719.事典篇:竜族:ドラゴン
今回は「ドラゴン」についてです。
長々と続けましたが、ようやく「ドラゴン」までたどり着きました。
『D&D』とその派生である『PF』では色によって性質が異なりますが、他は色による性質の差異はありません。
事典【竜族:ドラゴン】
「剣と魔法のファンタジー」に欠かせない存在がドラゴンです。
およそ「剣と魔法のファンタジー」を標榜して、ドラゴンが出てこない作品はまずありません。
ドラゴンの上に魔王や魔神がいることはあっても、ドラゴンを出さないといまいち物語の惹きが弱まります。
ドラゴン
ドラゴンはヨーロッパの伝承や神話における伝説上の生物で、その姿はトカゲや蛇に似ています。
想像上の生物ですが、かつては実在の生きものとされていたのです。
小さいドラゴンや子供のドラゴンは「ドラゴネット」と呼ばれます。
鱗に覆われた爬虫類を思わせる体、鋭い爪と牙を具え、しばしば口や鼻から炎や毒の息を吐くのです。典型的なドラゴンは有翼で空も飛べますが、地を這う
ドラゴンは炎を吐き、蛇の尾、鳥の翼、魚の鱗を有するハイブリッドな動物であり、四大元素を体現する存在でもありました。
とはいえドラゴンはつねに定まった形象を備えていたわけではなく、時代を経るに従ってさまざまな属性を付与されてイメージが肥大化していったのです。
ギリシャ・ローマにおいてはドラゴンと
『黄金伝説』には聖ゲオルギウス、聖マルゲリータ、聖マルタ、ローマ教皇シルウェステスの竜退治が、『七守護聖人』には聖ジョージの竜退治が載っています。
現代のファンタジー作品に登場するドラゴンは、鱗に覆われ、角を生やし、蝙蝠のような皮膜の翼を広げ、炎の息を吐く巨大なトカゲのような怪物です。
あるいはエキゾチックな色合いで、羽毛のある翼、炎のようなたてがみを持つ生物としても描かれます。またヨーロッパのドラゴンと中国の龍を合わせたような姿の場合もあるのです。その姿や咆哮は見る者、聞く者を恐怖させます。
ファンタジー小説で扱われるドラゴンは、半神的存在だったり、世の中を脅かす悪の権化、人々に恐れられる凶暴な肉食獣、人間と友好的に共存しているもの、兵器や乗り物に活用されているものなど、さまざまです。傾向としては金銀財宝を溜め込んだ洞穴を守っており、ドラゴン退治の英雄と結びつけられることが多い。
ドラゴンを殺した者、ドラゴンを殺すことのできる武器は「ドラゴンスレイヤー」と呼ばれます。
現代の小説や映画の中では、言葉を操り、魔法を使うなど高等な知性を持つ生物として尊敬されているという設定のものもよく知られています。また、遥かな昔より生きているとされ、賢明で勇者にアドバイスを与える、あるいは貪欲で宝を溜め込んでいるとの描写もあります。
ドラゴンの身体の一部はアイテムとして重宝されるのです。ドラゴンの血は魔法の小道具としてよく作中に登場し、野鳥の言葉がわかるようになったりします。ドラゴンの鱗は硬いとされ、鎧や盾などに加工したものは、非常に高い防御能力や熱などへの耐性が設定されています。またドラゴンの歯から作られる骸骨の戦士である「
ファンタジーではドラゴンと一口に言ってもその姿はさまざまです。
・有翼/無翼
・四足かつ有翼/猛禽類のような足と翼がある(=ワイバーン)/足がない(=ワーム)
・有翼かつ飛行可能/有翼かつ飛行不可能/無翼かつ飛行可能
・頭部に角がある/鼻面に角がある/角がない
これ以外にも、爬虫類以外の鳥獣の特徴を色濃く持つもの(コウモリではなく鳥の翼、鱗ではなく毛皮など)も見られるのです。
生態も作品によって異なりますが一例を挙げると以下のようになります。
卵生で、宝石や黄金を好み、山岳地の洞窟などに巣を作る。知性は非常に高く狡猾で、人語を解する。体中の部位(血、心臓、舌、目など)に強い魔力があり、自らの意志で魔法も使える。またひじょうに硬い鱗を持っており、並みの剣では歯が立たない。きわめて長寿とされる(「永遠に転生を繰り返す」としている作品もある)。また、鱗や血液にも魔力が宿るとされ、生き血を浴びて不死身になったシグルド(ジークフリート)の伝説なども残っています。
一般には口から炎を吐く(ドラゴン・ブレス)とされますが、ロールプレイングゲームなどでは炎だけでなく吹雪や電撃や毒ガス、音波や光線など固体でなければ何でも吐くと設定されていることもあります(多くの場合、ドラゴンの種類によって吐くものが決まっています)。
