728.事典篇:不死:マミー

 今回は「マミー」についてです。

 聞き慣れないかもしれませんが、「ミイラ」のことですね。

 意外と強いマミーは、乾燥しているので炎ダメージに弱いことで知られています。





事典【不死:マミー】


マミー(ミイラ)

 全身に包帯を巻かれ、乾燥保存された死体が活動するもの。ピラミッドや古代遺跡など、古代エジプト風の世界観を持つ作品や場所で登場することが多い。舞台が古代遺跡の場合、王の財宝の守護者として登場することがあります。

 病気・呪いといった特別な力を持っていることが多い。乾燥しているため燃えやすく、火炎に弱いモンスターとしてデザインされる場合もあります。知性を有しており生前の能力次第で弱い者からリッチに近いものまで、力の差がとても大きいのが特徴です。



 TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、寺院や墳墓の中、埋葬布に包まれて静かに安らいでいた死者が、闇の埋葬儀式によりマミー(ミイラ)となってゆっくりと身を起こします。そして眠りを破られた怒りに燃え、不浄なる呪いの力によって闖入者ちんにゅうしゃどもを処罰するのです。

 マミーの埋葬に伴う長々しい工程のおかげもあって、マミーの体は腐らず朽ちません。埋葬の過程で、死んだばかりのクリーチャーの内臓は取り除かれ、特別な壺に保管されます。死体そのものも油と薬草と埋葬布を用いて保存処置がなされます。処理の終わった亡骸は亜麻布の包帯でぐるぐる巻きにされるのが普通です。

 アンデッドとしてのマミーは、死の神やその他の闇の神の司祭が儀式を行ない、保存処置がなされた死体に死霊魔法を込めることで生み出されます。埋葬儀式が終わる前に、闇へ祈りを捧げながら、マミーの全身を覆う包帯に死霊の印が描かれるのです。今や死を超越したマミーは、司祭が儀式の中で指定した条件が満たされた時点で動き出します。マミーの墳墓や財宝、土地や愛した人が冒されたときに目覚めることが最も多い。

 すでに死んでいる者が「俺の体をマミーにしろ/するな」とは言えません。マミーの中には、高司祭やファラオの機嫌を損ねたり、大逆罪・姦通罪・殺人罪などを犯した重要人物であった者が少なからずいます。彼らは罰として、永遠にアンデッドとして生きるという呪いがかけられ、保存処置のされたミイラとして封印されているのです。一方、墳墓の番人を務めるマミーは、偉大な目的のために特別に殺された奴隷から作られています。

 マミーは己を作り出した儀式の指定する条件や指針に従い、規律を破った者のみを攻撃するよう強いられているのです。マミーの攻撃に先立つ圧倒的な恐怖は犠牲者を戦慄させ凍りつかせます。マミーに触れられて数日が経つと犠牲者の体は外から朽ちてゆき、最後には塵だけが残るのです。

 稀少な魔法を用いれば、マミーを生み出した儀式を無効化ないし解呪し、マミーに本当の死を与えられます。もう少し手の届きやすい方法としては、マミーが目覚める原因となった罪の埋め合わせをして、再びマミーを永遠の眠りに就かせられるのです。例えば聖なるの像を元の安置所に戻したり、寺院を穢した血の跡を浄化します。

 取り返しのつかない罪を犯したなら、たとえばマミーが隠したがっていた秘密を暴いたり、マミーの愛する者を殺してしまったら、罪を償うのは容易なことではありません。このような場合、マミーは咎ある者を皆殺しにしてなお怒りが収まらないかもしれないのです。

 マミーは滅多に話しませんが、会話自体は可能です。あるマミーは失われた伝承の「生きた」貯蔵庫として使われており、そのマミーの作成者の子孫はマミーと会話して情報を引き出せるとされます。強大な存在はマミーをどこかに隠しておいて、時折そのマミーに助言を求めることもあるのです。

 マミーは空気、飲食物、睡眠が不要です。

【マミー・ロード】

 古い古い墳墓の中、圧政を敷いた王様や闇の神々の高司祭が夢なき眠りにつき、己の玉座を奪還し太古の帝国を再建するときを待ち続けています。亜麻布の包帯に包まれた体を、邪悪な印が刺繍されたカビ臭い衣を、千年前に滅んだ王朝の紋章が彫られた青銅の鎧を、彼らの恐るべき王権の証が今も飾られているのです。

