランスは一般的に三:七ほどと言われています。

 ライトノベルでは主要層である中高生が読みやすい三:八ほどを目指しましょう。

 あまりにも漢字をひらきすぎると、小学生の教科書を読んでいるようで、かえってわかりにくくなるのです。

 あくまでも「適度に」「程よく」淡くしてください。





最後に

 今回は「一気読みできるのは千五百〜二千字ほど」について述べました。

 人が瞬間的に集中できるのは五分ほどです。

 そして日本人なら五分で千五百〜二千字ほどを読めます。

 だから、小説投稿サイトでは一回に千五百〜二千字を目標に書いてください。

 断然読まれやすくなりますよ。

 と言っても、漢字が多くて字面が濃くなると、パッと見ただけで帰られてしまうこともあるのです。

 そこで程よく漢字をひらき、漢字の割合を減らして中高生が読みやすいように配慮してください。

 それができれば、今よりも確実にブックマークや評価は増えます。



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