空を飛ぶイメージが根強いですが、科学的に考えるとドラゴンの巨体を羽ばたきと揚力で飛ばすには、一般的なドラゴンの想像図に見受けられる翼では小さすぎるとの指摘もあります。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、トゥルー・ドラゴン(真竜)は恐るべき力と太古に連なる血筋を持つ、翼の生えた爬虫類です。
ドラゴンの肉食獣じみた狡猾さと欲望は有名で、恐怖の的になります。最も歳経た竜は世界最強のクリーチャーに数えられるほどです。ドラゴンは魔法の生き物でもあり、生まれつきの力を動力源とした恐るべきブレス攻撃やその他の超常的な能力を備えています。
ワイヴァーンやドラゴン・タートルなど、ドラゴンの血を引くクリーチャーは多い。ですがトゥルー・ドラゴンと呼べるのはクロマティック・ドラゴン(色彩竜)およびメタリック・ドラゴン(金属竜)という二つの大分類のいずれかに属するドラゴンだけです。グリーン、ブラック、ブルー、ホワイト、レッドの各クロマティック・ドラゴンは利己的で邪悪で万人に恐れられています。カッパー、ゴールド、シルヴァー、ブラス、ブロンズの各メタリック・ドラゴンは気高く善良であり、知恵者からは深く尊敬されるのです。
ドラゴンの目的や理想は千差万別ですが、富への執着——金貨銀貨を山と集め、宝石と宝飾品と魔法のアイテムを収集すること——のみはすべてのトゥルー・ドラゴンに共通しています。宝の山を持つドラゴンは自分の宝から長く離れるのを嫌がり、見回りや食事以外の理由で住処を離れることはありません。
トゥルー・ドラゴンはその一生の中で、ちっぽけなワームリング(雛竜)からエンシャント・ドラゴン(太古竜)に至るまで四つの明確な段階を経て成長してゆき、寿命は優に1,000年を超えます。果てしなく成長を続けたドラゴンは究極の存在となり、その宝の山は値段のつけようがない規模に達することもあるのです。
ワームリング(5歳以下)、ヤング(6〜100歳)、アダルト(101〜800歳)、エインシャント(801歳以上)に分けられます。
【クロマティック・ドラゴン】
グリーン、ブラック、ブルー、ホワイト、レッドの各ドラゴンは、ドラゴンという種の邪悪な側面を象徴する存在です。
クロマティック・ドラゴン(色彩竜)と呼ばれるこれらのドラゴンは攻撃的で、貪欲で、虚栄心に満ち、(他のクロマティック・ドラゴンを含む)すべてのクリーチャーから恐れられる闇の賢者にして強大なる暴君です。
クロマティック・ドラゴンは「我らこそ定命の存在の中で最も強く最も偉い存在だ」と思い込んでおり、彼らの同族意識もこういった優越感に由来しています。自分の利益を増やすことしか考えず、生まれつきの支配者だと信じているのです。
ドラゴンの女王ティアマトは邪悪なドラゴンの主神とされます。彼女を崇める五色のクロマティック・ドラゴンに対応した五つの首を持つ強大なドラゴンです。戦場においては恐怖そのものであり、五種類のブレス攻撃と、強烈な呪文と、恐るべき両の爪によって、軍隊を跡形もなく消滅させられます。ティアマトが最も憎悪を燃やす敵は、彼女とドラゴン族の主神の座を二分するプラティナム・ドラゴンのバハムートです。また、大昔にティアマトから支配権を奪い取り、今もドラゴンの女王の力を制限し続けているアスモデウスも、ティアマトから激しく憎まれています。
【メタリック・ドラゴン】
メタリック・ドラゴン(金属竜)は自分たちのことを、「この世界に居場所を有する数多の種族の中でもとくにに強力な種族」と考えており、保全と守護を探究する存在です。
邪悪な親戚であるクロマティック・ドラゴンと同様に宝を欲しがりますが、欲望に衝き動かされて富を求めるわけではありません。彼らは調査欲と収集欲に衝き動かされ、未発見の遺物を集めて自分の住処に保管するのです。メタリック・ドラゴンの宝の山は、持ち主の性格を反映した品、持ち主の来歴を物語る品、持ち主の記憶のよすがとなる品で満たされています。彼らはまた、他のクリーチャーを危険な魔法から守ろうとするので、強力な魔法のアイテムや邪悪なアーティファクトがメタリック・ドラゴンの宝の山に隠されていることも珍しくありません。