 最高司祭の指導によって、マミーを作る儀式にさらなる力を籠められます。そのような儀式が生み出すマミー・ロードは生前の記憶と人格を残しており、超自然的な不死身を授かっているのです。死せる皇帝は、伝説に登場するのとまったく同じ、ルーンの刻まれた悪名高い刃を携えています。魔道王はかつて怯えた大衆を支配していた禁断の魔術を今また振るうのです。闇の神々は死せる神官王の祈りに応えて信仰呪文を授けます。

 マミー・ロードを生み出す儀式の一環として、死者の心臓その他の臓器が死体から切り取られ、カノーボスの壺と呼ばれる容器に納められるのです。この壺は石灰岩をくり抜いたものまたは陶器であり、宗教的な象形文字が描かれたり刻み込まれています。

 壺の中の乾燥した心臓が無事である限り、マミー・ロードを滅ぼせません。ヒット・ポイントが0になったマミー・ロードは塵と化し、24時間後、己の心臓を収めたカノーボスの壺から最も近い塵の中から完全回復した状態で復活します。心臓を焼き尽くせば、マミー・ロードは破壊され、二度と復活できません。このため、マミー・ロードは自分の心臓その他の内臓を秘密の墳墓や宝物庫に隠しておくのが普通です。

 マミー・ロードが見守っている太古の寺院や墳墓には下級のアンデッドが護衛として仕え、罠が幾重にも張り巡らされています。寺院の中にはマミー・ロードの最大の財宝を収めた棺が隠されているのです。

 マミーに睨まれたら恐怖状態や麻痺状態になります。

 腐敗の拳でダメージを食らうと体力を回復できなくなり、24時間ごとに最大ヒット・ポイントが減少し続けます。この呪いによって最大ヒット・ポイントが0になったら死亡し、死体は崩れて塵と化すのです。この呪いは「リムーヴ・カース」などの魔法によって取り除くまで持続します。

 マミー・ロードの周囲を目を潰す魔法の塵と砂が飛び交い、冒涜の言葉を吐いて聞いた者は朦朧状態になるのです。

 マミー・ロードは魔法的に負のエネルギーを放ちます。このマミー・ロードから60フィート以内にいるクリーチャーはみな、障害物や曲がり角の向こうにいる者も含め、このマミー・ロードの次のターンの終了時までヒット・ポイントを回復できなくなるのです。

 マミー・ロードは魔法によって砂嵐に変化し、最大60フィートまで移動してから元の姿に戻ります。砂嵐に変化している間、このマミー・ロードはあらゆるダメージに対する完全耐性を有し、拘束状態、石化状態、つかみ状態、伏せ状態、朦朧状態になりません。マミー・ロードが装備または携帯している装備品はこの間ずっとマミー・ロードが身に着けたままです。



 TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、名誉ある死者の墓の守り手として作り出されたミイラ(マミー)は、聖なる血を冒涜しようとするものを見逃しません。

 ミイラはぞっとするような防腐処理を経て、長い時間をかけて作られます。胴体の主要な臓器はすべて取り除かれ、乾燥させた香草と花に置き換えられるのです。この過程の後、肉体は聖油で清められ、清浄な亜麻布で包まれます。それから製作者は「クリエイト・アンデッド」呪文で儀式を完了させるのです。

 ほとんどのミイラは単に守り手として造られ、破壊されるまでその義務に忠実ですが、一部の強力なミイラははるかに自由な意志を持ちます。大多数は最低10レベルのクレリックであり、暗黒神や邪悪な死霊術士によって死後も魂を肉体に縛り付けた王やファラオであることも多い。自分の支配を墓地の外まで広げるために行なう場合が多いが、中には単に死後永遠に続く責め苦を恐れ逃れようとして行なう者もいる。



 TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、カビ臭い地下聖堂や墓場では、一部の死体がまるで死ぬのを恐れるかのように、執念深く見せかけの生にしがみついています。死者に包帯をきつく巻き、ミイラにして保存する国々では、こうしたミイラはアンデッドになると、マミー(ミイラ男)となって現れるのです。包帯できつく巻きつけられているためにゆっくりとしか動けませんが、そいつが生きていることは暗闇の中でかがり火を見るようにはっきりと感知できます。

 彼らは腕を振り回して攻撃を行ないます。マミーとの戦いは見かけほど単純ではありません。武器攻撃では、本当の意味で殺すことができないからです。たとえ彼らを殺したように見えても、20分後には復活して己を倒したと思う相手を追いかけ始め、復讐します。マミーを倒す確かな方法は、火をつけることです。燃え盛る松明をちょっと触れさせるだけでも、そのひからびた包帯に火をつけるにはじゅうぶんであり、数秒で完璧に燃え尽き、あとには灰の山以外なにも残りません。



 TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、人の形をした包帯の中に邪悪な心が詰まっています。このモンスターは死体から復活し、超人的な力で人間に災いをもたらします。迷信からいわれる弱点や、恐怖という感情は持ちませんが、火のついたマッチは最大の恐怖です。

 マミー(ミイラ男)はミイラになった死体が起き上がり、活動しているものです。基本的にゾンビと同じですが、火に弱いという弱点を持ちます。たいまつや「炎の嵐」魔法で火をつけられた場合、燃え上がってしまいます。



 TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、マミーは古代語の魔法の儀式によって変化した魔物で、主人の棺の番人として墳墓に一緒に埋葬されています。墓荒らしのような不埒者が現れたとき、マミーは覚醒して侵入者に襲いかかる使命を受けているのです。マミーの攻撃が命中したら、肉体的ダメージに加え「呪い」が降りかかってきます。この「呪い」を解くには、神聖魔法の「リムーブ・カース」が必要です。

 また、マミーには精神的な魔法は通用しません。マミーは乾燥しているため炎に弱く、炎による攻撃ではボーナスを得られます。

【マスター・マミー】

 古代の王家や貴族などが、古代語の儀式に則り、不死の生命として墳墓で眠りについているのがマスター・マミーです。墓荒らしなどが、その棺に手をかけると、マスター・マミーは起き上がり、活動を開始します。

 マスター・マミーの攻撃が命中したら、肉体的ダメージに加え「呪い」が降りかかってきます。この「呪い」を解くには、神聖魔法の「リムーブ・カース」が必要です。

 マスター・マミーの棺室には、10体以上のマミーが一緒に埋葬されているのが普通で、さらにマスター・マミーが倒れたマミーを再び起き上がらせるか、あるいは新たなマミーを付近から召喚する能力を有しています。この「再生」や「召喚」は1ラウンドに1体ずつ可能です。マスター・マミーは他の行動をとりながら、この能力を使うことができます。

 マスター・マミーは乾燥しているため、炎に弱い。一緒に埋葬されていたり、新たに召喚されたマミーは、マスター・マミーが倒れたあとも活動を続け、主人を手にかけたものに復讐しようと襲いかかってきます。



 TRPG『ロードス島戦記RPG』では、死体を一定の方法で乾燥させた、いわゆるミイラです。今は亡き遺失された古代語魔法の儀式で変化したアンデッドで、墓の主を守るために埋葬されています。

【マスター・マミー】

 古代の王族や貴族の亡骸のミイラで、マミーたちと墳墓の主です。墳墓を荒らし眠りを妨げる者には、自らの手で容姿屋のない処罰を下します。



 TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、「木乃伊男マミー」は包帯の巻かれた乾燥死体の姿を持つアンデッドモンスター。包帯には魔的な紋様が織り込まれ、その戦闘能力を増強しています。高い知性と社会性を兼ね備えた高位のアンデッドです。乾いた包帯をまとうため、火に弱い。





最後に

 今回は「マミー」についてまとめました。

 ミイラの存在は古代エジプトから続いており、マミーが存在するのも古代エジプトのような砂漠の墳墓が多い。

 古代エジプトから見られるクリーチャーですので、あなたの「剣と魔法のファンタジー」にマミーを登場させても著作権には抵触しません。ただし、古代エジプトのような世界観が許容されるだけの世界観でなければ、マミーの存在が浮いてしまうので注意しましょう。



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