863.創作篇:『秋暁の霧、地を治む』帝国側キャラ紹介1(毎日連載800日目)

 現在構想中の連載小説『秋暁の霧、地を治む』のボッサム帝国側キャラ紹介その1です。

 帝国側は皇帝以外すべて軍人で構成しました。宰相もモブキャラです。


※『ピクシブ文芸』で毎日連載を開始して800日目となりました。そろそろ終わりが見えてきましたので、まとめの準備に入っています。最後までお付き合いいただければと存じます。





『秋暁の霧、地を治む』帝国側キャラ紹介1


 今回も『秋暁の霧、地を治む』のキャラ紹介です。

 ボッサム帝国側の主要四キャラをご紹介します。




【クレイド】

 三十五歳

来歴

 ボッサム帝国騎馬隊員

 ボッサム帝国騎馬小隊長

 ボッサム帝国騎馬中隊長

 ボッサム帝国大将

身体的特徴

 剃髪で彫りの深い空色の瞳

 210cm、110kg

精神的特徴

 一騎馬隊員から立身出世を果たして帝国大将にまで上り詰めた逸材。

 六年前二十九歳でレブニス帝とタルカス軍務長官の「テルミナ平原の戦い」において槍技に強いアダマス将軍と互角以上の戦いを見せ、論功行賞として騎馬小隊長から騎馬中隊長へと昇格する。

 しかし叩き上げは中隊長までしかなれない通例があったため、大隊長の職はついぞまわってこなかった。

 クレイドは王国軍将軍を見つけると一騎討ちに持ち込み、出陣すれば王国の将軍を自慢の鉾槍で斬り伏せてきた。軍功自体はじゅうぶんに重装歩兵大隊長の器だったのである。しかし直属の上司であるエビーナ大将はクレイドの戦い方は騎馬中隊レベルで発揮されることが望ましいと考えていた。重装歩兵大隊は敵の攻撃を受け止めつつ長槍を繰り出して王国軍部隊を確実に減らす役割がある。

 しかし騎馬中隊であれば、戦場で自由に行動することができるため、王国軍将軍に一騎討ちを仕掛けやすいのだ。

用兵の特徴

 クレイドが得意とするのは、王国将軍と一騎討ちを行なってこれを倒すことにある。しかし大軍を指揮するに足る実力も有しており、その才幹は直属の上司であるエビーナ大将や、彼の巨躯に魅了されたレブニス帝が知るところとなっている。

 現に病弱のレブニス帝を一年で心身ともにたくましい青年皇帝へ変貌させたのも、クレイドの鍛錬と教育の賜物である。

 帝国軍の暗黙の了解として、大将に昇進するには大将直属の重装歩兵大隊長となって大将の戦術を叩き込まれることになっている。つまり所属する大将の戦術が古来より受け継がれてきたのが、帝国軍の大将がつねに一定以上の質を有している理由となってきたのだ。しかしクレイドは騎馬中隊長の身分であり、三大将の戦術を受け継いでいない。クレイドを重用するエビーナ大将もとくに用兵を教えなかった。

 クレイドの大軍指揮は規律と命令を重んじ、違反者は容赦なく斬り捨てた。これにより綱紀粛正を図りクレイド部隊は帝国でも一、二を争う精強な部隊として名が知れるようになった。

 とくに騎馬中隊は毎年の戦いに出兵することになるので、帝国軍におけるクレイドの存在感は年々増すばかりである。(大将直属の重装歩兵大隊は、大将とともに三年に一度の出兵となっている)。

 騎馬中隊ではいったん戦場の死角へ飛び出て、王国軍の備えが薄いところを突いて陣形を崩して王国将軍との一騎討ちに持ち込むことが多かった。

 そういう意味では王国軍ミゲルの部下“無敵のナラージャ”のような働きをしている。しかしクレイドはナラージャと手合わせしたことがない。それは双方とも敵軍にくさびを打ち込む役目があるからである。つまり同じ戦場にいながら、戦うべき相手が異なっていた。だから顔を合わせなかったのである。