善なる大義のためだと言ってメタリック・ドラゴンを説き伏せ、その宝の山のアイテムを渡してもらうことは不可能ではありません。ですがドラゴンの視点から見ると、そのアイテムを必要とする理由や所有権を主張する根拠が明確とは言えない場合も多い。メタリック・ドラゴンにアイテムを手放させるためには、何らかの代価を支払うか、うまいこと納得させなければなりません。
その長い一生のどこかで、人型生物や野獣の姿に化ける魔法的な能力を修得します。この能力を身につけたドラゴンは、しばらくの間ほかの文化圏に潜入することがあるのです。人見知りや猜疑心が強すぎて自分の住処と宝の山から離れることができない者もいますが、勇気あるメタリック・ドラゴンは人の姿に化けて街の通りをぶらついたり、土地土地の文化や料理を味わったり、小さな種族の生き方を観察して面白がったりします。
中には、敵が寄ってくるのを避けるために可能なかぎり文明圏から距離を置こうとする者もいるのです。それは、世の中で進行中の物事を把握できなくなるということでもあります。
メタリック・ドラゴンは長い記憶を持ちます。彼らの人型生物に対する見方は「過去に似たような人型生物と接触した際の経験」に基づいたものになるのです。善良なドラゴンは臭いによって人型生物の先祖を特定することができ、一人ひとりの臭いを確実に嗅ぎ分け、過去数年以内に出会った相手は一人も欠かさず憶えています。とあるゴールド・ドラゴンは狡猾な悪党の二枚舌をまったく疑わなかった——その悪党は善良で勇敢だった祖母と同じ心を持ち同じように物を考えていると思い込んだのです。一方、そのドラゴンは3世紀前に自分の宝の山から銀の彫像を盗んだ賊の子孫であることを理由に、高貴なパラディンに腹を立てたのです。
「プラティナム・ドラゴン(白金竜)」バハムートはメタリック・ドラゴンの主神です。彼はぼろをまとったヒューマンの
バハムートが定命のクリーチャーたちの営みに関わることは稀ですが「ドラゴンの女王」ティアマト及び彼女の悪しき子供たちの陰謀を阻止するための手伝いだけはその例外です。善属性のクレリックやパラディンの中には、正義と守護の守り神としてバハムートを信仰する者もいます。バハムートは下級神であり、信仰呪文を与える力を持つのです。
TRPG『PATHFINDER RPG BESTIATY』では、トゥルー・ドラゴン(真竜)は2つの大きなカテゴリーに分けられます。クロマティック・ドラゴン(色彩竜)とメタリック・ドラゴン(金属竜)です。クロマティック・ドラゴンはほとんど共通して悪属性であり、食料、宝物、流血への限りない欲望を満たすことだけに奔走しています。メタリック・ドラゴンは概ね善属性で、庇護している土地を守ることが多い。
トゥルー・ドラゴンの特殊能力、攻撃、その他のデータのほとんどは、ドラゴンの成長につれて強大になります。この上昇はドラゴンの年齢によって12の年齢段階に区分されるのです。基本的なデータは年齢段階によって変動します。
1 ワームリング(雛)0〜5歳
2 ヴェリー・ヤング(幼児)6〜15歳
3 ヤング(子供)16〜25歳
4 ジュヴナイル(少年)26〜50歳
5 ヤング・アダルト(青年)51〜100歳
6 アダルト(成年)101〜200歳
7 マチュア・アダルト(壮年)201〜400歳
8 オールド(老年)401〜600歳
9 ヴェリー・オールド(大老)601歳〜800歳
10 エインシャント(太古)801〜1000歳
11 ワーム(長虫)1001〜1200歳
12 グレート・ワーム(大長虫)1201歳以上
『パスファインダーRPG』は『D&D』から派生したTRPGなので、クロマティック・ドラゴンとメタリック・ドラゴンの回で『パスファインダーRPG』の特徴を併記します。
【クラッグ・リノーム】
すべてのリノームと同様に、危険極まりないクラッグ・リノームは強力で原始的なドラゴンであり、ほとんどの文明があえて足を踏み入れようとしない極北の原野地帯の住人です。クラッグ・リノームはこの種の中で最も弱いものですが、それでも独力で破壊的な捕食生物たりえています。神々か、さもなければフェイの神秘の世界における強大な知性体に寵愛されているクラッグ・リノームは、首尾よく自分を殺した者に強力な呪いをもたらします。クラッグ・リノームは体長60フィート(約18m)、体重12,000ポンド(約5.4t)。
【アイス・リノーム】
アイス・リノームは氷河のクレバスのただ中や風の吹き荒ぶ山頂に住みます。不注意にも、山の周りにとぐろを巻いてとりわけ巨大なアイス・リノームの脇腹をよじ登ってしまい、頂上では荒れ狂う牙と爪による死しか見いだせなかった登山者の話が伝えられているのです。特に厳しい冬には、アイス・リノームは低地に滑り降りてふもとの村々を食べ尽くすと言われています。
アイス・リノームは体長90フィート(約27m)、体重18,000ポンド(約8.1t)。
【ターン・リノーム】
言い伝えによればもっと強力なリノームすらいるという話ですが、2つ頭のターン・リノームがもたらす破壊力を目にした後にそれを信じることは難しい。暗き山中湖の奥底で何世紀にも渡ってまどろむことに満足しているターン・リノームは、最強の英雄たちを恐れさせる真なる恐怖です。
ターン・リノームは体長120フィート(約36m)、体重24,000ポンド(約11t)。
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、地上を闊歩する中で、脅威に満ち、真に畏怖される存在としてドラゴン(龍)ほど強力なものはいません。一説に、種族としてのドラゴンは、時そのものと同じ年齢だとされます。彼らは人類の歴史のごく初期にも存在していたと、はっきり記されているのです。かつての人の古代文明はドラゴンとも大いなる友邦で、お互いに多くの知識を共有していました。若い竜は戦いのさなかに人間を乗せることを許し、悪と混沌の勢力を地下に押し込めるためにともに戦ったのです。
今では古きドラゴンは身を隠し、文明の危機に再び必要になるのに備えて、数千年の眠りに就いています。より若いドラゴンは今も地上を歩いていますが、そのほとんどは黄金や財宝を集めることしか考えていない邪悪な怪物です。いくつかの歴史の浅い王国には、ドラゴンを見たことのない者が増え、ドラゴンはとても珍しい存在となりました。
ドラゴンはあらゆる爬虫類種族の中で最も高貴で、巨大な翼と長い首と尻尾を持つ生き物です。多くの亜種があり、それぞれの肌の色と固有の特徴を持ちます。すべてのドラゴンは飛ぶことができ、ほとんどは人間や動物の言語を幅広く使えるのです。ドラゴンは火や氷や酸を口から吐けます。鉤爪と牙を持っていて、その致命的な吐息がなくとも最強の敵となるでしょう。大きさや力強さはまちまちで、これは年齢に由来します。ドラゴンは一見すると不死に見え、成熟はとてもゆっくりとしているのです。幼体と呼ばれるのは卵から飛び出して百歳に到達するまでで、そのときには体長12メートルを超えるまでに育ちます。彼らはドラゴンにふさわしく苛烈で、ときに妖術師や邪悪な指導者のように保護と日々の糧を与えてくれる強力な人間と協力関係を結んでいます。若いドラゴンは魔法や学問についてはあまり詳しくありません。魔術師に教わったり、賢者と知識を交換したりするには、宝物集めが忙しすぎるのです。
成体のドラゴンは百歳から五百歳までを指し、体長はおよそ25メートルに達します。人間に知られている成体の龍はごく少数しかいません。稀少であると同時に、時間のほとんどを山や地下深くの洞窟に、莫大な宝を抱えて寝ているためです。
古代の年老いたドラゴンはここ数百年の間誰も見たことがなく、すでにタイタンを離れて精霊界に移り住み、平和に暮らしていると考えられています。このため、以下の説明にはこの主のドラゴンはいません。地上界で冒険者が会うことはないでしょう。ドラゴンの皮は、大きな交易都市に持っていけば1メートルにつきゆうに金貨50枚の値がつきます。素晴らしい鎧を作る材料になるからです。実際には、ドラゴンの皮を手に入れるには、別の問題がありますが。
【グリーン・ドラゴン】
若いドラゴンには、大きな森の緑深い場所、いかにも巣窟になるような古い遺跡や山腹の浅い洞窟で遭遇することがあります。成長したドラゴンは、その地域で最大最強の捕食者として君臨できるように、グリーン・ドラゴンは天性の狩猟者で、素早くてずる賢く、恐るべき敵となるのです。戦闘では細い炎の奔流を吹きかけられます。