 エビーナ大将とアマム軍務長官との「テルミナ平原の戦い」において、クレイド騎馬中隊が王国軍の側背から突進してくるのを確認すると、エビーナ大将が前線を支えて王国将軍を討ち倒す手助けをする。クレイドはアマム軍務長官に迫るもガリウス中隊に行く手を阻まれる。ガリウスに手こずっている間にエビーナ大将がミゲル中隊の“無敵のナラージャ”によって討ち取られたため、撤兵せざるをえなくなる。

 この戦いでのクレイド騎馬中隊長の働きが目覚ましく、慣例を破って重装歩兵大隊長を務めることなく一足飛びに大将の地位に就くこととなった。

 大将に昇格してからは、重厚な布陣で王国軍の変化を冷静にさばいていく手堅さを見せた。しかしそれは、王国軍の軍師カイの素早い戦場移動によって対応が後手にまわってしまう危険をはらんでいた。

 しかしどんなに損耗しても帝国軍の士気は高く、それを王国軍が挫くことはなかなかできなかった。





【エビーナ】

 五十八歳

来歴

 ボッサム帝国大将

肉体的な特徴

 白髪混じりの黒髪に彫りの深い紺碧の瞳。

 172cm、72kg。

精神的な特徴

 ボッサム帝国は現在、軍務大臣を置かずトップを三名の大将が順番に担っている。

 現在では宿将エビーナのほか、猛将ヒューイット、勇将マシャードが三大将を占めている。

 エビーナ大将は智勇兼備で隙がなく、ひじょうに手堅い用兵手腕を示す。

 日常では孫のよいおじいさんとして振る舞っているが、ひとたび戦場で指揮をとれば整然とした陣容を構え、容易には攻略できないほどの堅牢さを誇る。

 ヒューイットとマシャードは騎馬中隊のクレイドを好ましく思っていない。しかしエビーナ大将はその実力を高く評価し、彼との指揮命令系統が寸断されたら、単独で事態打開に動いてよいとの特権を与えていた。

 乱戦にあっても敵味方の配置が頭に叩き込まれており、クレイドがアマム軍務長官を脅かそうとした際には、彼の行動を助けるため、決死の覚悟で前線を維持して、王国七将軍がクレイド中隊の露と消えた。しかし肝心のアマム軍務長官の前に鉄壁とも称されるガリウス中隊が立ちはだかり、クレイドの突進が食い止められたまま、エビーナ大将はミゲル中隊の“無敵のナラージャ”によって討ち取られた。

用兵の特徴

 攻守のバランスがとれた宿将であり、配下の育成にも長けていた。

 レブニス帝の妹であるレミア姫を直属の重装歩兵中隊長から育成し、大隊長のひとりに加えて、エビーナの横に布陣させて攻勢の切り札として用いた。

 守勢にも定評があり、六年前のレブニス帝とタルカス軍務長官との「テルミナ平原の戦い」においてレブニス帝の指揮により兵を動かして大勝を収めた。これもエビーナ大将の攻守の切り替えが素早く、レブニス帝の意図どおりに兵を動かせたことに起因する。

 王国軍で小隊長となったミゲルと、タリエリ将軍直属中隊の中隊長補佐となったガリウスには手こずるものの、全体的には完勝を収めた。タルカスが戦死したことにより王国の軍務長官職にカートリンクが復帰した。





【レブニス】

 二十五歳

来歴

 ボッサム帝国皇太子

 ボッサム帝国皇帝 七年前

肉体的特徴

 少し長めの銀髪に、白銀の瞳

 172cm、64kg

 皇太子時代から虚弱体質だったが、即位一年目の冬からクレイドに体の鍛え方を学んで、翌年秋までには健康な肉体を手に入れる

精神的特徴

 生来の虚弱体質であり、先帝がみまかると孫であるレブニスが十八歳で皇帝に即位する。このときすでにレブニスの父は病死しており、帝位継承権第一位はレブニスだった。

 その秋に行なわれた王国軍との戦闘で陣頭指揮を執り、体調を悪化させて帝国軍が撤兵を余儀なくされた。これにより王国軍から「惰弱帝」と称されることとなる。

 レブニスは冬の練兵式に臨席すると、背が高く頑丈な体躯を誇る中隊長を見つけた。クレイド騎馬中隊長である。

 そこでレブニスはクレイドを密かにそばへ呼んでは、肉体の鍛錬に努めた。また戦略についても手ほどきを受ける。結果としてレブニスは一年で健康な肉体を手に入れ、戦場での兵法理論を習得するに至る。