【ゴールド・ドラゴン】
あらゆるドラゴンで最も大きく高貴なゴールド・ドラゴンは、人間とはめったにしか出会いません。他の生物から遠く離れた、砂漠のど真ん中や山脈の頂にある大きな塔や城といった場所に住むのを好みます。他のドラゴンより人間には相対してくれますが、人間が短い寿命ゆえ短気かつ無礼に見えるのを理解できません。太古の知識や魔法への問いかけのため、ときおり訪問する賢者や魔術師にはとても友好的です。一方、野蛮で力に頼る種族を嫌い、普通それを見たらすぐに襲いかかります。
ゴールド・ドラゴンは広範囲に炎を吹きつけられます。これは二体を相手にできるほど幅広い。このドラゴンが70歳を超えていれば、魔法の呪文を爪や牙の代わりとして使う可能性があり、とくに幻影や欺きの呪文を好みます。鱗で覆われた皮膚はとても頑丈です。
【シルバー・ドラゴン】
シルバー・ドラゴンは長らく従兄であるゴールド・ドラゴンの宿敵でした。ドラゴン間での、その地位を強く妬んだためです。彼らはつねに、その高貴な親戚に対して陰謀を企てていると思われる節はあるが、実力行使になることは稀です。シルバー・ドラゴンも他の生物から離れて隔絶された場所に住みますが、気難しく、攻撃的なこともあります。攻撃の際シルバー・ドラゴンは、2体の敵に命中するほどの幅を持つ冷気の息を帯状に放つことができます。一方でシルバー・ドラゴンは炎を恐れます。炎を用いて向かってくるものが複数いるのなら、立ち向かうよりも莫大な宝物の一部を渡してしまおうとするでしょう。
【ブラック・ドラゴン】
ブラック・ドラゴンは通常、ごつごつとした山がちな場所で遭遇します。そこで近隣の村人や家畜を餌食にしているのです。幼龍も成龍も洞窟に巣窟を作り、1日の狩りを終えたらそこに戻ります。幼龍は小さな割れ目を使ったような洞窟しか使えませんが、成龍は巨大で複雑な洞窟に居座ります。そこにはゴブリンやオーク、その他のさまざまな種族が住み、危険が迫ったときのためにいくつか秘密の出入り口が存在するのです。
ブラック・ドラゴンの吐息はひどい臭いの有毒ガスの巨大な雲を作り出します。
【ホワイト・ドラゴン】
隔絶された厳しい場所にあるドラゴンの住処の中でも、ホワイト・ドラゴンの土地は最悪です。彼らは零度以下の場所でのみ生きることができます。そのため出会うのは、極北の地である雪と氷の中、氷指山脈の向こう側ぐらいです。ホワイト・ドラゴンは氷を切り出した、巨大な洞窟や城に住みます。あらゆるドラゴンの中で最も気まぐれで、通常は出会ったものをなんでも食べるのです。凍りついた家に住むだけあって、敵を凍らせる氷の息を吐けます。ホワイト・ドラゴンは死んだ犠牲者をただちに食べません。とくに長い北の冬が近づいているときには、死体をしばしば大きな氷の塊の中に残しておきます。他の食べ物が足りなくなったときに、掻き出して食べるためです。
【レッド・ドラゴン】
レッド・ドラゴンは貨幣や宝石、その他あらゆる価値ある財宝を溜め込むのに喜びを感じる生き物です。遭遇するのは、普通は自分の洞窟で大きな宝の山の上に体を伸ばしているときでしょう。出会う者に必ず疑いを抱き、宝を盗む盗賊だろうと確信して、即座に攻撃を仕掛けます。彼らは火球をその口から打ち出すことができるのです。火球は空中でうなりをあげながら進み、目標に当たって爆発します。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版では、ドラゴンは巨大な爬虫類で、普通はコウモリのような翼があり、空を飛べます。しかし、その姿はさまざまです。長い首を持つものもいれば、ワニや恐竜に似ているものもいます。
少数ながら人型種族の姿をとれるものもいますが、尻尾が残るのですぐに正体がバレるでしょう。爬虫類の姿のときは、先端が鉤爪になった二本または四本あるいは六本の手足を生やしています。
一般的には炎の息を吐きますが、霜や電撃、あるいは酸の毒を吐くものもいます。体色は彼らの能力とは無関係です。鱗のおかげでほとんど無敵と言えますが、必ずどこかに致命的な弱点を持っています。
ドラゴンは知性が高く、歳を重ねるにつれてさらに利口でずる賢くなっていきます。古代ドラゴン(グレート・ドラゴン)はその種族の中で完全に成熟した成獣と見なされます。若いドラゴン(ヤング・ドラゴン)は比較的よく見られますが、それほど強力でも危険でもありません。
伝説によれば、ドラゴンたちは自分より低い知性度の相手がかけた魔法に対して徐々に抵抗力が増していくとも言われています。
【グレート・ドラゴン】
グレート・ドラゴンは、短命の種族から、しばしば「古代ドラゴン(エンシェント・ドラゴン)」と呼ばれます。しかしグレート・ドラゴンは単に完全に成長した大人のドラゴンのことを指します。
これらのドラゴンは実に多岐にわたる能力と知恵を持ち、最高の知性と教養を備えています。彼らが生息する地域はひじょうに限られており、ほとんど見かけません。ドラゴンのことならなんでも知っていると自負する者でさえ、実際にはよく知りません。
ドラゴンは自分に利益をもたらすかぎりは、それら自称「ドラゴンの友人」の思い違いを見て見ぬふりをするでしょう。
【コモン・ドラゴン】
ドラゴンの中で「コモン(一般的な)」ドラゴンと呼ばれるのは、人間の年齢で言えば高齢にあたりますが、比較的若いドラゴンです。多少の駆け引きは身につけているものの、ずる賢く狡猾な老ドラゴンに比べると、あからさまに敵意や貪欲さ、食い意地を示します。
【ヤング・ドラゴン】
ヤング・ドラゴンは、すべての村人にとって悪夢です。彼らはひじょうに獰猛でつねに腹を空かし、ほとんど理を説くことができません。だいたいにおいて、彼らはブレス攻撃以外のものは習得しておらず、鱗もグレート・ドラゴンが誇るほど分厚くも強固にも成長していません。しかし、飛行速度が速いうえに、大型のドラゴンたちにはもはや不可能な空中での軽業飛行を行なえます。ヤング・ドラゴンは隣人として好ましい相手ではありません。
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、ドラゴンは巨大なトカゲで、通常コウモリのような翼があり、2、4、または6対の鉤爪を持っています。首の長いものもあれば、ワニのようなものもあります。ドラゴンは口から火を吹き、一箇所の急所を除き、ほとんど倒すことは不可能です。ドラゴンはきわめて知性が高く、ほとんどのものは邪悪で、宝物と人間の乙女をひじょうに好みます。ドラゴンは自分より知性の低いものがかけた魔法にはかかりません。
【グレート・ドラゴン】
知ってのとおり、ドラゴンは翼を持った巨大なトカゲのような姿をしています。太い二本の後ろ脚で直立しますが、前足の数は個体差があり、2〜6本とさまざまです。ドラゴンは宝物に対し、強い独占欲を持っています。宝物を目にしたドラゴンはどんなことをしてでも手に入れようとします。また魅力度の高い人間の女性にも目がなく、力を持ったドラゴンは人現社会に生贄を要求したり、自力で娘をさらっていったりします。その性質ゆえ、ドラゴンは洞穴を住処とし、そこに潜んでいます。
ドラゴンは炎や毒を吹きます。あまりたくさん吹きすぎると、これらが一時的に枯れてしまいます。。
ドラゴンは空を飛べます。ドラゴンがキャラクターをつかみ、上空に上げてから落とすという戦法もとれます。
【
緑がかった白い鱗で空を飛ぶ、古典スタイルの巨大なドラゴンです。冷気の吐息を吹きつけますが、あまりに冷たすぎて、かえって熱く感じるほどです。
アイス・ドラゴンは普通のドラゴンより一回り大きく、体色は白ないし灰色と目立って異なっています。アイス・ドラゴンは冷気を吹いて武器とし、凍死させられます。
【ケイブ・ドラゴン】
ケイブ・ドラゴンは洞穴に住む、普通のドラゴンより一回り小さなドラゴンです。体色は黒く、炎などは吹きません。ケイブ・ドラゴンにも翼はあり、洞穴の外ならば空も飛べます。
【ファイア・ドラゴン】
ファイア・ドラゴンは全身に黄色〜赤の炎をまとったドラゴンです。この炎のために弓や石弓の矢はファイア・ドラゴンの体に到達する前に燃え尽き、ダメージを与えられません。白兵戦を挑んだキャラクターは、合計ヒットの比較にかかわりなく、幸運度でセービング・ロールを行ない、失敗したらダイスの目が足りなかったぶんだけ「炎によるダメージ」を受けることになります。