 翌年十九歳となったレブニスは陣頭指揮に当たり、彼を「惰弱帝」とこけおろした王国軍を完膚なきまでに叩きのめし、戦場における非凡さを世間が知ることとなった。これもすべてクレイド騎馬中隊長のおかげである。

 しかし本年は皇帝親征であったため、クレイドを重装歩兵大隊長へ配置転換するわけにもいかなかった。

用兵の特徴

 その後二十歳以降は三名いる帝国大将に戦場を託し、レブニスは内政に専念することとなる。これにより帝国は飛躍的に治安が良くなり、食料や飲み水にも事欠かなくなった。大将はエビーナ、ヒューイット、マシャードが務めており、それぞれが直属の重装歩兵大隊を麾下に置く。もし大将が敵に討たれたら、重装歩兵大隊長が大将へと昇格する。そのため三大将は重装歩兵大隊長に用兵を叩き込み、次代の大将として育てるシステムが構築されていた。

 レブニス帝の狙いは、恩義のあるクレイドを大将の位に就けることである。

 しかしそのためには現在帝国軍で最も攻守のバランスがとれ、数々の戦いで非凡な用兵を見せるエビーナ大将をみすみす討ち取られ、次いで重装歩兵大隊長が大将に昇格して戦死し、クレイドが重装歩兵大隊長として軍功を重ねるなければならない。クレイドをヒューイット大将かマシャード大将の重装歩兵大隊長に任命すれば解決することではあるのだが、ヒューイット大将もマシャード大将も、巨躯を誇る男のことを内心軽蔑していた。

 レブニス帝がクレイドの重装歩兵大隊長への配置転換を試みるも、ふたりの大将に断られることとなった。

 そして本年のクレイドが参戦するエビーナ大将とアマム軍務長官の「テルミナ平原の戦い」が始まったのである。





【レミア】

 二十四歳

経歴

 ボッサム帝国重装歩兵小隊長

 ボッサム帝国重装歩兵中隊長

 ボッサム帝国重装歩兵大隊長

身体的特徴

 長い銀髪を兜に押し込める、白銀の瞳

 157cm、48kg

精神的特徴

 皇帝レブニスの実妹の姫騎士。ボッサム帝国の士官学校出身であるため、小隊長から経歴がスタートする。

 皇帝の実妹という立場から、補佐職に就くことなく隊長職を昇進している。

 上官はエビーナ大将であり、彼の第二重装歩兵大隊長を務めている。

 クレイドが兄レブニスを秘密で鍛えていたことを知っており、エビーナ大将が王国軍ミゲル中隊所属の“無敵のナラージャ”によって討ち取られてのち、自らが大将になれるポジションにあったが、あえてクレイドを大将に推薦した。レブニス帝の実妹の推薦であり、他の重装歩兵大隊長も彼女に同意した。

 兄帝はレミアが第一線で戦うことを快く思っていないが、レブニス帝は終戦が告げられるまで王国と戦い続ける覚悟を固めていることもあり、助力ができればと前線に身を投じている。

用兵の特徴

 基本的にはエビーナ大将のそばで護衛を務めているが、第一重装歩兵大隊が疲弊した場合は前線に投入されて第二重装歩兵大隊を指揮している。

 エビーナ大将から指示された役割を十二分に果たすため、よき切り札として王国将軍にも名が知れわたっているが、中隊長であるミゲルとガリウスはその名を知らない。

 正々堂々とした戦いを好み、士気の高い隊員を鼓舞して実力以上の戦闘力を発揮する。王国軍を打ち負かして敗走させるなど、指揮官としても申し分のない能力を有している。





最後に

 今回は「『秋暁の霧、地を治む』帝国側キャラ紹介1」をお送りしました。

 王国のミゲルが主人公なので、帝国側は基本的に軍人で構成しました。

 まぁ王国側も王族と宰相以外は軍人だらけでしたが。

 キャラ紹介は次回で終わりです。ここまで設定するのに時間がかかりましたね。



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