当然ながら、ファイア・ドラゴンは炎を吹く能力を持っています。ファイア・ドラゴンの炎が枯れた場合には、全身にまとわれた炎も消え失せてしまいます。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、フォーセリアには大きく分けて三種類のドラゴンがいます。エンシェント・ドラゴン、エルダー・ドラゴン、レッサー・ドラゴンです。
ドラゴンの外観はいずれも似通っています。全身が硬い鱗に覆われており、鱗の色は個体によってさまざまです。蛇のような頭部と尻尾を持ち、背骨に沿って角やトゲが生えています。脚は地上で二足歩行を行なうため太く、頑丈です。それに対して、手は細く、しかし器用に動かすことができます。背中にはコウモリに似た翼が付いています。この翼は身体の大きさの割りには小さめです。
【ドレイク・ドラゴン】
「神殺し」の魔物として恐れられ、また、さまざまな魔法を使いこなす体長30メートルのドレイク種は、現在のフォーセリアでは見かけられません。ドレイク種に対しては人間のとても太刀打ちできるところではないと伝えられています。ドレイク種に比べ弱い存在であるエルダー種、レッサー種にしても、人間が立ち向かうにはすこぶる強敵で、これらの竜を倒した者は「竜殺し」の英雄として讃えられます。
【エルダー・ドラゴン】
エルダー・ドラゴンは体長20メートルほどです。レッサー・ドラゴンと異なって高い知能を持っていて、古代語魔法を使うこともあります。賢者の中には、これは、もたらされる結果こそ同じものの、失われた竜語によるものであり、「古代語」魔法と呼んではならないと主張する者もいます。さらには、まさに失われた竜語を用いる竜語魔法も用いられます(もっとも、そのほとんどの能力は、魔法を使うまでもなく保有していますが)。
エルダー・ドラゴンもまた炎を吹く能力を持ちます。また彼らは恐怖の「咆哮」の能力も持っています。
【レッサー・ドラゴン】
レッサー・ドラゴンの体長は15メートルほどです。知能は低く、魔法は使いません。まるで巨大な野獣であり、思考よりも本能に従って生きているような感があります。
レッサー・ドラゴンは炎を吹く能力を持ち、炎には耐性があります。またドラゴンの「咆哮」は聞くものに激しい恐怖をもたらします。
ドラゴンは「休眠期」と呼ばれる長い休息の時間をとりますが、通常の意味での眠りは必要とせず、魔法によって眠らされません。
TRPG『ロードス島戦記RPG』では、トカゲのような姿に、頭部に威圧的なエラや角を生やし、巨大なコウモリのような翼を持った種族です。
レッサー・ドラゴンは全長15mにも達し、炎の息を吐き出します。休眠期は洞窟などでおとなしく眠るようにしていますが、活動期には近辺で恐るべき「狩り」を繰り広げることがあります。
上位種にはエルダー・ドラゴン(古竜)が存在し、最上級には原初の巨人の鱗から生まれたエンシェント・ドラゴンが存在しているといわれています。
五色の魔竜のうち、金色の竜王マイセンと赤色の魔竜シューティングスターだけがエンシェント・ドラゴンであると目されます。
TRPG『クリスタニアRPG』では、レッサードラゴンが確認できます。翼の生えた大トカゲのような姿をした魔獣の王。といっても、これはその下位種です。背筋や頭部には鋭いトゲが生え、体色や能力、外見は棲んでいる場所によって違います。知能は獣並みで、性格はきわめて狂暴。戦闘時には、牙や爪、炎のブレスで攻撃してくるのです。通常武器、炎の攻撃は受け付けません。
TRPG『グランクレストRPG』では、強靭な鱗、鉄をも断ち切る牙、巨体ですが空を飛び、灼熱の吐息を放ちます。数々の投影体の中でも、最も恐ろしいとされている魔物。それがドラゴンです。ドラゴンにはさまざまな種類がおり、ドラコーン界以外にもドラゴンに類似した魔物が棲息しているとされます。
【ドラゴンパピー】
生まれて数年のドラゴン。まだ幼いながら、戦いに関する本能に秀でています。
TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、
ワーム
ドラゴンと同じくヨーロッパの神話や民話に登場する伝説の生物。
しばしば脚を持たず細長い体に羽が生えているを指すが、元は大蛇を指す語です。
基本的には竜の顔で地を這う蛇のようなものが多いが、例外的に鳥の羽が付いている姿をしているものがあります。狂暴で人間に有害であり、全長の三分の二ぐらいの牙を持つ口から猛毒や炎を吐き、長い体を巻きついて絞めつけるのです。
TRPG『Dungeons & Dragons』第五版では、ドラゴンの雛竜として扱われています。
TRPG『ADVANCED FIGHTING FANTASY』第2版『モンスター事典――奈落の底から――』では、ウォーム(地域によってはワームとも呼ばれる。地龍)は単独で行動する獣で、ドラゴンと血縁関係にあると見られています。この2つの種族には多くの共通点があるのです。どちらもトカゲのような頭部と革状の翼を持っています。またひじょうに寿命が長く、知能も高い。しかしウォームは胴体が短く、蛇のように手足がなく、実際に飛ぶことはできません。
この巨大で白い獣は、体色が保護色になるような凍てついた地域に棲息しています。通常の攻撃手段は、とぐろを巻き、体を起こし、翼を広げてバランスをとりながら、氷の
TRPG『Tunnels & Trolls』完全版『MONSTERS! MONSTERS!』では、翼を持たず、火を吹かないものの、じゅうぶんに手強いドラゴンを想像してください。それがワームです。ワームは後にドラゴンに変身すると信じられていますが、その寿命は数千年にも及ぶため、変身を見たものはいません。聖ジョージが戦った「ドラゴン」はこのワームです。火を吹かないことを除けば、ドラゴンと同じ能力と欠点を持ちます。
ワームは一言でいうなら「翼の生えた巨大な蛇」ということになります。つまりドラゴンと違って足をいっさい持たないのです。また、ワームは火を吹くことはなく、あまり洞穴には潜りたがりません。
ワームはドラゴンの幼生であるという学説もあります。しかし、ドラゴンやワームの生涯が千年以上にも及ぶため、その変身を見たものが誰もおらず、真偽はわかりません。
ワームは空を飛びます。
【ワームレット】
ワームレットは外観は「翼のない巨大なトカゲ」と言えます。そしてドラゴンと同じように火を吹きます。ワームレットもまた、ワームと同様にドラゴンの幼生とも言われますが、同じく確認のすべがないため、真偽はわかりません。
TRPG『ソード・ワールドRPG』完全版では、ワームはコウモリに似た翼を持つ、体長15メートル以上の大蛇の姿を備えています。頭部はドラゴンやワイバーンに類似していますが、脚はいっさいありません。人間並みの知能を有し、リザードマン語をしゃべりますが、魔法を使う能力まではありません。ワームは縄張り意識が強く、他のワームや巨大な生物が縄張りに入ってきたときには、すぐに追い出そうとします。あるいは、食料として食べに来ることもあるでしょう。
TRPG『クリスタニアRPG』では、コウモリの翼を持つ蛇。どちらかといえば足のないドラゴンといったところです。知性が高く、性格は穏やかであるが、機嫌を損ねると襲いかかってくることもあります。攻撃が大成功すると、胴体で相手を絞めつけたことになります。
TRPG『ゴブリンスレイヤーTRPG』では、
シードラゴン
TRPG『クリスタニアRPG』では、体長10メートルを超える巨大な海龍。シーサーペントと違って、背筋や頭部には鋭いトゲが生えている。もちろん水中を自在に移動できます。攻撃が大成功すると、相手を絞めつけていることになります。
フェアリードラゴン
TRPG『ログ・ホライズンTRPG』では、
最後に
今回は「ドラゴン」についてまとめました。
ドラゴンや龍の伝承は、世界各国で見られます。ですが神話として出てくることは少ないのです。北欧神話のファフニールもドヴェルグが变化した姿なので、純粋にドラゴンというわけではありません。
しかしドラゴンの神秘さはそれこそ神話同等であり、世界の始まりにドラゴンが関与していたのではないかとか、神々と戦った種族ではないかなどと目されているのです。
なお『D&D』とその派生である『PF』のドラゴンは、色ごとに性格や能力が異なるため、次回にクロマティック・ドラゴンを、次々回にメタリック・ドラゴンをまとめました。
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